【エッセイ】育児は間違いなく仕事のスキルアップに繋がる
2歳8ヶ月を迎えた娘がいまはまっているのが、お料理だ。
もともと食べることが大好きだった娘。
食材や調理に興味を持ち、お話が上手になった頃から「おりょうりしたいの」と伝えてくれるようになった。
巷でも「五感を使う料理は脳の育ちに良い」なんて話をよく聞くので、これはチャンス!知育知育!と思って母は張り切った。
どこかで貰った粗品の子供用のエプロンと、キッチンの作業台に届く踏み台を用意して娘に手伝わせようとしたのだが、これが苦難の道のりの始まりだった。
お料理をお手伝いしてもらうためには必要なステップが数多くある。
1、料理の全工程の中で、2歳すぎの娘でも出来る安全な作業を切り出す
2、18時からの夕食の開始時間に間に合うように、娘に好きにやらせる時間と、母が手を出し始めるタイミングを決める
3、母による手助けを拒否されるときには、娘のやる気を削いで機嫌を損なわないようにうまいこと言葉をかける
4、上記のことを、自分がやるべき家事をやりながら見守る(黄昏泣きの次女の対応も含む)
え、めちゃくちゃ難しくないか?と思った。
娘のいまの手先の器用さを正確に把握しなければいけないし、母も娘も双方イライラしてしまっては知育もクソもないのでモチベーションコントロールもかなり重要になってくる。
こんな葛藤を続けて、はた、と気づいたのは、あれ?私これに近いこと仕事でしてたのでは?ということだった。
私は外資系コンサルティングファームで管理職の端くれとして働いていたが、初めてプロジェクトマネージャーをしたときのことを思い出した。
何が面倒だったかって、クライアントの期待に答えることよりも部下に満足なパフォーマンスを発揮させることだった。
これ、私がひとりでやったほうが早くね?と思いながら、絶妙に部下が背伸びして実力がつくような仕事を切り取り、渡し、管理し、デッドラインに間に合いそうになければその仕事を巻取り、巻き取った上でモチベーションは落とさないように声掛けする…
いやまさにいま娘にお料理のお手伝いでさせたことと一緒すぎて笑った。
育休で仕事の能力が下がるのでは?と心配している全ママにお伝えしたい。
育児ってほんとにマネジメント能力が上がります。スキルアップします。
何よりいい経験になったのは、「仕事を任せる」ことの成功体験を育児で積めたことだと思う。
昨日はできなかったゆで卵の皮むきを、ひとりでやりきったときの娘。
昨日はこぼしちゃったお味噌汁の粉末だしを、上手にお鍋に入れられたときの娘。
その笑顔と満足そうな顔を間近で見て、「人が育つ」ことのじんわりしたあたたかい嬉しさを身を持って体験できた。
管理職になったタイミングがコロナ禍と重なったこともあり、仕事はほとんどリモートで行っていた。
それゆえに、私は部下が「できた!」と達成感を覚える場面を直接見ることがほとんどなかったのだ。
人が育つ瞬間というのは、その準備にかける手間の面倒くささもぶっ飛ぶくらいに嬉しいものだった。
仕事復帰してからも、あー時間ないのに!自分でやったほうが楽!とイライラせずに、部下の育成をあたたかい目で見守りたいなと思う。
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