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複雑な統一教会問題を解きほぐす決定版! 『これだけは知っておきたい統一教会問題』

今回は、『これだけは知っておきたい統一教会問題』をピックアップします。

「統一教会問題」を知るための最良の教科書
いかにして悪しき「政治と宗教」の関係が生じるに至ったのか?

2022年7月8日の安倍元首相殺害事件後の多くの報道により、統一教会が長期にわたってきわめて多くの人権侵害を重ねてきたことが明らかになっています。
人権侵害を繰り返す宗教団体が長期にわたって存続し、人権侵害を続け、それを国と政治家と社会が黙認、あるいは軽視してきたーーこれが「統一教会問題」です。

なぜ、統一教会はこれほどまでに信徒に抑圧的で、金銭収奪に力を入れる教団になったのか。
本書では、この問題を解明するための手がかりを、歴史的文脈や国際的文脈の様々な方面から探ります。

韓国・欧米諸国を遥かに上回る、日本での統一教会被害

統一教会は韓国に本部がある教団で、世界各地に教団組織が広がっています。韓国国外の活動では、米国と日本に多くの力が注がれており、その中でも特に、 統一教会による人権侵害は日本で突出して大きい のです。

日本での統一教会による霊感商法や、不当な献金要求などによる被害件数は、1987年から2021年末までで3万4537件。被害総額は1237億円を上回る額になっています。平均すると年間34億円に上る被害が出ていることになるのです。
このような被害は他国では考えられない金額であり、それが35年以上にわたって続いてきたことは、国内でも他に例がありません。

これだけの被害を出してきたにもかかわらず、日本で統一教会が勢力を拡大し、維持できてきた理由の一つに、 日本国内で政治的に守られていた面があったことは否定できません

日本で弱かった「宗教の公権力への浸透」の認識

そもそも統一教会は、韓国での発生の初期から政権と深い関係をもち、その政治力を後ろ盾にして米国と日本へ進出しました。どちらの国でも最初期から政治家たちとの関連が深く、信徒数があまり多くない段階から政界工作的な活動を行っていたのです。

一部のジャーナリストや政党がこの政界工作の危うさを指摘していましたが、 批判的な報道や学者らを脅かす統一教会の圧力があり、彼らの攻撃的活動は黙認されてきました。
こうして日本では統一教会と政治家のもたれ合いが、強い批判と社会的抑制を受けることなく、長期にわたって続くことになったのです。

では、日本以外の国々では統一教会に対してどのような認識を持っていたのでしょうか。1970年代半ばごろ、韓国政府が賄賂を使い、米国政府の決定に影響力を及ぼそうとした政治工作が起こりました。これにより 米国、韓国、欧州諸国では、「公権力への浸透の企て」の危うさについての認識が深まりました 。 この時期以降、韓国、アメリカや欧州諸国では、統一教会は人権侵害の及ぶような伝道活動や資金集めはできなくなりました。

つまり、 米国や欧州諸国では、その宗教活動と政治的活動に対する批判的言説を抑えつけることができなかった一方で、日本ではそれが可能だったのです 。それと同時に、信徒数が多く政治工作もしやすかったことによって、日本の統一教会は順調に勢力拡充を進めていくことになります。

歴史、文化、政治...様々な角度から統一教会問題を紐解く1冊

統一教会問題をめぐって、すでに多くの議論がなされています。なかでも有力な捉え方は、「カルト」という用語を手がかりにしようとするものです。
しかし、「カルト」という用語はその概念があいまいで、さほどの解明力をもっていません。だからこそ、様々な角度から考えていく必要があります。

統一教会の背景には、韓日米の戦前・戦後の歴史、日本や韓国の新宗教とキリスト教の歴史、それぞれの社会の宗教集団に対する向き合い方などの問題が関わっています。この本を通じて、複雑に絡み合う「統一教会問題」の現状について、学んでみませんか。

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