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#71【運動連鎖】寛骨の肢位と足関節の連動について。
寛骨の肢位と足関節の連動について書きます。
この連動がうまくいっていないと、それは不調の原因になるかもしれない、という話です。
1.寛骨の運動について
先日も書きましたが、寛骨の運動は「内旋+外転」か「外旋+内転」のどちらかです。片方が「内旋+外転」すれば、もう片方はかならず「外旋+内転」します。
(※これは個人的な見解です)
今回は寛骨の「内外旋」についてです。
寛骨の回旋は足関節の運動と連動しています。
2.寛骨の肢位と足関節の関係
こちらの画像を見てください。
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ごちゃごちゃしてますが、見てほしいのはこの2つです。
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上の丸で囲んだ図は、右寛骨が外旋している状態です。
このとき、真ん中の「支持脚足部」の図を見ると踵の外側に荷重が移動することを表しています。
一方下の丸で囲んだ図では、右寛骨が内旋している状態です。
このとき、同様に「支持脚足部」を見ると、母指球のあたりに荷重が移動していることを表しています。
踵の外側に荷重が移動するということは、これは足関節が回外しているということです。反対に母指球に荷重が移動するということは、足関節が回内していることを意味しています。
つまり、寛骨の外旋は足関節の内反と、寛骨の内旋は足関節の外反とセットなのです。
これは以前私が持論を書いた、機能的な姿勢とも一致します。
機能的な姿勢においては、「右寛骨の外旋+右足関節の回外」「左寛骨の内旋+左足関節の回内」とセットであると言いました。
興味があればこちら2つの記事もご覧ください。
3.股関節のつまりの症例
先日、右股関節のつまりを訴える方を拝見しました(以下、Nさんとします)。FADIRテストで鼠径部に痛みが走るようでした。
(FADIRテスト=屈曲・内転・内旋テスト)
Nさんの右の寛骨は外旋していました。寛骨が外旋しているということは足関節は回外傾向にあるはずです。
しかし、Nさんの足関節を他動的に背屈した際、足関節が回内しながら背屈する傾向が見られました。
これは変だということで、右足関節を回外方向に誘導しました。下腿三頭筋のタイトネスが強かったので、ストレッチを入れながら足関節を回外方向に持っていったところ、それだけで股関節のつまりが解消されました。
もしかすると、寛骨と足関節の運動連鎖が破綻していた為に股関節のつまりという問題が生じていた可能性があります。
寛骨と足関節の運動連鎖は「寛骨外旋+足回外」「寛骨内旋+足回内」という関係が成り立つという事実はあります。
この運動連鎖から逸脱した関節運動をしていると、どこかの関節に異常が出てくるという可能性は十分にあるでしょう。
今後も寛骨と足関節について注意深く観察していこうと思います。
参考図書・文献
建内宏重、股関節 強調と分散から捉える、2020、ヒューマン・プレス