共通テストでしくじってしまった君へ~ある生徒の受験体験記~
共通テストを受験されたみなさん、お疲れさまでした。
2020-2021シーズンはコロナの蔓延という未曾有の事態とセンター試験から共通テストへの移行が重なり、心配・気苦労が絶えなかったと思います。
そんな中、初めての共通テストで思うような結果を残せず落胆している人もいるのではないでしょうか。気休め程度にしかならないかもしれませんが、ちょっとした体験記を紹介したいと思います。
少し前の話になりますが、センター試験に重点を置いて勉強してきたのに、思うような結果を残すことができなかったとある生徒(以下、K君とします)の体験談を紹介します。
当時、K君は1浪の生徒で、2浪目は許されていない状況の生徒でした。彼は現役の時、学力不足が否めなかったこともありますが、センター試験で良い結果を残すことができず、第一段階での足切りはなかったものの、2次試験を受ける前から結果は予想できてしまうような状況でした。
案の定、その年に大学の門をくぐることができず、浪人生活がスタートしました。受験期間の途中の話は割愛しますが、1年後、2回目のセンター試験を迎えます。現役のときの経験から、センター試験を失敗してしまうと、2次試験までの気持ちが乗らないということを知っていたので、何としてでもボーダー付近にとどまれるよう、早めにセンター対策をスタートし、それなりの準備をした状態で本番を迎えました。そのおかげもあって、センター前日の最終チェックでは駿台の実戦問題(英語)で200点中192点をたたき出すまでになっていました。さすがに本番でそこまで行かなくとも、9割は行けるのではないかという気持ちで当日を迎えました。
さて、その結果ですが、現役ほどではないものの、目標には大きく及ばず、K君はものすごく落ち込みました。どのくらいかというと、ボーダーが8割弱のところ、70%を大きく割り込んでしまう結果でした。意気込んで受けた英語も156点という結果に終わってしまいました。
そんなK君のその後の行動を見ていきたいと思います。
彼は大学の受験案内に書いてある過去の合格最低点を確認しました。第一志望の国立大学はセンターより2次試験に大きな比重が置かれていたので、頑張り次第では逆転の可能性もわずかに残っていました。ただし、2次試験の問題が難しいので、それなりの2次力がないといけないことはわかっていました。K君に第一志望の大学でひっくり返すだけの力があったかというと、厳しいと言わざるを得ない状況でした。しかし、僅かな希望にかけ、2次試験対策にまい進しました。
結果は想定した通りのものとなってしまいました。しかし合否を知る前から次の後期試験(3月12日)に向けて勉強を開始しました。
後期で出願した大学はセンターと2次の比率が3:4で、若干2次の方が高いものの、それなりの高得点をたたき出さないと逆転できない状況でした。センターの結果からすると非常に厳しいことは分かっていましたが、過去の合格点を調べ、本当にうまくいけばギリギリ乗るかも知れないという状況であることがわかりました。
それでも大きなビハインドであることに変わりなく、大変厳しい状況であることに間違いないのですが、何より、少しでも可能性があるなら頑張りたいという気持ちで勉強に取り組んでいました。
結果は、運が良かったこともあり、何とかその大学への合格切符を手にしました。例年通りの難易度ですが、過去問より本番の方が解けたそうです。そして彼は4年間の大学生活の中でかけがえのない友人に出会うこともでき、充実した?学生生活を送ることができました。
ここまで読まれた皆さんはどのような感想を抱かれたでしょうか。それにしても細かい心の内まで妙に表現されていると思いませんでしたか?
実はK君とはかつての私自身のことでした。妙なストーリー仕立て(嘘はありません!)にしてしまいスミマセン。ですが、ここで伝えたかったことは「最後まで頑張ればいいことがあるよ」のようなメッセージではありません。
当時の大手予備校のセンターリサーチは2つがE判定、1つがEに近いD判定でした。それでも何とか最後まで気持ちを繋ぐことができたのは、合格最低点から逆算し、このくらい点数を獲ればもしかしたらギリギリ乗るかもしれないという計算に基づく根拠があったからです。
今回伝えたかったのは、「センター試験(共通テスト)で失敗しても最後まであきらめないこと」ではなく、「最後の最後まで気持ちが途切れないように達成可能性のある目標を立て、その望みに向かってやり続けること」です。
最後の後期試験は3月12日でしたが、共通テストが終わってからそこまでの間は思いのほか長いです。特に前期試験が終わってから後期試験までを持続的に集中することはそれなりのモチベーションも必要です。
つらい時期に「持続的な集中」を保てた理由が2つありました。
1.先ほどにも述べたように、合格最低点を確認し、うまくハマれば合格可能性があるということを信じ続けることができたからです。可能性について自分なりに分析したことが大きかったと思っています。
2.受験というそれまでの人生の中では大きな挑戦のなかで、結果如何にかかわらず、最後までやり遂げたいという気持ちがあったからです。受験は1浪までと約束していたので、泣いても喚いてもこれが最後でした。だったら、途中で戦線離脱することはどうしてもしたくない。玉砕しても納得できる終わり方をしたいという強い気持ちがあったからです。
長々と書いてしまいましたが、最後まであきらめないで頑張る!ではなく、最後まであきらめないでやり遂げるためのモチベーション作りをしてほしいと思います。「そうすれば結果はついてくるはずです!」とはいいません。しかし、頑張り抜く力を育むことはできるはずです。
まだまだ険しい道のりは続きますが、達成可能な目標を立て、最後まで全力で挑んでいけるよう、心より応援しています。