【エッセイ】夫婦のすれ違い劇場① | 男の狩猟本能とは
男女というのは、脳の作りや感覚がどうも違うらしい。
我が家は夫婦になってまだ3年目だが、その違いのすり合わせに日々奮闘している。
妻である私が理解し難い夫の行動のひとつが、キッチンの使い方である。
夫が土日にご飯を作ってくれるのは大変ありがたいのだが、問題はそのあとだ。
キッチンが水滴で水浸しになったままなのである。
夫のプライドを傷つけないように、少し回りくどい言い方で聞いてみた。
「友達の旦那さんもみんなそうらしいんやけど、なんで男の人ってキッチンの水滴、そのままにしとくんやろね?」
すると、夫が答えた。
「男ってもともと狩猟民族やからさ。狩猟本能って、動いてるものにしか目がいかんらしいよ。」
なるほど。狩猟本能は動いているものにしか興味がないから、キッチンでその場で停止している水滴には目が行かないのだと。
思ったより説得力のある回答だったので、ほうほう、とつぶやいてその場はそっと私がキッチンの水滴を拭いておいた。
その数分後。
昼食を終えて、夫は満腹になったお腹を抱えながらリビングのソファに座ってスマホをいじっていた。
腹が満たされてすっかり元気になり、あちこちで思いつく限りのいたずらをして走り回る2歳の娘を前にして、注意することもなく、共に遊ぶこともなく、彼は微動だにせずスマホをいじっていた。
おい夫。
お前の狩猟本能、どこ行ってん?
キッチンから冷たい視線を送りながら、盛大にツッコミを入れた。
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