平面から立体を作るということ
服を作るということは、平面から立体を作るということです。服の材料である布地は平面、一方で服を着る体は立体です。もしも布地を切ったり縫ったりしないで体にまとわせると、シーツを頭から被ったように余分なしわやダブつきが出来てしまいます。
そこで、設計段階で各パーツの型紙の曲線を工夫して、これに合わせて裁断し、縫い合わせることで服の各部分の凹凸 (おうとつ) を作ります。さらに、ダーツ (生地の一部分をつまんで縫うこと) やギャザー (生地に複数のしわを入れて縫うこと) を配置して、型紙の工夫だけでは取り切れなかったしわとダブつきを取り除きます。
例えば袖の型紙を作るときに、単純な長方形では寸胴の筒が出来上がってしまいます。そこで、腕の太さを考慮して幅を滑らかに変えたり、脇のところは短く、逆に肩のところは長くなるように設計します。さらに、袖の取付時には裁断された布に細かいギャザーを入れながら縫製することで、膨らみをつけます。こうすることで、体にフィットしながらも腕を動かしても引っ張られることがありません。
このような工夫によって、美しく歪みがなくて着心地の良い服を作ることができるのです。