アイデアは産み出すものではなく、どこかに『ある』ものだ。
こんにちは。ぼくはグラフィックをメインとするデザイン事務所の代表をしているいぐち(@toysleft)です。
ぼくたちが携わるいわゆるクリエイティブのお仕事は、なんらかの課題をアイデアでもって解決する仕事だと考えています。
なのでぼくたちは、どんな立場にいようとも、【アイデア】【発想】という言葉から逃れることはできません。アイデアの枯渇は死を意味するのです。
もちろん死ぬわけにはいかないので、なんとかアイデアを作ろうとする、産もうとする。でも、じつは、この向き合い方がよくないと思っています。
「アイデアは産み出すものではなく、どこかに『ある』ものだ」。
タイトルでもあるこの言葉は、どこかのぼくが作った名言で、アイデアって、ぼくの生産物ではなく、どこかに「ある」ものだと思っています。見つけに行く感覚。
それなのにこれをみんな作り出そう、産み出そうとするからつらいのです。
そこで今回、ぼくなりのアイデアを「見つける」コツを、できるだけていねいに、得意な(自称)イラストを使いながら説明しようと思います。
ベースはマインドマップ
発想の基本は連想です。それをマインドマップの手法で行うことが多いです。ひとつのキーワードからどんどんと連想していき、アイデアを広げていく手法です。
だれもがやったことのあるこの連想。その連想のやり方に、ほんの少しだけコツがあります。まずは、うまくいかない例からご紹介します。
夏休みといえば緑のフタ?
今回は「夏休み」から連想してみます。
夏休みといえばキャンプ。
キャンプといえば、うーん…虫!
虫といえば…虫かご…。
…虫かごといえば緑のフタかな…。
あれ…。
なんや緑のフタって。
連想の特徴として、具体的な連想を続けてしまうと、前後のつながりはつよいが、連想の幅がちいさくなります。
下記を見てください。どんどんアイデアが小さくまとまっていく様子がわかるかと思います。
具体的なものから連想するものは、どんどん少なくなっていくのがルールのようです。
たとえば「夏」という言葉から導き出されるイメージはたくさんありそうですが、「寝袋」から導き出されるイメージは多くない。広がりが少ないですね。
がんばって広げたところで「激務で終電逃して帰れないから会社に泊まる」ぐらいなもんです(遠い目)。広がったところで、この連想は一部の人にしか理解できないことは自明でしょう。
もちろんアウトプットするためには、ある程度まとめていく過程は必要なのですが、これだとさすがに意味不明ですよね。
夏休みは、怖い?
つぎのパターンを考えてみましょう。
夏休みといえばキャンプ。
キャンプといえば、うーん…山!
山といえば…そうだな…動物が多いな。
山にいる動物はクマとかやっぱ怖いな。怖い。
あれ…。
いや夏休み怖くないでしょ楽しみでしょうよ。
今回の連想は、逆に掴みどころがない連想に終始しています。
抽象度が高すぎる連想もまた、いつまでたっても「これだ!」と思うワードにたどり着かない。概念ばかり連想しており、夏休みとの関連が希薄に感じちゃいますよね。
抽象的な言葉は、それが持っている意味が広く、明確なイメージにつながりにくいです。
たとえば「山」に対するイメージは、ほんとうに人それぞれです。登山をイメージする人もいれば、地元を思い出す人、カブトムシを想像する人もいるかもしれない。
抽象から抽象へ連想すると、広がりはあるものの、お互いのつながりは弱くなるということを覚えておいてください
結論:夏休みは濡れたTシャツがエモい
では、今回は具象と抽象をバランスよく連想してみましょう。具象から抽象、そして具象へ。その具象からふたたびの抽象へ。
夏休みといえばキャンプ。(具象へ)
キャンプといえば、うーん…山!(やや抽象へ)
山といえばハイキングだな!(具象へ)
ハイキングいえば山頂からみえる入道雲。(やや抽象へ)
入道雲といえば、いきなり降ってくる夕立。(具象へ)
夕立といえば…濡れたTシャツ…!(より具象へ!)
え…?
なんかドキドキしてきた…。
なんだよ濡れたTシャツって!キュンとするじゃん!エモいじゃん!
これはバランスよく連想した場合の例です。下記の図における三角形は、概念の広がり/狭まりを示しています。
このように具象と抽象をバランスよく連想することで、アイデアがどんどんと広がっていくことが見てとれるかと思います。
これをくり返すことで、ゆるやかで、でも、たしかなつながりをもった連想がぐんぐんと進んでいきます。
もちろん、この図は理想的な連想を抜き出しています。やっぱり途中で止まる連想のほうが圧倒的に多いわけです。
そんなとき、うまく発想できないな、と感じるときは、上記ルールを思い出してみてください。抽象と具象をバランスよく繰り返す、です。
じぶんの型を見つけよう
アイデアを見つけるようとするとき、上記の通り、ぼくはじぶんの型があります。
その型があるおかげで、発想するという行為に対してかなりポジティブです。発想することが苦痛ではないんですね。
なので、クリエイティブ職・デザイン職にあって、逃れられないアイデア創出に立ち向かうためには、じぶんなりの発想の型を持つことが重要だと思います。
おわりに
アイデアは産むものでもなく、降ってくるものでもない。探し出すもので、そしてそれは必ずあるし見つかる。
そう信じて、上記コツを試してみてください。よろしければツイッターがんばってます。フォローしてください。