5月22日
何度も救われたあの言葉を
もう一度聞きたくて思い出を探している
遠い昔の祭り話を
あなたは何度も語り笑う
私抱えて歩いた道は
写真をなぞり風が吹く
影を辿って飛び来る雀と
聞こえなくなった優しい声
あなたがいない世界の朝など
生きて行ける程 私は大人じゃなくて
撫でてくれたあの体温も
ずっと大きかったあなたの手も
感じることすらできないのにさ
また、一人、涙を止めた
戦の赤と燃え尽きた灰を
あなたは一人背負い生きて
恨み零さず歩いた道は
私には理解すらできず
何度祈って手を合わせても
聞こえてくるのは爆音だけ
汚れた川に嘆いたあなたを
抱きしめられる程 私は大きくなくて
眩しい光があなたを連れて
愛しいあなたよ幸せであれと
小さな箱を隣に乗せて
そっと、一人、涙を呑んで
小さな声で死を望んだあなたに
大きな声で生を望んだ私
二度と響かぬ生の調べは
確かなあの日の死を繰り返す
最後に交わした言葉も思い出せないまま
何度も沁みた海の音色に私の心を託して
あなたのいない世界の朝を
生きて行ける 私は大人になったの
忘れないあなたの愛情
ずっと支えてくれた思い出
全て抱きしめ生きていくから
きっと、いつか、また会えたなら
降り注ぐ日差しの中で
あなたが笑える日々を願い
届くように想いを込めて
どうか、どうか、ただ安らかに