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散見される傾向

それでね、そのあとね..

アローチャートは、客観的事実を集めながら、それを「原因」と「結果」の関係でつないで描き表します。つなぐときの記号は「矢印」です。「原因」から「矢印」が出発し、「結果」へと向かいます。

図1 をごらんください。
情報A、情報B、情報Cは収集した情報です。

情報Aと情報Bとは、「原因」→「結果」の関係でつながっています。
同じように情報Bと情報Cもつながっています。
これがアローチャートです。
原因と結果の関係があれば、どんどん矢印でつなげて表現します。

図1 取集した情報を「矢印」でつなぐ

矢印は原因と結果の関係を表現していますが、時間の流れも表現していることになります。つまり、結果より原因の方が時間的には古い情報になります。図1で言えば、「外出の頻度が減少したのは、歩行不安定が原因である」という文章の中に時間の流れがあります。歩行不安定がまずあって、外出の頻度にまで影響が出たということですから、歩行不安定の方が古い情報ということになりますよね。

この時間の流れと、原因と結果が(おそらく)いつの間にか区別できなくなり、「それでね、そのあとね..」と事実の推移を物語のように描いてしまう。これもたまに散見される傾向です。

確かに時間の流れと矢印の向きは符合します。
これが混同のもとだと思います。


ミルフィーユ

アローチャートは描き進めていくと、四角形が登場します。
図2では、「愛犬の死」とそこからくる「喪失感」が登場します。

四角形は、感情や価値観などを描き表す図形です。

四角形は、私が考えたものではなく、現場の介護支援専門員さんが考えつき提案してくださったものです。「どうしてもご本人さんの気持ちも描き表したい」と申し出てくださいました。

図2 「愛犬の死」と「喪失感」

アローチャートは、ここで大きく進化を遂げましたが、同時に四角形の取り扱いについて、皆さんとの合意形成が必要になりました。
ニーズの表現、アンビバレントの表現、ニーズの在り処、四角形と因果関係等々です。

そして、描き過ぎてしまう方を生むことにもつながりました。
ご本人のお気持ちを大切にし、一番に考えてしまう介護支援専門員さんは、四角形にこだわります。また、介護支援専門員さんご自身の「描けているだろうか?」という不安を映し、たくさん描いてしまうという傾向です。中には、点線や二重線などご自分で編みだした記号を盛り込んでしまうといった介護支援専門員さんまで登場することになりました。

まるで、ミルフィーユのようなアローチャートができあがります。
層が何枚も重なっているのです。

事実の推移とミルフィーユ、なんとかする必要があります。
因果関係を物語的に描いてしまうのは、描き手の単なる勘違いなのですが、
今回は、その原因をアローチャートの中に求めて、工夫をしたいと考えています。

その工夫は、
「1ダースで描く」というものです。その前提としてfactという概念を持ち込むことにしました。(つづく)


イラスト:なつめりお様 ありがとうございます。

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