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「宇宙の謎」が目からウロコのように分かる『東大宇宙博士が教えるやわらか宇宙講座』
突然ですが、あなたは夜空を見上げたことはありますか?その無限の広がりには、私たちの知らない世界が広がっています。今回ご紹介する『東大宇宙博士が教えるやわらか宇宙講座』では、地球から月、太陽、さらにはブラックホールや宇宙の果てまで、宇宙の広大な世界をわかりやすく解説します。
正直なところ、宇宙のことを知らなくても生きていけるし、困りません。けれど、宇宙を知れば知るほど、視点が増え、視野が広がる、つまりものの見方が変わっていきます。きっとあなたも、宇宙の魅力に引き込まれるはずです。
意外と答えられない宇宙の疑問を、会話形式で学べる!
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本書は、2人の登場人物による会話形式で書かれています。
文学部を卒業後、大手総合出版社に入社したトーコは、読書会で東大宇宙博士である井筒先生と出会います。「宇宙について知りたいことがあったら、何でも教えるよ!」との心強い言葉をもらったトーコ。
ド文系で、宇宙についてはわからないことだらけだった彼女が、博士のもとを訪れ、宇宙を知れば知るほど、そのおもしろさや神秘性、壮大さにのめり込んでいくのです。本書では、この2人のやりとりによってストーリーが進んでいきます。
忙しくても読み進めていけるように、各テーマは1日15分ほどのスキマ時間で読める分量になっています。
本書を読めば、たとえば……
「人類はなぜ再び月を目指しているの?」「宇宙に果てはあるの?」「宇宙人はいるの?」といった質問に、答えられるようになります。
本当に移住できるの!?月と火星の「過酷すぎる環境」
1度は耳にしたことがある、この話題。「地球からの移住」は本当に可能なのでしょうか。結論からいうと、地球以外の天体への移住のカギは、「いかに必要な物資を現地調達できるか」なのです。この「月・火星への移住」についての博士とトーコのやりとりを少しのぞいてみましょう。
博士:月や火星の環境は人間が暮らすには過酷すぎるんだ。
トーコ:そんな環境で、ホントに移住なんてできるんですか?
博士:月と火星がどんな環境なのかがわかると、移住するために必要なものも見えてくる。とくに重要なものは次の3つ。
■火星移住に必要なもの
①基地 ②酸素 ③水
博士:人類が地球以外の地で暮らすとき、とくに「水」の存在は大きい。月や火星で暮らす場合、なるべくなら現地で自給自足したい。水は人間の飲み水だけでなく、農業用水の役割もある。
トーコ:月や火星での自給自足……。たしかに水は植物にとっても欠かせないものですね。
博士:化学の視点で見ると、水は「H2O」だ。分解すると、「酸素」と「水素」が得られる。呼吸に必要な酸素は、水が十分にあれば手に入るということだ。
トーコ:おお!「水を分解して使う」だなんて、思いもよりませんでした。
博士:酸素はもう1つ重要な使い道があってーー。
酸素のもう1つの使い道について、ぜひ想像を膨らませてみてください。ヒントは、地球に帰還する方法を考えてみることです。
こうした話がSFではなく現実の問題として出てくるほど、月や火星は身近な天体になってきているのです。
宇宙に対する知的好奇心に火をつけるきっかけになる1冊
著者の井筒さんは、宇宙の楽しさをもっと多くの人と分かち合いたいという思いを原動力に本書の制作に取り組んできました。
この本に数多く出てくる、巨大隕石やブラックホールについてなどの宇宙に関するトピックは、彼自身が初めてそのことを知ったとき「えー、そうなの!?」と驚いたものばかりです。
大人も子どもも、宇宙について驚き、楽しみながら読み進めていただけること間違いなしです。ぜひこの夏休みに、広大な宇宙の旅を楽しんでみませんか?