見出し画像

言葉を正しく使おう

AIが普及するなか、より一層言葉の重要性を感じています。

プロンプトを入力する時も、言語の組み合わせがうまくいかなければ希望した答えが返ってこないものです。

言葉を正しく発することができれば、自分の気持ちも伝わるようになり、

より円滑にコミュニケーションが行われると考えます。

その折に、安富歩さんの本を読みました。

毎日のように『一月万冊』というニュースを扱うYoutube 番組を聞いていて、

その一つのコーナーを安富さんが受け持っています。

安富さんの使う言葉はとても聞きやすく、ニュースの文脈についても的確に捉えコメントを行っています。

ぜひご一覧ください。

本ブログでは、『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―/安富歩(著)』から引用し、気づきをまとめ行動宣言していきます。

#名を正す

この魔法のヤカン(原子力発電)が福島で爆発したとき、枝野官房長官は記者会見で「何らかの爆発的事象があったということが報告をされております」と言いました。テレビで原子炉建屋が爆発して吹き飛ぶ場面が映されていたというのに、「爆発」があったとは言わず、「爆発的事象」と言いました。あるいは東京大学の関村直人教授は、「格納容器の健全性は保たれています」とテレビで根拠なく言い続けておりました。もちろん、実際には格納容器は破れていました。
この奇妙な言葉遣いの中に、原子力というものの抱える問題が端的に表現されています。それを私は「原子力安全欺瞞言語」と呼んでいます。この言語の恐ろしさは、「専門家」と自称する人々が、自分自身を騙すために用いている点にあります。そうすることで、正気では肩じられないことを信じて、正気ではできないことができるようになるのです。

『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―/安富歩(著)』

2011年3月11日 福島第一原発が津波により電源が停止し、原子炉の建屋が爆発しました。

その光景は、どう見ても「爆発」していましたが、

政府は「爆発的事象」と言っていたとは驚きです。

この背景には何があるのでしょうか?

「原発は安全だ」という固定概念を、国民に広報したい意図が伺えます。

#マルタと呼ぶ人たち

同じようなことは世界中でいつも起きています。たとえば私の専門である「満洲国」の歴史で申しますと、有名な関東軍の731部隊という、生物化学兵器を研究するために人体実験を繰り返した組織があります。そこでは人体実験をされて殺される人々を「マルタ(丸太)」と呼んで、「1人、2人」と呼ばず、「1本、2本」と数えていました。
この恐るべき組織は、そもそも機能が秘密になっており、厳重に防護されていて、部外者が立ち入ることもあり得なかったのですから、このような隠語を使う必要はなかったはずです。しかし、人間を人間扱いせずに実験に使って殺すには、相手に「丸太」という名称を与えて、「本」で数える必要があったのです。そうしてはじめて残虐無比な人体実験が可能となったのだと私は考えています。

『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―/安富歩(著)』

言葉とは残酷です。

使い方を間違えると、組織は予期せぬ方向に動いてしまいます。

あるいは、権力者は言葉をたくみに使うことで、組織を思うがままに誘導することもあるのです。

#言葉を間違えた顛末

もっと卑近な例を挙げましょう。すでに述べましたように、私はかつて大学を出てから2年半、住友銀行というところに働いておりました。そこで毎年、夏に、リクルーターといって、新入社員を採用する仕事をしていました。私たちは大学ごとにグループを作って、後輩が住友銀行に就職する気になるように、いろいろ策動するのです。当時は大量採用の時代でしたから、学生もつかまえてくるのが大変でした。そうなると、後輩一人ひとりの人生とか適性とか、そういうものはどうでもよくなって、人事部が設定する採用目標を満たすことだけが重要になるのです。

そこで私たちは、いつの頃からか、学生を「タマ」と呼んで、「1人、2人」ではなく、「1発、2発」と数えるようになったのです。おそらく「タマ」というのは、「鉄砲玉」のことではないかと思いました。ひとたび就職してしまえば、住友銀行のような組織では、人間扱いされなくなり、自分たちと同じように、「鉄砲玉」扱いになることを知っていたからでしょう。

このように、実態に則さない名称を与える、という行為は、人間の思考と判断力とを奪います。それは、人間を人間として扱わない事態に結するのであって、どんなに瑣末に見えることだとしても、非常に危険なのです。学生を「タマ」と呼んでいた住友銀行は、このあとに暴走して「バブル」を引き起こす主役となり、日本社会に甚大な被害を与えました。
原子力という分野は、すべての言葉を言い換えることで成り立っています。

『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―/安富歩(著)』

この組織による言葉の使い方の場面はほんの一部です。

しかし、この言葉の使い方により、「バブル」というたくさんの人を巻き込んだ事象を引き起こしたと書かれています。

この文脈は、組織のリーダーとしては気をつけなければなりません。

私もいつしか仕事で有能な社員のことを「使える人間」と言っていることに気づきました。

すぐにでも改めなくてはなりません。

リーダーの使う言葉こそ、組織に大きな影響を与えてしまうからです。

#行動宣言


◯「使える人間」と言っていたことを改め、「有能な社員」「プロフェッショナル」と言い換える。

本書を読むことで大きな気づきがありました。

社員が容認できない言葉を使った時も、一緒に気づき正していける組織にしていきたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

これからも学びを共有していきます。


工事で行った足尾の風景 1月



いいなと思ったら応援しよう!