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スマホクリエイターズLab.【DAY5レポート】ー取材の仕方・リテラシーー
ライティングや写真、情報発信のスキルをプロから学びながら、住民ライターが東海村の魅力を発信するプロジェクト「スマホクリエイターズLab.東海村」。
第5回目の講座を10月28日(金)に開催しました。
DAY5のテーマは「取材の仕方」
ゲスト講師は、ファシリテーターの鈴木高祥さん。クオリティの高い情報発信を行うために必要な取材のポイントやコツを、鈴木さんの豊富な取材・ファシリテーションの経験から学びます。
ゲスト講師:鈴木高祥さん
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株式会社カゼグミ 代表取締役
T-project企画サポート
東海村スマホクリエイターズLab事務局
取材とは?
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DAY5のテーマである「取材」とは、ライティングのための準備に限らず、写真や動画、番組の制作などあらゆるジャンルにおいて広く行われているもの。普段あまり意識することは多くはありませんが、私たちが触れる広報物やニュース、アート作品などたくさんの情報の影に必ずと言っていいほど存在しています。
ではそれらのシーンで取材をする意味とは何なのでしょうか?
鈴木さんは、こう話します。
鈴木さん
「数字の裏付けをとるなど、正確性を担保するためであったり、取材対象者本人の口から語られる言葉を直接知ることができる機会が取材です。それによって、記事の価値をより高いものにすることができます」
完成した記事に、執筆ライターの個性が現れるのは、取材をしたか記事だからこそ。取材をすることによって、ソースのはっきりした情報を得ることができ、オリジナリティのある記事を世の中に出すことができるようになるのです。
<取材をする意味 ー取材で得られるものー>
・正確性
⇨→数字・事実の確認(いつから? 誰が)
・オリジナリティ
⇨→本人(取材対象者)の言葉で語られる内容/ライターの個性が出る/他の記事のコピーでない(情報のソースがはっきり)
・ニュース性
⇨→次節に合わせてリリースすると価値があがる
・メディアの特性・編集の形態に合わせる
⇨→(動画/WEB /紙)媒体で集める情報が変わる
取材の準備
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記事を作るにあたって、大切な取材。重要な要素だと分かったからには、下準備は入念にしたいところです。取材の準備を始める前に確認しておきたいポイントは以下のとおり。これは、取材に関わるメンバーが複数いる場合は、認識を合わせて意識の共有しておきたい要素でもあります。
取材準備の前に確認したいこと
☑︎その人や場所を選んだ選定理由
→新しいから、珍しいからだけでは×。取材して、読む人に何を伝えたいか
☑︎メディアにとって適切な人選か
→同じ事象での取材でも、媒体特性によって取材対象者が変わる場合もある)
☑︎(行政案件の場合)取り上げるエリアは公平か
☑︎記事化までの取材スケジュール
→メンバーそれぞれの作業時間を考慮する
特に、選定理由は大事にしたいポイント。
取材対象者にも、事前に「何のための取材か」「目的は何か」「スケジュール」と合わせて共有するのがベストです。
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取材本番!質問の準備とインタビューのコツ
十分に事前準備を済ませたら、次に迎えるのは取材本番。講座は誰もが知りたいインタビューのコツへと進みます。
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鈴木さん
「取材する質問事項は、基本的に事前に準備しておきましょう。記事化にあたって、数字や時系列など必ず聞かねばならない項目が出てくるのでそれらを漏れなく聞くようにします。取材時間内に確認を終わらせるために、優先順位の高い項目から聞いておくなどの対応をするのもポイントです」
やはりここでも、大切なのは事前準備。
また、数字や事実の確認だけでは魅力ある記事を書くことはできないため、インタビューでは、取材対象者には具体的エピソードや、自身の思いを語ってもらう必要もあり、それらを考慮した質問を用意することが肝要です。
とは言え、あまり難しく考え過ぎなくても大丈夫。鈴木さん曰く「良い記事」を書くために取材時に抑えておきたい質問の軸は、おおまかに次の時間の流れに沿って考えることで、良い回答を得やすくなるのだとか。
おさえておきたい質問ポイント
過去 why 「なぜはじめたの?」「いつから?」
現在 取り組みの今の状態=全体像と詳細の深掘り
未来 課題感 これから挑戦したいこと、こうありたい社会
☑︎ポイント
鈴木さん「質問時は、時系列通りに話をしなければならないと思いがちですが、時間や時期は行き来して話してもらってOK。会話の流れを切らないようにお話を続けることが良いエピソードを引き出すためのポイントです」
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また、エピソードを引き出すコツは質問を「シーンで切り出す」こと、だと鈴木さん。例えば「『お店のオープンの時』は大変だった?」「『誰』がいつも手伝ってくれるの?」「『最初に』アイデアを出した人は誰?」など、範囲を絞って質問を投げかけることで、より詳細なお話を語ってもらうことが可能になるのです。
取材練習
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講座の最後には、メンバー同士がペアになって取材の模擬練習。10分間でお互いを取材し合います。
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それぞれ10分間の取材を終えた後には、
「限られた時間内で必要なことを聞こうとすると、自分が喋り過ぎてしまう」
「会話をしながらメモを取るのが難しかった」
「事前に用意していた質問内容をの話題が相手から先にあがると焦ってしまう」
など今日の反省の声があちらこちらから上がりました。会話をしながら必要事項を聞きだす、取材ならではの難しさを実感した今回のワークでした。
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DAY5のおわりに
ゲスト講師による講義パートは今回をもってコンプリート。いよいよ、次回からは取材に向けた本格的準備に入ります。実際の取材前に体験をしたことで、記事執筆の具体的なイメージが湧いてきた一同。取材先候補も無事決まり、次回は取材直前ラストの編集会議となります。
主催:東海村T-project