【会報第10号】2021年8月1日発行
一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 第10号
2021年(令和3年)8月1日発行
編集:TPS編集委員会
所沢を持続可能なまちに! 出前講座開催報告
TPS社員 上田 マリノ
7月3日の「出前講座」の会場風景
7月3日、所沢市環境クリーン部マチごとエコタウン推進課ゼロカーボンシティ推進室を講師にお招きし、出前講座「ゼロカーボンシティ宣言所沢〜2050年CO2排出量実質ゼロを目指して〜」を開催しました。講座では、市が昨年度宣言した「ゼロカーボンシティ」とはどんな姿でなぜ必要なのかということを、気候変動の影響なども交えてご説明いただきました。
当日は、市民30名が参加して、熱心に聴講し、講義後の質疑も活発に行われました。
所沢市はゼロカーボンシティ宣言の前に、2050年度までに2013 年度比でCO2 の80%削減という高い削減目標を立て計画推進中でした。ですがこれを宣言に合わせ100%削減となるよう、2024年の計画見直し時期に合わせて計画修正をしていくとのことです。市の取り組みだけでは目標達成は難しいため、市民、事業者が一つとなって取り組まなければいけません。
個人的には、エアコンを設置した学校に断熱工事を施工し排出量を抑制することも大切なのではと思っています。また市内の森林吸収量を算定していないとのことでしたので、森林整備による効果を算出すれば、市のそもそものCO2 排出量が少し変わってくるかもしれません。ごみ削減や資源化による省エネ、家庭の電力会社を再生可能エネルギー比率の高いプランに変えるなど、各家庭でも削減に向け取り組めることがあります。私たち所沢市民ソーラーをサポートいただくことも行動の1 つです。
講座を通して、所沢に住まう人々が目指すべきゼロカーボンシティの姿について共通認識を持つことができました。また上記のように私たちにもまだまだできることがあると感じさせる内容でした。所沢をサステナブルなまちに…! ぜひ一緒に実現させましょう!
・・・
カーボンニュートラル50に向けて 小田原市の取組みを参考にしながら
TPS理事 栗田 彰
神奈川県小田原市ご説明資料(PDF)より
①市民が主体的に関わる必要があるのはなぜか
地球規模の環境変化、温暖化やプラゴミ汚染などは私たちの持続的生活と安全を脅かす所まで来ていることは多くの人々の認識するところまできました。そこで「私(たち)は何をすることができるのか」と問いを発して、「今行動するべきだ」と考える人は大きく広まってきています。ここから人々のライフスタイルの変化を促すことができそうです。
その方向性は次の3点になりそうです。第一に省エネと効率化、第二に電気の地産地消、第三はエネルギーの分散化です。
市民の1人1人が生産者になり、環境を考えていくことは、従来の供給者(生産者)と受給者(消費者)といった枠組みが変わっていくことです。地域エネルギーの安定供給を図り、脱炭素のための共同の活動が必要になり、地域に富が蓄積し循環することで地域社会が豊かになっていきます。私たちの役割はこうした方向性をより鮮明にし、明らかにすることで市民の再エネと省エネ効率化を促進させていくことであると考えます。
2014年4月、小田原市は「再生可能エネルギーの利用等の促進に関する条例」を策定しました。内容は、「市民参加型再生可能エネルギー事業」を認定し、奨励金の交付を行い、地域固有の資源、地域に根ざした主体により防災対策の推進及び地域の活性化に資するように利用されるべきであり、持続可能なまちづくりの手段とするものである、としています。
小田原市はこの条例に則り、未来の道筋を具体的に描いて取り組んでいます。図1に示したように地域の再エネ発電所が核となり、小売電気事業者や蓄電地との結合(VPP)、電気自動車を組み込みエネルギーマネジメントの導入から地域マイクログリッドへと発展の道を示しています。このように、市民との協同と市の強力な支援がなければ成し得ない取組みで将来にむけてとても参考になります。(次回は、より詳細に内容を紹介し、②政府の再エネ政策との違い、③地域の再エネをどのように進めるべきか、について述べます)
・・・
(仮称)2050 カーボンゼロ所沢市民会議~なぜ、立ち上げるのか~(3)
TPS代表理事 品川 昭
7月3日の「出前講座」で挨拶する筆者
所沢市の出前講座「ゼロカーボンシティ宣言所沢」を開催しました 本稿では前回まで、所沢市民の立場から「市民会議」立ち上げの意義について述べてきました。しかしこれから「市民会議」が立ち上げられ、その打ち出す構想について、市全体の政策として計画を立て、予算を付けるのは市(行政)の仕事です。そして、その予算を承認し、計画を条例として定めるのは市議会の仕事です。つまり、「市民会議」の構想は市民、市、市議会の3 者の力が合わさってはじめて実効性と法的拘束力のあるものになります。
そこで私どもは市の担当部署(環境クリーン部マチごとエコタウン推進課ゼロカーボンシティ推進室)による「所沢ゼロカーボンシティ宣言」に関する出前講座を7月3日に開催しました。「ゼロカーボンシティとは何か」、「なぜゼロカーボンシティに取組む必要があるのか。」、「ゼロカーボンシティ実現のための方策」等の講義を受け、最後に本件は「市民の方や事業者も一丸となって取り組まなければならない」課題として結ばれました。
市民サイドから最初の一歩の会議を始めることを提案します
市の「ゼロカーボンシティ宣言所沢」を市民としてどう受け止めるのか、まずは出前講座主催3団体《所沢市民ソーラー、所沢のあすを考える市民フォーラム、地球環境に学ぶサークル》を中心に講座に参加された方々が集まって、最初の一歩の会議(準備会議)を始めたらどうかと思います。その際に取り上げるテーマは「ゼロカーボンシティ宣言」を市民としてどう受け止めるか。」「ゼロカーボンシティとは何か」をあらゆる角度から議論する。
知識として深めるだけでなく、現状をどう変えるか、自らの問題としてできるところから行動してゆくというスタンスで進めてゆく。そして市民の立場から実践的で実現可能性のある計画書を作成し、市と市議会に提言するところまで向かってゆくことを提案します。
2050年ゼロカーボンシティを達成した所沢市の未来のまちの姿を明らかにしよう
大切なことは、めざす目標の「2050年ゼロカーボン」を達成した所沢市の具体的姿を明らかにすることだと思います。「実質ゼロカーボンシティ」という言葉は科学的には正しくとも、何か息のつまるような感じを受ける人も多いと思います。未来の姿として人間性あふれる社会であり、ゆたかな自然を守り、資源を大切に使い、そして人が人として尊敬しあい、助け、助けられて、豊かに生きてゆく社会、そういう考え方を共有することが大切と思います。
森林活用のすすめ:持続可能な社会づくりのために(3)
TPS理事 吉野 雅一
図1 2018年世界の国別CO2排出量の割合
前回、世界の全森林のCO2吸収量を世界人口で割ると、一人当たり平均キャパシティは5t/年程度だと伝えました。全世界のCO2排出量は、2018年の統計で335億トンでした。世界人口78億人で割ると、4.29t/人となり、足りているのか?と思うかもしれません。これは一人当たりの排出量が少ない国が世界では圧倒的に多く、僅か数か国が多量にCO2を排出しており、排出量2 位の米国では15t/人、韓国やロシアは11t/人、排出量5位の日本では8.5t/人を排出しています。世界一のCO2排出国の中国は人口が14.4億と多いので6.8t/人、排出量3位のインドも人口が13.6 億と多い為に1.7t/人です。近年加速的な発展をしているアフリカ諸国では平均0.9t/人程度です。これらから分かることは、化石燃料を使った近代文明の恩恵に浸っている国々や、爆発的に人口の多い国と世界の工場と化した国々などの脅威があり、野放しに経済活動が拡大してゆけば直ぐに破綻する状況があり、もはや待ったなしでCO2排出量を減らさなければならないのです。
ちなみにガソリンを1ℓ消費するとCO2は約2.3kg排出します。電気消費では約6kWに相当する量です。但し電気は発電方法に依って全く異なりますので、現在の電力発電構成の平均値です。これから計算すれば、各家庭や職場でのCO2 排出量が世界の平均キャパシティを超えているのか否かが分かると思います。
CO2搬出量を抑えるには省エネや再生可能エネルギーへの転換が必要であり、併せてCO2 を吸収して固定化してくれる森林保全が重要になってきます。これを推進してCO2 搬出量ゼロのカーボンニュートラルを目指そうという宣言が世界各地で出されていますが、実現するための第一歩は地球人一人ひとりの意識と実践に掛かっていると言えます。
図2 2018年主要国の一人当たりCO2排出量比較
省エネは「我慢」というイメージが強い方が多いと思いますが、人類の英知で適切に時代なりの設備を利用しながらも実現は可能なのです。しかし、取組む為には初期投資として経済負担が必要になることがネックになっています。少投資で最大効果が得られるように、技術の開発が進められています。
次回は最新の省エネ建築技術と木材の関係に触れてゆきます。
・・・
インタビュー「今後も先進的な活動を期待」
TPSサポーター 山田 久美子さん
TPSサポーターの山田久美子さんに、去る7月11日、山宇農園や西武アグリの発電所を見学の後、インタビューしました。
はじめに、薬剤師をされながら、所沢の廃棄物問題・環境問題に関わったきっかけを教えて下さい。
当時産廃銀座と呼ばれていた、くぬぎ山や所沢市周辺一帯の産廃業者による、劣悪な焼却炉の使用、さらには野焼き状態の焼却により、ダイオキシ類等極めて難分解性で毒性の高い塩素化合物が発生していることを知り、まずは焼却を止めさせるために仲間と各業者を回りました。また、これらの業者の施設周辺の土壌調査を行い、ダイオキシン類、カドミウム、鉛などの含有量調査を行って、県にデータを添えて、対応を迫りました。
一方、所沢市の西部清掃工場の流動床型焼却炉から、高濃度のダイオキシン類が発生している可能性を知ります。確認するため、運転記録データの情報開示を請求しました。行政裁判では敗訴でしたが、所沢市は慌ててバグフィルターを設置し、焼却煤塵の回収を始めました。
さらに、埼玉県内の各所を仲間と回り、いわゆるゴミ山(産廃業者の不法投棄)を20か所以上発見し、周辺土壌の鉛の含有量調査を進めました。ゴミ山の中には、致死性のある硫化水素を発生しているものもあり、県に各データを持っていって、ゴミ山の問題性と県の対応の必要性を指摘しました。
大変な行動力ですね。その後の状況は?
埼玉県との公害調停に入って、埼玉県と業者の三者で協議し、一定の効果はありました。しかし問題はなお山積していて、仲間とともに活動を続けました。こうした活動については、『産廃銀座に挑んだ住民たち:公害調停と裁判の記録』(埼玉西部・土と水と空気を守る会編、合同出版、2005 年)に詳細に記載されています。
途中で、大学院で法学や環境学を学び、学位も取得されたとか?
はい、市民による環境汚染問題の解決のために、もっと有効に行政や業者を動かす手立てはないかと考え、それを学ぼうと大学院の門戸を叩きました。50歳の時に早稲田大学大学院法学研究科に入学し、さらに上智大学地球環境学研究科博士後期課程に進学しました。60歳で博士号取得しました。しかし、博士論文の仕上げ中、仕事も続けながらの激務からか、白血病を突然発症してしまい、緊急入院し、その後長い抗がん剤治療になりました。ほぼ書き上げてあった博士論文の審査会も、担当教授のおかげで大学とスカイプで行うことができました。ただし、病気治療の影響で、環境活動その他一切の活動を停止せざるを得ませんでした。
大変な闘病生活でしたね。差支えなければ、現状をお聞かせください。
幸いにも、現在は治療が功を奏し、深い寛解に入っています。再び、可能な範囲で様々な活動を開始したいと思っています。
現在の関心とこれからについてお聞かせ下さい。
博士論文でもテーマに選んだ、有効な市民参加のあり方を、できるだけ体調を整えて、所沢でも何らかの形で貢献したいと思っています。
最後に、TPS について、一言お願いいたします。
TPS のような先進的な活動は、市も市民も大いに賛同し支援していくべきだと思います。私自身も側面から精一杯のサポートをしたいと思います。
(聞き手:大江宏)
山田久美子 プロフィール
薬剤師・法学修士・博士(環境学)40代の頃から、所沢の廃棄物・ダイオキシン類問題に遭遇し、環境活動に関わる。以来、化学物質汚染問題に関わる。花と草木、犬、馬、石(特に鉱石)など趣味多数。詩集3冊出版。1953 年愛知県生まれ、所沢市在住。
・・・
私の省エネライフ
TPS理事 大島 浩司
所沢のマンションに引っ越してきたのは2015年1月、私としては人生最後の大きな買い物、ここで試したかったのは徹底的な夢の省エネマンションというチャレンジです。
①全ての壁に漆喰を塗る
②全ての窓にインプラス(内窓)を取り付ける
③冬の外光を取り込む採光ブラインド「アカリナ」を取り付ける
④全ての照明をLED化する
漆喰壁:グリーンとホワイトのツートン
マンションの購入は前年12月、約一か月かけて省エネの準備をします。まずは快適な空間を造るため壁に漆喰を塗ることとしました。岡山の漆喰専門メーカー「ロハスウォール」の指導を得まして、自分で塗りました。部屋の中は漆喰が垂れ、真っ白になりますから養生の大切さを教えられました。完璧な養生が出来れば80%完成と言われています。天井を塗る際は自分の顔・頭に漆喰が降ってきますので、体の養生も大切です。
▼漆喰・珪藻土の専門店ロハスウォール
https://www.lohaswall.com/
こうやって完成した漆喰壁は空気をきれいにし、湿度の調整をしてくれます。最初の3年間はエアコン無しで過ごしました。暑い日に家の中に戻ると漆喰のおかげでヒヤッとします。ちょうど洞窟に入ったような感じです。しかし2018年はとても暑い夏だったので耐えきれずに最新省エネエアコンを購入しました。広い室内を1台のエアコンでカバーできたのは漆喰のおかげです。空調にかかる負荷が減り、とても省エネで暮らせます。
2重窓:右側が内窓
次に取り組んだのが内窓のインプラス。元々あるアルミサッシの内側に樹脂サッシを取付けます。熱の出入りが一番多いのが開口部である窓です。一般的に窓のサッシはアルミで出来ています。アルミには熱伝導が高いという特徴があります。つまり熱が逃げやすく、入りやすい。日本ではなぜこんなものを窓サッシに使うか不思議です。北欧や北米などの寒い国では木製サッシが当たり前です。インプラスは樹脂製ですから熱伝導が低い、ガラスはLow-E 複層ガラス、外側もペアガラスが使われていますので、4重ガラスという事になります。これで暑い夏でも、寒い冬でも温度コントロールは充分できます。
▼LIXIL(リクシル)のオンラインショップ
https://www.lixil-online.com/
採光ブラインド「アカリナ」
採光ブラインド「アカリナ」夏の効果はありませんが、冬の日に部屋に入り込む太陽光を効果的に拡散してくれます。昼間は照明を付けなくて良いです。
▼閉めても明るい節電&採光ブラインド「アカリナ」
https://www.akari-company.co.jp/
LEDライト
最後に照明のLED化を徹底、今までは蛍光灯を使っていましたが、更なる省エネを目指しました。これからも省エネネタを探しては果敢に取組んで行くことが私の省エネライフです。
・・・
コロナ禍にオリピック開催を思う
TPS代表理事 品川 昭
コロナ禍のなか東京オリンピック2020は7月23日に始まりました。柔道では阿部兄妹が男子66kg級、女子52kg級でそれぞれ金メダルを獲得、卓球では水谷・伊藤コンビによる混合ダブルスで念願の中国チームを破っての金メダル、16年ぶりに開催されたオリンピックでの女子ソフトボール競技においては見事日本チームが宿敵米国チームに勝って金メダルを獲得するなど感動する場面が多くあり、アスリートにとっては誉れ高き場であり、オリンピックを開催した意味は認めるものです。しかし、他方で新型コロナウイルス感染拡大に関しては 7月27日、東京都の新規感染者数は2848人と発表されました。これまでの最多だった今年1月7日の2520人を上回りました。埼玉県の同日の新規感染者数は593人で、1月8日609人に次ぐ新規感染者数となりました。また、バブル方式で守られたはずの東京五輪の選手と関係者の感染者数は累計で174人となりました。今後、第3波(昨年の12月~2月)を確実に超える大波(第5波)となって日本を襲おうとしています。
緊急事態宣言下の東京でなぜ感染急拡大したのでしょうか。長く続く緊急事態宣言に対する緩みに加えて、4連休、夏休み、五輪が重なり人流の増加したこと、そして新型コロナウイルスが感染力の強いインド型(デルタ型)に変異したことです。20代~50代の年代層に急拡大しており、重症化事例も多くなっています。この世代にこそワクチン接種が待たれますが、高齢者へのワクチン接種は比較的順調に進んだものの、政府の「怠慢」で全国的にワクチンの供給が遅れています。所沢市の場合はこの年代層に対して、7月中にワクチン接種券が配布され、8月から予約が入れられるようになっています。第2回目の接種が終わるのはおそらく9月ごろと推測され、オリンピックが終わるまでは感染急拡大は止まらないと思います。コロナ禍で経済的に直撃を受けた若い世代に、ワクチン接種においても後回しになり、感染拡大の危機に晒されているのが実態です。
政府がコロナ禍において安心安全のオリンピック開催するのであれば最初から期限を切って勤労、学生世代にワクチン接種の戦略をたててやるべきでした。全くの政府の「怠慢」であるというほかありません。
・・・
5・6月の発電量実績
TPS 理事 栗田 彰
5月は雨の日が続き発電量は少なめに推移しました。金額ベースで予想より9千円弱低くなりました。6月は梅雨時期とはいえ、ほぼ予想どおりの結果となっています。
・・・
<新着情報・遅着情報>
西武グループ・ソーラーシェアリング竣工
報告と写真 TPS理事 森 斌
ブルーベリー
4月号でお知らせした西武グループの「所沢北岩岡太陽光発電所」が完成し、7月9日に竣工式を行いました。FITは利用せず、5月15日より「ところざわ未来電力」に全量売電を行ない、発電は順調に推移しています。なお、この事業は環境省と所沢市の補助金事業に採択されています。
農地では約40%がブルーベリーを栽培し、来年観光農園としてオープンする予定で、防草シートを敷き詰めた上に125Lのポットに植えたブルーベリーが並んだ様は壮観です。
ブドウ
約40%には食用のブドウを植えていますが、収穫は再来年になりそうです。残りの約20%にはワイン用のブドウを植えています。8年目には合計で年間13,600kgの収穫量を見込んでいるそうです。
じか植えのブドウ畑では雑草の伸びが激しく苦闘していますが、人力ではなくオートモアという草刈り機(掃除機のルンバのようなもの)を導入し、夜間も無人で草刈りをさせる予定で、現在1台稼働していました。
・・・
「人新世」って?
TPS理事 大江 宏
耳慣れない「人新世」という言葉は、ベストセラーのタイトルやマスメディアでかなり知られてきました。
現在の地球は、地質学的に見て「人新世」という新たな年代に突入したと言うのです。一言では、人間の活動が、火山爆発、地震、台風とかの自然要因以上に、地球の生態系の状態を決定する最も重要な要因となった時代という意味です。
現代は、地質年代区分で11,700年前に始まった「新生代の第四紀の完新世」とされます。「完新世」は最も新しい年代で、現代を含みます。つまり「人新世」は、「完新世」年代から、人間活動による地球への影響が著しくなった近年を区別して「人新世」として捉えるべきだという提案です*。
現生人類が地球上に出現してから約10万年と言われますが、人類が現代文明を築き始めたのは、驚くほど安定した間氷期の状態にあった完新世に入ってからです。約8000年前に、人類の発展を画した農耕が始まり、定住社会が形成されました。完新世を通じて、14℃から上下1℃以内に収まっていました(現在の地球に類似した、過去300万年間(第四紀)、平均気温は一度として2℃以上上昇したことはなかった)。「完新世」は人類にとって「エデンの園」なのです。
ところが、現在すでにこのレベルを超えて、世界の平均気温は、1.2℃上昇し、最期の氷期が終わって以来最高の気温に達しているのです。「パリ協定」で産業革命前からの気温上昇を2℃よりも十分低く保ち、1.5℃以下に抑える努力をすることは地球科学的な根拠があるのです。
*「人新世」(ひとしんせい、じんしんせい)は、The Anthropocene(アントロポセン)の訳語で、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェン(1933~2021)らによって、2000 年に開かれた地球システム科学の会議で発案された。
一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 (略称TPS会報)
第10号 2021年(令和3年)8月1日発行
編集:TPS編集委員会 発行責任者:品川 昭
連絡先e-mail : tokorozawa.shimin.solar@gmail.com