おっさんは庭から石油が湧く
※はじめに
おっさんは学がなく、Twitterメインなので長文が書けません。
文章がぐちゃぐちゃなのはフィーリングで読んでくださると助かります。
~あらすじ~
おっさんは道場で4枚落ちが勝てない日々が続いた。
「あー庭から石油が湧かないかなーーー!」
と、Twitterでたまに見る。
庭から石油が湧けば、石油を売って、一生遊んで暮らせるという目算だ。
すると周りは共感し、いいねがついて、谷川○森らにRTされ
「俺の庭からも石油湧かないかなーーー!!」
と一瞬でTwitterは大喜利となる。
ただ不思議なことに、庭石油勢は実際誰も自分の手で庭を掘っていないのだ。
あんなに石油を欲しがっているのに、誰も掘っていないのである。
あんなに欲しがってるのに?
お金がかかっても、石油が出れば一発逆転じゃないか。
なんで掘らないの?
みんなわかっている
自分の家の庭から石油は出るわけがない。
2015年初夏。
おっさんは、道場に通っても4枚落ちが勝てず、小学生にも勝てず、昼休みの将棋にも勝てず、流石に将棋向いてないかなと思い始めていた。
道場でよく話す小学生4人組はとっくに2枚落ち、飛車香落ちに進み、おっさんは置いていかれていた。
目標は初段だが、この道場は2枚落ちを卒業しないと初段にはなれなかった。
初段になりたい……が全然勝てない……。
普通に考えれば段を持ってない人のほうが多いから、それで良いんじゃないか?と心もくじけ始めていた。
そんな頃Twitterでこんなのを見た
「趣味なんだから楽しめばいい、趣味は楽しく!初段を目指す必要だってない!」
定期的に流れてはバズり、焼き直す人がいるほど共感を与えるこの言葉に、僕も深くうなずいた。
たかが将棋じゃないか。そんなにムキにならなくてもいいじゃないか。
その週は道場に行かなくなり、席主の電話にも曖昧に返事をした。
「趣味は楽しく」
この言葉は胸につかえていた。
楽しい、楽しいってなんだ?
将棋をして楽しい時?
……逆に楽しくないときって何だ?
4枚落ちでボコボコにされても将棋は楽しいし、その頃は駒を並べるだけで楽しかった。でも勝てなかった。
そして心がくじけていても、将棋がつまらないと思うことはないことに気がついた。
将棋は楽しい、けど強くならない。
……ひょっとしてそれはやり方を間違えているのではないか?
話は庭石油勢に戻る。
もし、「ちょっと本気で石油を掘りに行くわ」ってなるとしたらどうだろうか?
家の庭を掘るだろうか?家にあるスコップで掘るだろうか?
おそらく石油の湧きそうな場所を調査し、専用の機械を買い、技術者が地面を掘っていく。
そうすることでようやく石油が湧くのではないだろうか?
そしてその掘っている人たちは「楽しく掘ろう!」とか言い出すだろうか?
本気で石油を掘る人は楽しくなんて言わないのでは……?
つまり、「楽しく将棋しましょう!」って言って納得している人たちは、元々あんまし石油を掘るつもりはないのだ。伝われ。
だけど、掘る作業は楽しい、それも楽しみ方の一つだ。
ぼくは、やり方を変えようと、家で将棋の勉強を始めた。
ドンキで買った盤と駒は会社の昼休みに使われているので、新しく卓上盤と駒を買った。
形から入るタイプなので、彫駒と本榧の卓上盤を買った。
彫駒を卓上盤に並べるとそれだけで気合が入った。
駒落ちの定跡を並べるのに、最初は符号が全く読めず4筋と6筋がごっちゃになってありえない局面になるし、詰将棋を並べ間違えて詰まないのが日常茶飯事だった。
しかしこうして家で将棋盤に向かう習慣ができた。
定跡書を買い平手も勉強するように成り、それまで角換わりモドキから兜囲いか、うろ覚えで矢倉、相掛かり棒銀しかさせなかった僕の戦略は大きく変わる。
小学生たちにも勝てるようになり、4枚落ちも合格することができた。
道場で1級になり、2枚落ちも開始した。
この頃、Twitterで2枚落ちの定跡をつぶやいていたところ「わけわからん」と言われて、将棋用のアカウントを作りネットで知り合いも増え始めた。
びっくりすることに同世代の初心者が多かった!
すごくありがたかった、みんな苦しんでいたのだ!
家で盤にならべて勉強するだけで勝てるようになる。
当たり前の事に気がついたぼくは、庭から石油が湧いたような喜びだった。
正直個人差があると思う、掘っても掘っても石油が出ない人は出ないしあっさりと出る人はいる。
ぼくは比較的あっさりと石油が出たのだ。
4枚落ちで勝てずに腐っていたぼくは、好循環に入ったと感じた。
(続くかも)
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