かえろう
回復期リハビリテーション病棟では家に帰ることが目的となる事が多い。
しかし、全員が家に帰ることができるわけではない。
わたしたちが家に帰れるか帰れないか決める権利はない。
「この人は若いから家帰れるな。」
「あの人は重症だから家は難しいと思う。」
「家族が難しい人だから家は無理だね。」
無関係の人達が無神経に不安を煽り未来を否定し過去を無かったことにする。
病気や、怪我が重症で家に帰れない人もいる。
病気や怪我が軽症でも家に帰れない人もいる。
帰りたいのに帰れない人と出会うと悔しくて、悔しくて、悔しくてホントに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
帰りたい人が、帰る事が出来るように一所懸命関わることしかできない。
関わる人や家族や、環境でどうしようも無い事も頭では理解しているつもりです。
でも、この仕事を選んだ時点で言い訳は出来ない、『逃げちゃダメだ』と心がつぶやく。
病気や怪我をして自信をなくし、希望をなくす人もいる。
家に帰りたい人が諦めないならわたしも諦めない。
家に帰りたいという人が諦めても最後の最後まで、あきらめたくない。
諦めたらそこで終了だから。
わたしは信じる。
帰りたいと願う人の気持ちを。
病院で汗を流してリハをする姿を。
笑顔で家や家族の話をするあなたを。
心を燃やせ、わたしは正しいと思う道をすすむ。
※このおはなしはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。