【会報第9号】2021年6月1日発行
一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 第9号
2021年(令和3年)6月1日発行
編集:TPS編集委員会
「(仮)2050カーボンゼロ所沢市民会議*」〜なぜ、立ち上げるのか〜(2)
TPS代表理事 品川 昭
市民の一人一人の行動が地球を変える
CO2 増大による気候変動危機という地球的規模の問題に対して所沢市民が頑張ったところで多寡が知れたものではないかという疑問も当然でてきます。
しかし、そういって世界の誰もが取組まなければ、地球温暖化は急激に進行し、近い将来、大規模な然災害が日常的に発生し、世界の多くの都市が水没し、人の住めない地球になってしまいます。そのような危機が間近に迫っているということです。
《Think Globally, Act locally》という言葉があります。市民一人一人が地球のことを考えて、市民自身が、住んでいる地域でCO2の排出を削減し、再生可能エネルギー100%(RE100)の生活に転換する行動を起こそうということです。地域から運動を起こし、各地域間で市民が連帯して、地方自治体、国を動かし、世界を変えてゆこうということです。
RE100%に市民一人一人が挑戦しよう
太陽光や風力という無限の自然の力を電力に変えて利用する技術は日進月歩、進化しています。太陽光発電設備の価格も量産効果で近年急激に下がり、その発電コストは原子力や火力発電所よりも低くなっています。昼間の発電をバッテリーに して、夜間電力として使用すれば既存の電力会社から電気の供給を受入れずに済みます。
その方法は市内の住宅、集合住宅、事業所、公共施設、畑、空き地などに、太陽光発電装置(+バッテリー)を設置します。その発電設備を地域の中でネットワーク化すれば必要な電力を必要な場所に配電することができます。まさに《電力の地産地消》です。化石燃料をふんだんに使った大規模な火力発電所からの長距離送電による電力は不要になります。RE100 は市民によるエネルギーの産業革命です。
使い捨て文化からモノを大切にする社会へ、私たちの生活スタイルを見直そう
レジ袋が有料化になってレジ袋の散乱が少なくなりました。しかし一旦飲んだ後のペットボトルは散乱しています。プラスチックは石油化学製品です。最後はマイクロチップになって生物や人間の体内に入って悪さをします。はん濫するプラスチックこそ今の使い捨て文化の象徴です。プラスチックから木製品へ、リサイクル可能で、丈夫で長持ちの鉄製品に切り替えるなど、リサイクル、リユースしてモノを大切に使うこと、省エネの生活を指向することによってこそRE100の地域社会を実現することができます。(続く)
*市民をネットワークする組織の名称は検討中であり、前号の「市民フォーラム」から「市民会議」に変更しています。
「重点措置」で延期した所沢市・マチごとエコタウン推進室の「出前講座」を
7月3 日に実施します(定員24 名)
「ゼロカーボンシティ宣 所沢~2050 年CO2 排出実 ゼロを目指して~」
場所 新所沢東公民館 第6・7研修室
日時 7月4日(土) 午後1 時30分~4時
主催 所沢のあすを考える市民フォーラム + 地球環境に学ぶサークル
+ 所沢市民ソーラー
問合せ・申込み e-mail:hiohye@gmail.com
または携帯電話:080-5002-1133 大江
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<TOPICS>
定額電灯契約から従量電灯5アンペア契約へ変更しました
TPS理事 大島 浩司
ファーウエイのパワコン5台、夜間の待機電力は殆どゼロ
山宇農園ソーラー発電所では発電した電気を東京パワーグリット(PG)に売電しています。それと同時に夜間のパワコン待機電力として、東京エナジーパートナー(EP)に定額電灯料金を支払って買っています。この定額電灯とは電気を使っても使わなくても、一定額を支払うという契約です。実は夜間のパワコン待機電力は殆どゼロkWhです。にもかかわらず、定額で約1200 円支払っています。その根拠はパワコン1台の基本料金が234円82銭なので、5台分です。しかし、従量電灯A ならば台数に関係なく使用電力量で料金が決まります。つまり、ゼロkWhの場合は最低料近235円84銭だけで良いという事になります。
この件ネットで調査しましたら、載っていました。私大職員おにへいさんの「【太陽光発電】パワコンの電力契約を定額電灯から従量電灯Aに変更しました」記事です。
この記事を読んで、われわれも変更を決意しました。
まずは東電EPに電話をしましたが、全くらちがあきません。電話に出てくるコールセンターの女性が私の要求を理解出来ないらしく、上席に聞いてきますという対応が数回繰り返されます。東電EPの社員は絶対に電話には出てきません。結局需要家の要求ははねつけられたまま、需要家では変更はできないという回答で終始、設置業者に相談せよ、との回答を頼りにアースシグナルさんに相談の結果、申請と工事をお願いした次第です。申請の際に現地調査の可能性があり、5アンペアに変える根拠を示す必要があるとの事です。400W程度消費する電動機器(電動草刈り機)を急遽森さんにお願いして用意してもらいましたが、結局現地調査には来ませんでした。
現地工事で交換したブレーカー
アースシグナルさんにお願いした Aブレーカー交換はほんの5分程度、工事申請費用が40,700円、毎月節約できる費用は900円程度ですが、20年とう長い事業ですから充分に元が取れると判断しました。
今回東電EPさんと電話で何度となくやり取りしましたが、とてもユーザーフレンドリーとは言えません。自分たちの言い分を、間違っていようが、合っていようが、押し通す姿勢には納得できないものがありました。
ユーザーの声を真摯に聞くことは、CS(顧客満足度)を重んじる企業の姿勢ではないでしょうか。
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<新着情報・遅着情報>
マチエコリーダー養成講座
所沢市・マチごとエコタウン推進室は「マチエコリーダー養成講座」Step1(基礎編)の参加者を募集中です。この講座は、地域や自身の生活で温暖化防止をはじめとする環境活動に取り組み、市民、事業者、行政と共に取組を推進する「所沢市マチエコリーダー」の養成を目的としています。TPS 社員で「マチエコアンバサダー」の上田マリノさんも講師で参加します。8月6日(金)、17日(火)、19日(木)の3日間の参加が必です。詳しくは、市のホームページをご覧下さい。(募集は終了したようです。6月23日現在)
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森林活用のすすめ(2)
持続可能な社会づくりのために
TPS理事 吉野 雅一
森林から受ける恩恵を日頃実感することは少ないですが、生命維持に関わり地球環境と深い繋がりがあります。特に高温多湿で肥沃な土壌という、日本の恵まれた環境は世界の中でも稀であり、地球上どこにもある当たり前の環境ではありません。
森林はCO2を吸収し酸素を大気中に供給するだけでなく、ミネラル豊富な淡水の源になっています。地球上の淡水循環は殆どの生物の糧になります。『森は海の恋人』(畠山重篤・文春文庫)という本がありますが、海中生物にとっても森林は大切な存在です。森林を疎かにすることは自らの首を絞めるに等しいのですが、経済性最優先で突き進んだわが国は森林保全や活用の大切さを軽視している時代が続いています。
地球の表面積の29%の陸地、その中で氷に覆われた極地や高地の寒冷地と、乾燥した砂漠地帯等の不毛な土地を除くと緑地といえる面積は全陸地の31%程しかありません。しかも、熱帯雨林は気温が高いために落葉や倒木の分解速度が速く、多量の降雨により養分が流されてしまうために土壌は痩せていて虚弱です。腐植等の栄養分はシロアリを筆頭に生物間循環が激しく土壌には蓄積しません。その為、地球の肺と言われていたアマゾンの最新研究では CO2の吸収は多いものの、地球上の16%の酸素を造る一方で同量の酸素も消費していることが分かりました。さらに近年約10%の森林が焼失し、乱伐で30%以上の森を失い、砂漠化が進んでいます。一方、ロシアやカナダのツンドラやタイガ地域の森林は、亜寒帯のため微生物による分解速度が低く肥沃な土地ではなく、乱伐後は永久凍土が溶けて湿地化し、森林に戻り難い状態になっています。
世界のCO2を吸収できる森林は年々減少しておりその速度は1分間に約9ha(東京ドーム2個分)にもなります。我が国は国土の7割が森林であり、世界第2位の森林大国であり、世界で稀な恵まれた環境を備えた存在なのです。
熱帯雨林やタイガを含めた全世界の森林面積は40億haありますが、世界人口78億人で割れば一人当たり0.5ha程度しかありません。1ha当たりのCO2吸収量は樹種や手入れ度合等で2~20t/年と幅がありますが、仮に10t/年とすると、0.5haでは5t/年ということになり、日本の一人当たり排出量は、すでに吸収量の2倍近くになっています。カーボンニュートラルな社会づくりにおいて、森林の大切さがわかると思います。(続く)
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寄稿
我が家の省エネ投資と17年間の使用電力の削減経過
平塚 今朝人
TPSさんの活動に大変期待しており、少額ですが建設資金の出資協力をさせていただきました。椿峰の集合住宅3階に夫婦2人で住み、電灯電力と深夜電力(電気温水器)を使用しています。我が家の17年間の電灯電力の削減経過について紹介します。
2002年に夫婦2人となりましたが、省エネに特別な関心は有りませんでした。2009年にエコポイントが導入されたので、冷蔵庫・冷凍庫の買替、TVの液晶化などを行いました。冷蔵庫は24H使用しますので、省エネ効果の大きさに驚きました。2011年の原発事故と夏の暑さから、更なる省エネが必要と思い、ワットチェッカーを購入。個々の電気品の実電力を測定し省エネ化を考えました。
2011年に北側2部屋を2重窓化、節水便器に更新、電灯LED化x6台を実施。2重窓化の効果が大きいと実感できたので、翌年に南側3部屋も2重窓化し、石油ストーブを廃棄。2016年には北側2部屋のエアコン2台も廃棄。2017年電灯LED化x4台。2002~2010年と2011~2020年で比較して削減量を算出。年間925kWh・21.9%の削減で、年間2.6ケ月分の電灯電力量を節約できました。
投資金額は、106万円で獲得エコポイントは、14.5万円でした。残りの省エネ対策としては、蛍光灯7台330WのLED化があります。(筆者は、TPS山宇農園発電所の建設資金協力者)
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<新着情報・遅着情報>
「レオライナー」がソーラー電気で運行
報告 TPS理事 山本 治
西武鉄道は4月1日より西武山口線「レオライナー」(所沢市の西武球場前駅~東村山市の多摩湖駅間 路線距離2.8km)の運行に、太陽光発電を全量活用し実質CO2排出ゼロを発表した。この電源は西武鉄道が事業者でもある神奈川県横須賀市のソーラーによるもので、発電容量:約8,390kw、年間の発電量は一般家庭約2,660世帯分に相当します。また「レオライナー」の車両にはSDGsの標識があり、「Lions GREEN UP! PROJECT」が書かれていました。西武グループは北海道から九州まで九カ所でソーラー発電設備を設置しています。ただ、西武球場前駅に、西武グループビジョン「社会環境・地球環境を忘れません」のスローガンや乗降客向けのソーラー発電を啓蒙するポスターやチラシが無いことが残念でした。
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コロナ禍に想う尊厳死
TPS理事 吉野 雅一
人間誰もが年老いて、機能が低下して行き、何れ死を迎える。衰える前に病気に因り没する方が多い。日本では癌による死因がトップ、2位は心臓疾患だが、最近は老衰が第3位に上がっている。これは医療の発達のお陰なのだろう。4位5位に落ちた脳血管疾病や肺炎は早期対応で助かる機会が増えた。一方で老衰の増加理由は高齢化社会の理由の他に、最近自然死を受け入れる思想が増えていることが要因になっているようだ。
自然死とは、延命処置をしないで、機能が落ちたら素直に受入れ、回復を望まずに過ごし、平穏死を迎えること。尊厳死とも言われる。
命に影響する機能衰退とは嚥下能力、呼吸機能、腎機能だ。食事をする際に誤嚥をして、肺炎を起こす。或いは臓器疾病など持病の回復見込みを老齢である場合に人口呼吸や透析などの特段の延命治療を図らずに自然の成り行きに任すというもの。まして現在はコロナ感染で入院したら家族面会は皆無である。家族会話など刺激の無い入院生活から精神的にも衰退が進んでしまう。
病院は病気を治すが高齢による機能低下を防ぐような運動は怪我のリスクを逃れる理由や療法士不足から望めないことが多い。長期の入院中に嚥下能力が低下し、歩行できなくなってしまうケースも多い。
嚥下能力を担当する療法士がどこの病院にもいる訳ではない。結果、経鼻経管栄養か胃ろうか、自然死を選択することを迫られることになる。高齢者の場合は手術の必要がない経管栄養を選ぶか否かを医師に問われる。多くの医師は嚥下能力の回復には否定的であり、在宅で経管栄養を継続することを否定し、療養型病院や老人介護施設への転院を進められる。地域に依るだろうが、在宅診療+看護+介護体制、訪問療法士の手配が思うように揃うのは難しい望みで、家族が行う経管栄養にもリスクがあると言われて許可は容易に出ない。容認する医師やスタッフに恵まれる機会は近年稀のようだ。在宅の場合は自然死を選択して看取り体制ならば応じる医師は多い。
人間誰もが少しでも長生きしたい欲求はあるはず。何歳を過ぎたらもういい、という判断は他人には出来ない。
コロナ禍の影響は医療現場を窮地に落とし入れたが、高齢者の対応が後回しや等閑であってはならないはずだが、余裕のない社会は尊厳がなく不幸だと思う。
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3月・4月の発電実績
TPS理事 栗田 彰
《コメント》発電実績は金額ベースで、3月では1.5万円、4月で1万円予定額を超過しました。4月までにかなり貯金ができているので5月以降の不順天候にもなんとか凌げることが出来そうです。
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社員自己紹介
TPS営農パートナー・理事 山﨑 伸一
所沢市下富の農家で生まれ、18歳の時から農業を継いできました(1963年生)。家は江戸時代から続いていて、12代目になります。少品種多量生産農業は、化学肥料や農薬を必要としたり、人手不足も進み、土地が痩せたり、販路も顔の見えにくい農協ルートに限られるなど矛盾を感じ、止めました。
40代の半ばから産地直売所に集荷し始め、産廃問題の頃から生活クラブ生協さんのイベントや「農福連携活動」に賛同・協力。また屋敷内の落葉の堆肥化や減農薬、季節に合わせた多品種少量生産に力を入れてきました。地域にない新しい野菜を試すのが好きで、アマランス、青パパイヤ、長崎長ナス、埼玉大丸ナス、翠ナス、縞ナス(イタリアナス)、花オクラ、韓国カボチャ、鶴首カボチャ、エゴマなど作っています。「食の駅」(下富583)や「わくわく広場」(TOCOTOCO SQUARE店)などに卸しています。
所沢市民ソーラー(TPS)とのご縁のきっかけは、「市民大学」のイベントの場でのTPSの中原さんとの出会いでしたが、太陽光で発電しながら野菜作りをするのが夢でもありました。今ではパネル下の、日焼けが嫌いな菊芋や山ワサビの生育を楽しく見守っています。
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<新着情報・遅着情報>
「これでは反対運動も起きます」
報告と写真 TPS理事 森 斌
2021.02.25 東京都日の出町 日出IC 西
大規模太陽光発電の適地が少なくなっている中で、設置に伴うトラブルが各地で起きています。飯能市では阿須の加治丘陵のハイキングコースとなっている市有地17haを切り開いてサッカー場と太陽光発電所を作り始めています。
2021.03.17 長野県佐久市 内山峠西
林を切り開いてソーラーパネルを設置して太陽光発電を行うのと、林が吸収するのとどちらがCO2削減に効果があるのでしょうか。
2021.06.03 群馬県吉井町多比良
また、急斜面では風水害で地すべり等は起きないのでしょうか。現在使っていない土地があり、固定資産税ばかりかかるので収入の道を選ばざるを得ないことも理解できますが、写真のような光景では反対運動も起きますよね。
一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 (略称TPS会報)
第9号 2021年(令和3年)6月1日発行
編集:TPS編集委員会 発行責任者:品川 昭
連絡先e-mail : tokorozawa.shimin.solar@gmail.com