布を歪ませない努力
どんな洋服も、布から出来ています。全てのはじまりは一枚の大きな布です。
服を仕立てる第一歩は、布を切る(裁断をする)ところから始まります。布なんて薄っぺらいもの、切るなんて簡単と思うかもしれません。でも、実は裁断は奥が深く、慎重に切らないと服が台無しになってしまうのです。
布は伸びたり、縮んだり、シワが出来たりします。そこで、まず布が垂れ下がらない大きさの、とっても広い台に乗せます。(東洋ソーイングの裁断台は、横2m縦7mあります。)
そして、生地の縦糸と横糸が直角になるように、ぴったり合わせてから型紙を置きます。準備ができたら、ずれがないように型紙と同じ形に裁断します。広い台を使うのも、縦糸と横糸を見て型紙の角度を調整するのも、全ては、布に歪みを出さない為の努力です。
布の歪みが全く無いように仕立てられた服は、長時間着ていてもずれてきません。肩は肩に、前中心は中心に、脇線は脇におさまります。動いた時も自然で、服と身体が離れません。その状態を、人は『着心地がいい』と呼ぶのです。
身体にぴたりと寄り添う仕立て。もちろんデザインが映える前提もここにあります。真っ当な服は、第一歩から丁寧に仕事をしています。