編集者が語る! 『楽しくなければ仕事じゃない』制作秘話
2019年10年24日発売の話題作『楽しくなければ仕事じゃない ―「今やっていること」がどんどん「好きで得意」になる働き方の教科書』(干場弓子著)。本書の製作秘話を、編集を担当した出版局・中里有吾がご紹介いたします!
著者の干場弓子さんは、言わずとしれた、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンの社長にして、勝間和代氏他多くのビジネス系著者を発掘し、自ら手がけた本も『超訳 ニーチェの言葉』をはじめ累計1000万部突破の敏腕編集者という、「出版界では知らない人はいない」ほどの著名人です。
本書は、その干場さんの初の著書で、完全書き下ろしの1冊になります。その「製作裏話」を、今回は2つだけ紹介させていただきます。
【1】企画から発売まで4年越し!
この前、デスクの片付けをしていたら、偶然、本書のスタート時の企画書が出てきました。
その日付を見ると、2015年3月30日(!)。
発売が2019年10月25日なので、スタートから発売までに丸4年半かかったことになります(笑)。
最近は、「語りおろし」スタイルでスピーディーに作る本が増えていますが、本書は1文字1文字、干場さんがすべて書き下ろしています。
4年半の間、「執筆のお願い」をしつづけ(笑)、打ち合わせ、原稿のやりとり、推敲と編集を重ねながら、ようやく完成したのが本書になります。
【2】校了直前で、帯を全面作り変え
校了直前まで、じつは帯のコピー・デザインは違うものでした。
好きじゃなくても熱中できる。夢がなくても夢中になれる。
視点が変われば、全て変わる
これをメインコピーにしていたのですが、帯のコピーにしては、少し抽象的で、読者に届きにくい。
そこで、この本を読むことで得られる「効能」を全面に打ち出した
視点を変える×迷ったらやる
人生の楽しさを最大化する
働き方・生き方・動き方
に変更しました。
じつはこのコピーは、当初、私が考えた本書のタイトル案です(笑)。
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【中里タイトル案】
「視点を変える×迷ったらやる」で
仕事は一瞬で面白くなる
――人生の楽しさを最大化する働き方・生き方・動き方
【干場タイトル案】
楽しくなければ仕事じゃない
――今やっていることを好きで得意なことにする働き方の教科書
【最終案】
楽しくなければ仕事じゃない
――「今やっていること」がどんどん「好きで得意」になる働き方の教科書
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私(男性)が考えると、どうしてもより「実用的」「役立ちそう」「現世利益が得られそうな」雰囲気が伝わるタイトルになりがちです(笑)。
ただ、『楽しくなければ仕事じゃない』というストレートなタイトルも素晴らしいので、そこは干場さんのお考えを尊重し、帯コピーに、私が考えた「実用感が伝わるコピー」を入れました。
全面作り直しになり、デザイナーさんには大変ご迷惑をおかけしたのですが、やはり、帯コピーひとつで、本の印象も、手にとってみたくなるかどうかも、随分変わります。
結果、「インパクト」と「上品さ」の両方を兼ね備えて、この本がもつ「メッセージ性」もうまく体現された、本書の中身にぴったりのカバーができたと思います。
【おまけ】あえて編集者の名前を出して推薦した理由
今回、ネット書店の「商品説明」には、あえて編集者である私の名前を出し、「ぜひ読んでほしい」と書きました。
「生涯、読んだ中で、間違いなくNo1.のビジネス書。震えるような文章と言葉の数々。読むと、勇気と自信が湧いてきます。後悔しないので、ぜひ読んでみてください」
――担当編集者・中里有吾(出版局 編集第3部 編集長/手掛けた本の実売部数、累計300万部以上)
私は普段、SNSなどで発信をしないのですが、あえて今回書いたのは、
1.「出版社の社長が本を出した」というと、「内輪向けの業界本でしょ?」と受け止められる恐れがあるため、「いえいえ、そうではありませんよ。純粋にビジネス書として読んでも、本当に素晴らしい本ですよ」というのをあえて伝えたかった
2. もちろん読者によって「すごく感動した」「響かなかった」など、「評価」はいろいろあるとは思いますが、絶賛しないまでも、この本を読んで「駄本だった」「くだらない本」だったという人はいないはず、という揺るぎない確信があった
その2つが理由になります。
ビジネス・編集の長年にわたる経験に裏打ちされた、干場さんの「深い言葉と文章」は、何度読み返しても味わい深く、感動的です。
「頭に効くビジネス書」はたくさんありますが、読んで勇気が出る、自信が湧いてくる、前向きな気持ちになれる「心に効くビジネス書」はほとんどありません。