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つどえるサロン2022・2期レポート〜スーパー公務員・宮下智さん編(群馬県庁)〜

みなさんこんにちは。T-projectです。
「クリエイティブ公務員」をテーマに活動を行ってきた今季のつどえるサロン。12月9日に開催のつどえるサロンでは、群馬県の職員で「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」受賞スーパー公務員・宮下 智さんをゲスト講師に迎え、これからの公務員の働き方や「地域に根づいた豊かな暮らし」を担うまちづくりについてお話を伺いました。

開催概要
日時:12月9日(金) 18:00〜21:00
会場:東海村役場
ゲスト講師:宮下 智さん(群馬県職員)

宮下 智さん
1996年群馬県庁入庁。知事戦略部デジタルトランスフォーメーション戦略課NETSUGEN室課長補佐。2017年夏に県庁前の芝生広場で仲間と公民連携型のナイトマルシェ「base on the GREEN」を開催。県庁内の部局横断組織「官民連携まちづくりプロジェクトチーム」、地元の太田駅北口エリアを盛り上げる「キタグチゴールデンカンパニー」、全国の公民連携事業の実践者のネットワークである「NPO法人自治経営」、公営競技のオートレースの活性化を図る「伊勢崎オートレース部」など様々な活動を通じて「地域に根差した豊かな暮らし」を追求。
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2020受賞」

NETSUGENの事例

まず最初に、群馬県の官民共創コワーキングNETSUGENの事例について、今年4月から運営に関わる宮下さんの視点からお話を伺います。

NETSUGEN(ネツゲン)概要:
群馬県庁32階にある官民共創スペース。登録会員が使用できるコワーキングスペースや打ち合わせスペース、イベントや講座にも使用できるセミナースペースがある。


「ついこの間は、地元の中学生がyoutube用の映像制作について相談に来てくれました」

そう宮下さんが話すように、NETSUGENの大きな特徴のひとつは「交流する場所」であること。ただそれぞれが仕事をこなすワークスペースではなく、「アイデアを形にしたい人と事業の発展をめざす企業家、それを支援する人や事業者が集まり」交流や、相談会ができる空間なのだといいます。NETSUGENの会員はそれぞれ月2回までスペースを使用してイベントを開催する事が可能で、必要な際には、プロによる事業アドバイス、協力してくれる機関や地域の事業者の紹介、資金調達のアドアイスも求める事ができるのだとか。

今年4月に運営に携わるようになった宮下さんが、この場所を動かすにあたって心がけていることは「Noと言わない」こと。まちのひとの「やってみたい」に寄り添いNoを言わず実現する方法を考えるのが自分(=行政)の仕事であると語ります。

これまでに、ヨガ教室や動画の作り方講座、歌番組の企画・配信イベントまで幅広く企画にGOサインを出してきた宮下さん。その結果、4月からの約半年間に月額会員は90名から120名に増加イベント開催は前年の倍の180回の実績を得たそう。

現在では、NETSUGENは県の一般財源を使用せずに運営が可能なまでになっています。

これからの公務員の働き方

NETSUGENに限らずこれまでも「地域に根ざした豊かな暮らし」を掲げ、数々のまちづくりを働きかけてきた宮下さんですが、その豊かな暮らしを実行するためには、あらためて自分の「働き方」を見つめ直す必要があるとも話します。

なぜ、公務員も働き方を変えていかなければならないのかの答えは「時代の変化」。未曾有の人口減少社会の中、税収も職員も減ることが予想される一方で、昨今のコロナ禍で自覚した人も多いように、ニーズも求められる業務も多様化しているからです。

宮下さん
「つまり、仕事を効率化して、自ら変化し続けないければ『豊かに暮らすこと』は難しいのです。そのためにも、私たち公務員はまちに飛びこんで自分をアップデートし続ける必要があります」

ゴールは「人生を豊かにすること」

宮下さん自身は、業務効率化によって「基本的に残業はしない」「テレワークを活用」などの働き方を実践しているといいます。

ここで大切にしたいのは「業務の削減は目的ではない」こと。
仕事と私生活で相乗効果を生み、両方の質を高めること」こそが、ワークライフバランスと呼ばれるものなのだそう。ゴールは人生の豊かさです。

宮下さん
「業務を効率化すると、プライベートは自己研鑽や、趣味でリフレッシュ、または地域での人脈作りに使う事ができます。それによって仕事もプライベートも良くなり、自分の人生が豊かになるのです」

宮下さんのプロジェクトと気づき

個人としても、住民のまちづくりを担う行政としても様々な立場から「豊かなくらし」へのアプローチを行ってきたことが分かる宮下さん。

今回のつどえるサロンでは、そんな宮下さんが今までに公共、民間の立場から行ってきたまちづくりプロジェクトの一例と、その気づきもシェアいただきました。

ー事例1ー
◎群馬県庁前の芝生広場を活用したマルシェイベント(2017年)

2016年にまちづくり担当の部署に配属された宮下さんは、遊休不動産の活用を市民に働きかけるなか「自分達でもやってみよう」と公共不動産を活用したまちづくりの実証実験を企画。整備されているにも関わらず、活用されていなかった県庁前広場を利用し、マルシェを実行。業務で知り合った民間プレイヤーの手も借りて実行したイベントの来場者は3時間の開催で1000人以上。売上は60万超

▷宮下さんの気づき
・行政にできない事や人脈、アイデア出しなどの不得意分野は、民間プレイヤーに頼ってもいい。
・人の賑わいを生み、経済の循環を創出することで、公共空間の維持費なども税収を使用せずに賄う事が可能と試算できた。


ー事例2ー
◎Base on the green PJ(2018年〜)


公務員としてではなく民間の立場から宮下さんらが企画。「地域に根ざして、自分達の手で豊かなくらしをつくろう」がコンセプト。
駅前広場や市役所前などの公共空間を使用したマルシェイベントは、通算50回以上開催されている。

行政ではなく「民間」として動いたからこそ可能だったと宮下さんが振り返るのはコロナ禍に見舞われた2020年夏の開催。飲食店が厳しい経営を強いられる情勢のなか、屋外イベントの強みを活かして実行したマルシェは夏季のみで14回にのぼる。また、当初は使用の許可がでなかった公共の場所も、空き店舗改修等の民間イベントを繰り返し、実績を詰んだことで対応が軟化。使用許可が降りるようになったばかりか、今では公共空間でのイベント開催打診があるほどなのだそう。

▷宮下さんの気づき
・行政では実行できないことも民間なら自由に動く事ができる。
・実績を積む事で、「公共/行政」空間の使用が可能になることも。

ー事例3ー
dot-pRoject(2019年〜)

県庁官民連携まちづくりプロジェクトチーム。県庁職員の業務ではあるが、個人名義での参画のため異動先部署に関わらず継続可能。
「行政」として動いたからこそ可能だったことの一例は、歩道を使用してイベントを開催するにあたって「県道の道路占用許可基準を緩和」して実行にこぎつけたこと。基準変更は実に40年ぶりの改訂で、プロジェクトチーム内に道路管理部署の職員がいたからこそ出来たという。

▷宮下さんの気づき
・行政だったからこそできる事もある。ルールを変えられるのは行政だけで、かつ行政がやるべきこと。
・管理するのが行政の仕事ではない。前例踏襲ではなく必要に応じてルールを変えることも重要。

まちづくりにまわりを巻き込むためのポイント

宮下さんの発表する事例のなかには、「改革」とも言えるようなアクションの数々も。それらの実現にあたっては、職場の内外を問わず連携が不可欠なことが伺えます。東海村でまちづくりに関わる職員からは、それを可能にした「周囲の巻き込み方」について知りたいとの声があがりました。

宮下さんは答えます。

宮下さん
人を動かすのは、信頼関係。だから自分は何者で、まちの人のために何ができるのかを知ってもらわねばなりません。そのために自分自身のアップデートが必要なのです。それによってはじめて、志ある民間プレイヤーと連携し、地域経済の好循環を生む事ができます」

民間をまきこむ2つのポイント

✔️自分がやっていることを「楽しく発信」する
・情報は発信するところに集まる。

✔️自分が何者なのかを認知してもらう
・「顔なし公務員」ではなく「この人は●●が得意で○○ができる〜さん」と覚えてもらう

おわりに

たくさんのお話の最後に「これらは誰のためでもなく、自分のためにしていること」でもあると宮下さんは加えました。自分が楽しいと思えることを突き詰めたことで仕事に作用し、結果としてまちや住民に還元されたのではないかと分析しているのだそう。

おわりに、この日参加した職員に対し
「自分があったら良いなと思うイベントや企画は、まずやってみること。うまくいかなくても、やり続ける限りは失敗ではない」
そうエールを送ってくださいました。


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東海村つながるプロジェクト

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【主催】東海村T-project 
【企画サポート】株式会社カゼグミ

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