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冷たい頬

1.基本情報

「冷たい頬/謝々!」
スピッツシングル初出アルバム『フェイクファー
リリース1998年3月18日規格CDシングル録音1997年12月ジャンルロック
J-POP時間冷たい頬:4分4秒
作詞・作曲草野正宗

2.Music Video

3.歌詞

あなたのことを 深く愛せるかしら
子供みたいな 光で僕を染める
風に吹かれた君の 冷たい頬に
ふれてみた 小さな午後

あきらめかけた 楽しい架空の日々に
一度きりなら 届きそうな気がしてた
誰も知らないとこへ 流れるままに
じゃれていた 猫のように

ふざけ過ぎて 恋が 幻でも
構わないと いつしか 思っていた
壊れながら 君を 追いかけてく
近づいても 遠くても 知っていた
それが全てで 何もないこと
時のシャワーの中で

夢の粒も すぐに 弾くような
逆上がりの 世界を見ていた
壊れながら 君を 追いかけてく
近づいても 遠くても 知っていた
それが全てで 何もないこと
時のシャワーの中で

さよなら僕の かわいいシロツメクサと
手帳の隅で 眠り続けるストーリー
風に吹かれた君の 冷たい頬に
ふれてみた 小さな午後

4.歌詞考察

それにしても名曲だな。

AメロBメロがしっかりとあってサビにくる。という典型的な流れではなく、Aメロとサビの繰り返しという単純構成が『冷たい頬』の特徴だと思う。

 ①Aメロ「あなたのことを深く愛せるかしら」〜
 ②Aメロ 諦めかけた 楽しい架空の日々に〜
 ③サビ   ふざけ過ぎて〜
 ④サビ   夢の粒も〜
 ⑤Aメロ さよなら僕の〜

『冷たい頬』を「少年の失恋」の曲ではないかと解釈している。
頬というのは心を表しており、嬉しい時や感情が高まっている時、頬は赤く熱くなる、反対に悲しい時には頬は無血色で冷たい。
心と頬は連動しており、「冷たい頬」とは「冷たい心」を表していると考えることができるのかな?
頬は他人から見ることができるが、心は他人から見ることはできない。
『冷たい頬』の主人公である僕は、
好意を寄せている「君」の表面的な頬を見ることはできるが、「心」を見ることはできない。
彼女の心が自分に向いていないことを、告白を経て知ってしまう。そんな曲と解釈した。

あなたのことを 深く愛せるかしら
子供みたいな 光で僕を染める
風に吹かれた君の 冷たい頬に
ふれてみた 小さな午後

Aメロ①の部分
思いを寄せている女性に告白をして、呆気なく振られてしまうシーンだと解釈をしている。
「あなたのことを深く愛せるかしら」えへへ。って

-ここからは妄想-
人気者の君。
誰にでも優しい君からの優しさを"好意"だと勘違いしている僕は告白をするも、簡単に振られてしまう。
優しい彼女は子供のような目で。キョトンと。
「あなたのことを深く愛せるかしら?」と

"君の冷たい頬"に気付いてしまったのかな?


あきらめかけた 楽しい架空の日々に
一度きりなら 届きそうな気がしてた
誰も知らないとこへ 流れるままに
じゃれていた 猫のように

Aメロ②
告白をする以前の僕の妄想のシーンであると解釈している。
君と付き合い「猫のように戯れ合っている」楽しげな架空の日々を想像している僕。

あきらめかけた 楽しい架空の日々に
一度きりなら 届きそうな気がしてた

Aメロ①の部分で、
「誰にでも優しい彼女」と解釈をした根拠はこの歌詞に由来する。
全く相手にされていない場合、一度きりなら届きそうは気はできないだろう。
優しくしてくれる=好意がある と勘違いしている僕の勘違いを描いている。


ふざけ過ぎて 恋が 幻でも
構わないと いつしか 思っていた
壊れながら 君を 追いかけてく
近づいても 遠くても 知っていた
それが全てで 何もないこと
時のシャワーの中で

サビ
自分の妄想(Aメロ②)が馬鹿げていることはわかっているけれど、妄想の中の自分は幸せで楽しくてたまらない。こんなにも幸せならは、それが幻でも構わない。と思っている僕。
妄想の中ではうまく振る舞える僕だけど、実際にはうまく接することが出来ず、近づいてみるけれど話かけられずに。他の人と楽しそうに話をする彼女の声に耳を傾け、結局いつも遠くから彼女を見つめている。
彼女の好きな映画も好きな食べ物も、誕生日だって全部知っているつもりだったけど、何を願って、何を思っているのかも。結局大事はことは何も知らない僕が現実にいること。

幸せな妄想と、現実との乖離に苦しんで心が壊れそうになりながらも、それでも好きで追いかけている主人公を描いているのではないだろうか。


夢の粒も すぐに 弾くような
逆上がりの 世界を見ていた
壊れながら 君を 追いかけてく
近づいても 遠くても 知っていた
それが全てで 何もないこと
時のシャワーの中で

2つ目のサビについても、前のサビと同様の解釈ができるだろう。
夢のような架空の日々(妄想)と現実での君と僕との関係には大きな乖離があり、
現実とは違う景色を妄想していたことに気づいている僕の気持ちを表現しているように思える。


さよなら僕の かわいいシロツメクサと
手帳の隅で 眠り続けるストーリー
風に吹かれた君の 冷たい頬に
ふれてみた 小さな午後

ラストのAメロについて、
ここで初めて出てくる「シロツメクサ」というワードがこの曲のキーとなっていると思う。

白詰草には「私を思って」「幸運」「約束」「復讐」とたくさんの花言葉があります。
四つ葉のクローバーのイメージに「幸運」の花言葉はぴったりですし、「私を思って」や「約束」は女性らしさを感じさせる言葉ですから、可憐に風に揺れる花の様子に合っている気がします。
ただ、「復讐」という花言葉だけは異質です。なぜかわいらしい白詰草に「復讐」などという花言葉が与えられたのでしょうか?
はっきりしたことはわかっていませんが、他の花言葉と関連づけて、「私を思って」と「約束」したのに裏切られたから「復讐」するという解釈もなされています。

https://www.gardensora.com/himitsugarden/visualdictionary/detail.php?id=40#:~:text=白詰草には「私を思って」「,言葉だけは異質です%E3%80%82

シロツメクサは「私を思って」「幸運」「約束」「復讐」とたくさんの花言葉を持っている。
『冷たい頬』の解釈について、
どの花言葉を当てはめるのか、人によって解釈の差が大きく出る部分かと思う。

馬鹿げていた自分の幸せな妄想を「かわいいシロツメクサ」に擬えて、振られてしまった行き場のない気持ちに「さようなら」をしているという解釈もできるだろうが、私は以下のように解釈をした。

勝手な妄想をしていた僕は、彼女からの好意が自分にあることを確信したから告白をしたと思っている。(チャンスが全くないのに告白するのはすごい度胸で、私にはできない。。。)
僕は彼女との幸福な日々を確信していたのに、裏切られてしまった。
「僕の」かわいいシロツメクサ(自分の幸せな日々)を壊した彼女に"復讐"をしたいと思っているのではないか解釈する。

手帳の隅で 眠り続けるストーリー
風に吹かれた君の 冷たい頬に
ふれてみた 小さな午後

風に吹かれた君の『冷たい頬』というのは、
復讐後の彼女の冷たくなった頬(死)を優しく撫でている狂気的な主人公を描いているのではないか。

眠り続けるストーリー

この言葉の解釈は、各々に委ねたい。

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