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見た目はエリート・中身はポンコツ、鷹野ツメ子の行く先は?:『無能の鷹』第一話レビュー

コミックス派の私は、漫画雑誌って滅多に買わない。

しかし、瀧波ユカリさんのツイートが気になって、今月号のKiss(電子版)を買ってしまった。

これからどう転ぶかまったくわからないが、第一話がとても好みだったので、おすすめポイント2つを記しておきたい。

おすすめポイント1:鷹野さんの破天荒なキャラクター

スマートな身のこなし
公共放送のアナウンサーのような
きれいな発声
その場しのぎではなく
板についた落ち着き――

これは主人公が初めて鷹野さんに会ったときの心の声で、同じことを面接官も感じたからこそ、鷹野さんは就職を果たすのだが、その1年半後…。

(めちゃめちゃいい姿勢でホチキス持ったままYou Tubeに見入ってるとこと、「ホチキス留めはうまいな…」のセリフが味わい深い)

さらにすごいことに、鷹野さんはこのことについてまったく悪気がない

基本的に、物語というのは「変化を描くもの」だと思うから、その後の成長の幅をダイナミックに見せるために、「できない」人が出てきがちである。

しかし、こんなにも成長の気配を感じさせない「できない人」は、なかなか見たことがない。
(いっそ爽快である)

ヒトの移動が簡単になって、「いる場所に合わせて私の形を変える」時代は、「私の形のままでいられる場所を探す」時代になってきていると思う。その意味で、変わらない自分のまま居場所を切り拓いていく鷹野さんは、今の時代らしいキャラクターかもしれない(なんかそれっぽい感想になった)。

おすすめポイント2:賢い風薄っぺら発言から生まれる、妙にゆったりした時間

前に東村アキコさんが、「漫画は時間の流れを描くもの」だとラジオで話されていた(気がする)が、この漫画を読んでいる間、時の流れる速さが次々と変わる感じがして、面白かった。

例えばこのシーン。

同僚(と読者)は鷹野さんの言葉の深いところを一瞬探るんだけど、そこには何もない

その結果、時が止まったり急に流れ出したりして、ぐねぐねしたうねりが生まれる。なんだかこれが、クセになる。


Twitterでドラマ化必至だと書いてた方がいたけど、たしかにこれ、すごくドラマで観たい!「公共放送のようなきれいな発声」で、バカみたいに中身がないこと言ってるとこ、実写化してほしい!21時とか22時とかじゃなくて、深夜の30分くらいの枠でドラマにしてもらえるとよいのではないだろうか。続きに期待している。

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