ウィークエンドけそ(第36回/2021.4.25号)
くずざんぽー、けそです!
今週も、勝手にやってるテキストラジオ、『ウィークエンドけそ』のお時間がやってまいりました。
皆さんは、どちらで、いかがお過ごしでしょうか?
また出ましたね、緊急事態宣言。
新型コロナウイルスそのものよりも、国政とか都政にうんざりするばっかりですが…、なるべく家を出ないように、ありがたくも食事に誘ってくれる人がいた場合も極力リスケするようにして過ごしています。
でもそんな中、妹がチケットを取ったからと言って香取慎吾氏のコンサート(?)に誘ってくれまして(妹は熟練のジャニオタ)、「観客側は静かに観られるイベントだから…お言葉に甘えようかな」と出かけてきました。このイベントです↓
慎吾(って呼ぶのがやっぱりしっくり来るな…)の伸びのある声、生楽器の体に響くような音、セクシー・元気・神聖…といろんなイメージが浮かんで楽しいダンスと衣装の数々(バックダンサーの方一人一人の見せ場の時間をつくってたり、心遣いも素敵だった)、舞台が広く広く見えた壮大な映像演出。
なんかちょっと尊厳が削られるような気持ちになっててへろへろな状態で行ったのですが、びっくりするほど元気が出て。
「毎日どんどん世界は変わっていって、ついていくのが大変だけど、がんばろう」というような内容の直球のメッセージをぴっかぴかの笑顔で送ってくれて(慎吾が舞台上でスマホ?で打ったテキストが舞台横のでっかいスクリーンに映される演出があった)、ちょっと泣いちゃいました。
文化を守るために声上げることはあきらめないで、一緒に生き延びましょうね!!!😭😭
さて、この番組では、今週けそがビビビと来た、SNSの話題・ラジオで聴いたもの・YouTubeで観たもの等の中から、特に皆さんにお伝えしたいものを紹介していきます。
それでは、今週の最初の部門!
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誰かを踏みつけ続けないために。誰かの選択を思い込みで奪わないために。「性の多様性」について考えることをやめたくない。
プライドウィーク!
ということで今回は、性について(性自認・性的指向、ジェンダーロール…等)の「ふつう」を押し付けない社会にするために、私がちょっぴり心がけてるマイルールの一部をシェアする回にします!特に、ジェンダーロールの話が多くなっちゃいそうですが、すみません。
(シェアするルールが絶対に正解だとはもちろん思っていないんですが、私の今の考えを記録しておく意味としても)
「それって言葉狩りじゃん」とか「敏感すぎる、気にしすぎ」とかって言われることもあるけど、私自身が、誰かを堂々と端っこに追いやってそれが当たり前みたいな顔してる社会で生きていたくないんです…。
「踏みつける」っていう表現が強すぎるとしたら、その人が持ってる性質を社会(大衆・常識)が堂々と無視することで「自分はここに居場所がない」って思わせたくない。例えば。
この問題って、「世の中には男と女しかいません」って考え方が前提になってるって思って。
そう断言することは、「自分を女と思うか男と思うかって、そのときで変わるんだよなー…」って人とか、「自分のこと、男とか女とかって性別で決められないんだよなー…」って思ってる人をいないことにしちゃう、って思うので、私はなるべくしたくないんですよね…。
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マイルール①:
いわゆる「マイノリティ」じゃない側にいる方を、「ふつう」って呼ばない。
例えば、生まれたときの身体の性との性自認が一致しない人を「トランスジェンダー」と呼ぶのに対して、トランスジェンダーじゃない側を「ふつうの人」って呼ばない(「シスジェンダー」を使う)。
「ふつう」って危険な言葉だと思うんですよね…。
「ふつう」の人のためだけを考えるならこんなに特別な配慮はしなくったっていいのに、みたいな、それ以外を「追加の面倒なこと」みたいな雰囲気に感じさせちゃう怖さがあると思って。
マイルール②:
話す相手が異性愛者であることを前提とした言葉選びはしない。
例えば、男性に「彼女います?」みたいな質問を気軽に投げかけないようにしよう、と。相手が私にどこまで話したいか(それはつまり「まったく話したくない」も含む)ってわからないので、最近は、相手が話を出すまであんまり恋愛の話にもっていかないようにはしてます。
マイルール③:
「誰もが恋愛をする」という前提で話をしない。
中学生~社会人になって数年目くらいまで、「趣味とか興味がある話題って人によって違うけど、少なくとも共通する話題として、恋愛の話が使える!」と思ってまして、でもこれは間違いだったなと気づきました。「みんなが恋愛する」って前提で話が進むのが苦しかった人もいるだろうなと、いろいろ読んで思うようになって。
そもそも、恋愛に対してはいろんなスタンスがあると思う(恋愛感情をまったく持たない人もいると思うし、何かトラウマがある人もいると思うし、人間が恋愛対象じゃない場合もあると思うし)ので、相手の出方を見て、それによって恋愛の話をするかどうか決めようってスタンスです、今は。結婚の話についても同じ。
マイルール④:色と性別の組み合わせを固定しない。
例えば、「いつも女の子っぽいキャラの服はピンク・男の子っぽいキャラの服は青で塗る」みたいなことを絶対しないぞ、って思ってます。
ピンクの服を好む女の子が悪いんじゃなくて、ピンクの服を好む男の子が肩身狭い思いをする社会が嫌なんです。
特にストック用のイラストを描くときに、これ、めーーーっちゃ気を付けてます。
服に限らず背景の色とかについても、女性向けの内容だからってピンクばっかりにしたくないんですよ…。
マイルール⑤:仕事(家事なども含む)と性別の組み合わせを固定しない。
これもストック用のイラストを描くとき、非常ーーーーに気をつけてます。
博士的なキャラを男性ばっかりで描かない、男性が女性に教える構造ばっかりで描かない、家事や育児をする男性の絵を積極的に描く、とか。
「とはいえ、現状主流の役割分担っていうのはあるから、イラストがそれに合わせちゃうのって仕方ないじゃんね?」って意見は出がちなんですが、「そうじゃないパターンもあるからね!!」ってのが見える機会を増やしたいんです。現状に合わせたイラストは世の中に既にいっぱいあるんだし。
言葉選びについても同様で、職業について「女●●」って書き方を極力しないようにしてます。「女流作家」とか「女流棋士」とか。身体的構造等とは関係ないようなところで「男が基本ですが、特例です」という雰囲気がちょっと香っちゃうような言葉が使われるのは、変だなと思うので…。
マイルール⑥:名前を並べたりするときに、いつも男性を先にしない。
女性が人間界の「バリエーション」として見られる雰囲気がまだ根強いと感じるので、それを壊したくてそうしてます。
ManとWomanって言葉についてもそう思うんですけど、「まず男があって、次に女」って感じ、というか。「前提は男」みたいな考え方があまりにも支配的なので、もっとバランス良くしていきたい…(前にも自作の小説の背景説明で書いたけど、男性を下げたいわけじゃなくて「いつも男性が先」なのが妙だと思うのです…)。
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ここまでつらつら書いてきたんですが、一番大事なのは、「性(延いては「他者」)にはいろんなグラデーションがあるから、全部わかる日は一生来ない。一生、学び続けるしかない」ってことを忘れないことだと思ってます、いろんないろんな反省を込めて…。
「自分が想像できる〝多様性〟だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
「お前らが大好きな〝多様性〟って、使えばそれっぽくなる魔法の言葉じゃねえんだよ」
「自分にはわからない、想像もできないようなことがこの世界にはいっぱいある。そう思い知らされる言葉のはずだろ」
「多様性って言いながら一つの方向に俺らを導こうとするなよ。自分は偏った考え方の人とは違って色んな立場の人をバランスよく理解してますみたいな顔してるけど、お前はあくまで〝色々理解してます〟に偏ったたった一人の人間なんだよ。目に見えるゴミ捨てて綺麗な花飾ってわーい時代のアップデートだって喜んでる極端な一人なんだよ」
(引用したセリフはいずれも、朝井リョウさんの小説『正欲』より)
この小説を読んでからは、「誰一人取り残さない」というような言葉を気軽に使うことはもうできないなって思いました。人が自分の視界に入れられる範囲は限られているから、どうしてもいつも取り残されてしまう人はいると思う。ある分野で踏みつけないでって言ってる人が、ある分野で誰かを傷つけちゃってたり…(性の多様性について発信しながら人種差別には加担しちゃったりとか…)。
えらそうなことを書きながら、私が「取り残す」「踏みつける」の主体になっちゃうこともたくさんあって…。
過去、その話がしたいかわからない人に恋愛の話を執拗に振ったり、男性同士が仲いいのを「何、ふたり、できてんのー?笑」みたいにいじる場面に出くわした時、差別だとわかってなくてのっちゃったり、してました。
(最近、複数名で話すのがちょっと苦手だなって思うのは、複数名で話してると「ん?」って思うことがあっても会話を止めにくくて掘り下げて話すことができなかったりするのがストレスだから、かも)
これからも失敗しちゃうこと、知らずに誰かを踏みつけちゃうこと、勇気がなくってそのまま流しちゃうことがあると思います。怖いし、自分が情けないです。。。
でも、だからってあきらめはせんぞ、って思います。
この世界を、踏みつけるのを軽んじるような場所のままにしたくないです。ちょっとずつ毎日新しいことを知っていって、過去の失敗はちゃんと振り返りながら。声に出せないことがあっても、態度に出しながら。
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続いては
ウィークエンドミュージック
のコーナー。
冒頭の話から引き続いて…
香取慎吾『ビジネスはパーフェクト』feat.スチャダラパー
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最後の部門!
赤べこのフォルムがそもそも好きなんですが、なんとダリとのコラボとは…。ダリ好きの私としては見逃せません(博物館のツイートによれば、既に完売したらしいです!)。
しかしですね、これを貼った理由はそれだけじゃないんです。
ダリ好きの私、こちらのひげべこを販売しているという諸橋近代美術館に(ダリの作品をたくさん展示しているっぽいということに魅かれて)行ったことがありまして。今回、改めて美術館のサイトに行ったら、掲載されている初代理事長・諸橋廷蔵さんのエピソードが短い文章を読むだけでもすごくて、その感動をお伝えしたくって…!
(↑こちらのページを参照してます)
勝手ながら、エピソードをざっくりまとめますと。
・昭和50年、スペインのフィゲラスのダリ美術館を訪ねてダリの作品に興味を持った廷蔵さん。ダリの版画や画集を蒐集し始める。
・平成3年、NHK主催のダリ展が東京で開催され、彫刻37点が出品される。これに感動していた廷蔵さんであったが、展示終了後、諸事情からこれらの彫刻作品を譲り受ける。(けそ:どんな事情か気になります…!)
このとき、廷蔵さんはダリ美術館を建造する夢を持つようになる。
・美術館を建造するためには、作品収集・土地・建物という、3つの具体的課題があったが、強い思いを持ち続け、多くの協力者に恵まれこれらを解決。
・作品を集めるためには、世界二大オークションの「サザビーズ」「クリスティーズ」へ十数回参加。縦3m×横4mのダリ生涯の大作『テトゥアンの戦い』を競り落としたときなど、会場から大きな拍手が巻き起こった。(けそ:このシーン、映画で観たいっす…読んでるだけで感動したもの…)
しかしどこからそのお金が出てくるんだ…と気になった私、お得意のWikipediaで調べたところ、廷蔵さんはゼビオホールディングスを創業された方(創業当時は「紳士服小売業サンキョウ」)とのこと。この会社を一代で東証一部上場まで押し上げて(!)、その利益を美術に関する活動に充てていたようです。ドラマがあるな…!
欧米の美術館を視察したりもしていたという、廷蔵さん。
こちらの美術館、外観も内観もとっても素敵だったんですが(美術館公式サイトによると「中世の馬小屋」を意識したデザインらしい)、こんな胸アツなエピソードがあったのかよ…ッ!と改めて噛みしめました。人の熱い思いが絡む話に私は弱いんだ…。
ご参考までに、外観↓
内観↓
周りの景色もとっても素敵なんですよ~!↓
思いがいっぱい詰まった美術館、コロナ収束後に機会がありましたら、皆さんもぜひ行ってみてくださいませ!
(ただし、冬は閉まってるのでご注意を~)
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今週の『ウィークエンドけそ』、いかがでしたでしょうか?
この番組では、皆様からけそへの、褒め言葉・人生相談・質問をお受けしております。
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