信用と信頼。情報をどこまで共有したらよいのか。重職心得箇条 第17条に学ぶ
リモートワークが日常化している時代、企業に迫られていることは、「情報をどこまで共有したら良いのだろうか」という問題だろう。
本日の勉強会のテーマになった言葉は、「信用と信頼」
信用と信頼の違いは何か。
■ 信用とは、相手を信じて、活用すること。
ベースになっているものは、相手の経歴だったり、それまでの実績だったりと、外因要素が関係している。
■ 信頼とは、相手を信用し、頼りにすること。
つまり、信用よりもう一歩進んだ心の内部に入り込んだものが「信頼」である。
「信頼感」とは相手に対して、「この人ならば大丈夫」と確信をもって期待する気持ちを示している。
故に、「信用していたけれど裏切られた」気持ちと、
「信頼していたけれど裏切られた」気持ちには大いなる隔たりがあり、後者の方が心へのダメージが大きい。
だからこそ心のガードが強くなり、信用しても、信頼しない場合が多いようだ。
今日の朝の勉強会は、女性が多かったので、子育てとオーバーラップさせながら、この「信用と信頼」問題を討議した。
子供を信用しているか、それとも信頼しているか。
非常に興味深かった発言は、「子供を信用していないけれど、信頼している」という母親感覚。
これは、男性には理解しがたいことかもしれない。
男性にとっては、「信用の上に信頼がある」と縦型だが、女性の場合、「信用していなくても、信頼できる」と、並列感覚のようなのだ。
「宿題はやらないし、寝坊はする、塾はさぼる。」信用していないけれど、やんちゃをやって、先生に呼び出されても、「うちの子を信頼している」。
これこそが母性。
自分が産み育てたから、自分の一部、だからこそ、信用していなくても信頼できる。
不登校の子供に対しても、学校や父親は「お前を信用できない」というかもしれないが、母親達は、「信用していないけれど、信頼している。」
これこそが母性であり、この感覚の違いで両親の意見に相違が生じてしまうのだろう。
男性は、「信用できない奴は、信頼も出来ない。故に、信用される人間になれ。」となる。
外因要素で繋がっている社会においては、信用カードは人間関係のパスポートなので、確かにこれは大切な基本である。
それでは本日の重職心得箇条から、ソリューションをみてみよう。
物事を隠す風儀甚だあしし。機事は密なるべけれども、打ち出して能き事迄も韜み隠す時は却って衆人に探る心を持たせる様になるもの也。(重職心得箇条 第16条)
【解釈】
情報は下手に隠さない方がいい。
機密はもちろん大切であるが、隠さなくても良い事を、下手に隠してしまうと、かえって怪しいと思われて、相手に探る心を持たせてしまうものだ。
組織においては、風通しの良さが大切だ。
これは家庭の中でも同じ事。下手に隠すから、逆にバレる。
時代の過渡期になると、陰陽が入れ替わる。
コロナ禍をみても、女性リーダー達の活躍が顕著である。
なぜかというと、女性は相手を信頼すれば、情報公開をするからだ。
信用と信頼が並列感覚の女性にとって、信用性を詮議する前に、相手を信頼できれば情報を公開する。つまり、国民を信頼すれば情報公開に踏み切るのだ。
男性は、信用しない限り情報公開を嫌がるので、どうしても後手後手に周り勝ち。
そのため、どうしても機密事項が多くなってしまう。
信頼感の築き方
本日のプレゼンテーター 麻生愛氏はこの問題を見事に解釈していた。
信頼を築くには、相手を「敬う」気持ちが介在しているかどうかであり、そこにソリューションがあると解説してくれた。
女性達は自分が産み、育てた子供に対し、「敬う」気持ちが本能的にあるから、信頼できるのだ。
これは、子供を信頼するというより、自分を信頼しているから。
10か月以上も「へその緒」が繋がっていた相手だから、無意識に、信頼できるのだろう。
信頼できるからこそ、「逆に切り離すことも出来る勇気」こそ、女性ならでは。
常に支配下において置こうという感覚は、女性にはない。故に「子離れしていない母親」という言葉があるくらいだ。つまり、「子離れしていない母親」は稀有な存在だということ。
男性は、相手を敬うより、自分を敬って欲しいという感覚が強い。「敬ってもらう」には、「機密情報を多く抱えているものが勝ち」。
故に、「機密情報」という言葉が大好きで、どうでもいい情報も「機密」にしてしまう。「機密情報」さえ握っていれば、部下が離れない。「部下離れできない上司」という言葉が存在しないということは、良くいる存在だからだ。
それでは、リモートワーカー時代の情報公開は、いかにすべきか。
相手を信用するか、信頼できるか。
相手を敬うことができるか、出来ないか。
本日の母親たちからの提言
「裏切られた」と思うから、信頼できないのよ。
「卒業した」と思えば、割り切れる。
考えてみたら、私たちも、卒業を繰り返してきたから今がある。
機密情報の保護は大切だけど、何が何でも抱え込んでいては前進できず。
一般社団法人数理暦学協会
山脇史端
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