豊田義博

豊田義博

最近の記事

【ご意見募集】就活ルール廃止。その時企業は?

経団連中西会長が、3日の記者会見において言及した「就活ルールの廃止」発言が、波紋を呼んでいます。 就活ルールとは、経団連が定めている「採用選考に関する指針」に掲げられている採用選考時期に関するガイドラインを指しています。 現行ルールは、「3月採用広報スタート、6月採用選考活動スタート、10月採用内定告知スタート」というもの。中西会長の発言は、2020年春入社までの適応が定められているこのガイドラインを、それ以降は取りやめようと考えている、という趣旨のものでした。 大学側

    • 女子の合格率問題は、医学部だけなんかじゃない

       不正入試に端を発し、女子の合格率を抑えているという事実が明るみに出た東京医大の問題。以下の新聞記事では、主要医学部の男子の合格率を1としたときの女子の合格率を掲載しています。このランキング表は、一見の価値があります。 その数字が最も低かったのは、やはり東京医大。0.34という数字です。しかし、東京医大に及ばずとも、同じようにこの数値が低い医学部は、ほかにもたくさんあります。東京医大以外は、点数の調整はしていないと回答しているようですが、まあそれはそうと回答するしかありませ

      • 日本企業は、また同じ過ちを繰り返すのか。

        今年の夏のインターンシップには、いくつもの新たな試みが生まれています。以下の日経電子版の記事の記事を抜粋してみましょう。 ●参加した学生は「活動支援金」として10万円がもらえるのだ。学生の人気を集めているが、お金だけが魅力なのではない。売り物は企業側の本気度の高さだ。インターンでは学生らがグループワークなどを通じて新規事業の立案を体験。その際、学生を指導する講師役は各事業部の責任者である「エース級社員」が務める。社員らはインターン中は業務に就かず、学生の対応に専念するという

        • 「バブル入社組」を悪者にするな。

          「役職定年に適応できない バブルおじさん2人の生態」。この記事は、人事コンサルタント・相原孝夫さんの著書「バブル入社組の憂鬱」をベースにしたもの。ご自身もバブル入社組である相原さんは、同世代にもっと元気になってもらいたいと考え、この本を著しています。 バブル入社組の評判は、「今すこぶる悪い」のだそうです。それも、下の世代から。 残念ながら、その通りだと思います。そして、それは今に始まったことではなく。2000年代に入ったあたりから、そうした状況は生まれていました。 20

          「退職代行」の登場が意味するもの

          「退職代行」。五万円で、やめたいと思っている人に代わって、会社との交渉をします、というサービス。需要は間違いなくありますから、話題になるのも当然ですし、繁盛もするのではないかと思います。 しかし。こういうサービス、他国にあるのでしょうか。誰かご存じであれば、教えて頂きたいものですが、ごくごくノーマルな社会であれば、このようなサービスは生まれないだろう、と、私は思うのです。 とはいっても、「会社にその程度のこともいえないとは、今どきの若手はどうしようもないな」というような意

          「退職代行」の登場が意味するもの

          「高給非正規雇用」という言葉は、とても醜い。

          「月収300万円も、外資に増える高給非正規雇用」(日本経済新聞電子版180802) 非正規社員というと、年収の低い人たちを得てして想像しがちですし、実際に平均給与は低いのですが、それは、フルタイム働いていない文字通りの意味のパトタイマーがたくさん含まれているから。フルタイム働いている契約社員や派遣社員の中には、高度な専門性を持った契約社員やエンジニアを中心とした特定派遣での派遣社員など、正社員に匹敵する、あるいはそれを上回る報酬を得ている人がこれまでもいました。今回の記事は

          「高給非正規雇用」という言葉は、とても醜い。

          管理職は多重責務。二つの役割に分けてみませんか。

          「女性の管理職『食わず嫌い』 残念な本当の理由と対策」。いい記事でした。そして、昔から主張していたことを、改めて主張したくなりました。 徐々には増えているものの、政府が掲げる2030(2020年までに女性管理職の比率を30%にする)はまず達成できなそうなのが実情。その実情の一因を、この記事の筆者であり、エグゼクティブサーチ領域では知らぬ人のいない有名人である森本千賀子さんは「女性の食わず嫌い」を上げています。「そんな大変そうな仕事をやりたいとは思わない」、目の前の管理職たち

          管理職は多重責務。二つの役割に分けてみませんか。

          日本は既に「移民大国」?

          外国人労働者受け入れ拡大に向けた議論が立ち上がっています。ひとくちで言えば、人手不足解消のために、規制を緩和しよう、ということになります。 日本は、移民には極めて消極的な国だといわれています。数字で見ても、総人口に占める比率は2%未満であり、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど10%を超えている国とは、その姿勢に大きな開きがあります。 しかし、実は、外国人労働者の年間流入者の総人口に占める比率は、すでにドイツ、フランスに比肩するレベルに達し、アメリカを上回っています。

          日本は既に「移民大国」?

          長期インターンシップの最大の効用とは?

          「超青田買い、学生の長期インターン広がる」  この見出しからは、長期インターンシップを批判しているのではないか、というニュアンスも伝わってきますが、惹句を使って気を引こうというよくある仕掛けで、文中には、長期インターンシップ、有給インターンシップがエンジニア市場を中心に広がりを見せている、ということが書かれています。 長期有給インターンシップが増えるのは、とてもいいことだと思います。学生にとっても企業にとっても。仮にそれが、採用を目的としたもので、学生にも下心があったとし

          長期インターンシップの最大の効用とは?

          「オウム真理教事件」は、まだ終わっていない

          死刑執行をもって、事実上の終止符が打たれたオウム真理教事件。以下の記事では、三人の識者が持論を展開しています。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32773300Z00C18A7CR8000/ 作家・佐藤優氏は、「オウム真理教の標的は経済のグローバル化やバブル崩壊に伴うエリート層の若者の孤独感や将来不安」「人々の心の弱さや空白こそが現代社会の最大のリスク」と述べています。「教団X」の著者である小林氏は、「社会で受け入れられていないと

          「オウム真理教事件」は、まだ終わっていない

          政治家の働き方改革をするということですよね?

          国家公務員の残業時間に上限を設けるという案が、提示されました。実質的には、月60時間の上限時間になります。 抜本的な改革をしないと、こんな数字は実現できるわけがありません。膨大な隠れサービス残業が生まれるだけです。 とはいえ、こうやって打ち出した以上、是非とも抜本的な改革を成し遂げてほしいもの。そして、その時に、最も大きな改革を迫られるのは、公務員の働き方ではなく、政治家の仕事の進め方であり、大きく変わらなくてはならないのは、政治家に問われる資質や能力です。 キャリア官

          政治家の働き方改革をするということですよね?

          「人手不足なのに給与額が下がる」は、今後も増える

          介護業界、保育業界で働く人々の平均給与が下がっているそうです。毎月勤労統計の所定内給与が、五か月連続して低落しているというのです。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32690360W8A700C1EA4000/ しかし、常勤の介護職員の給与額は上昇しているようです。では、何が起きているのか。記事内では、未経験者を雇い、事務、清掃などの単純業務を任せているからだ、と説いています。 つまり、こういうことです。 ◎介護職員は、これま

          「人手不足なのに給与額が下がる」は、今後も増える

          大手町は、変われるか?

           大手町ビルが、全面改修に着手するそうです。コンセプトは、「大企業とスタートアップ企業が交流する次世代型オフィス」。オープンイノベーションを推進する拠点となることを構想しています。  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32487240S8A700C1000000/ 私も、社会人一年生の時は大手町の一員でした。時は80年代前半。Japan as No.1という世界的評価を受けている真っ只中。大手町は、まさにその中心。この街と丸の内に

          大手町は、変われるか?

          定年起業に大切なのは「価値軸」

           以下の記事の趣旨をまとめてみます。 ◎定年起業が増えている。 ◎資格取得すれは起業できると思っている人が多い。FPなどの資格は、定年後の人が多くとっている。 ◎大切なのは、資格ではなく顧客。定年までに顧客を獲得できているか。 ◎顧客作りのための人脈作りも、勘違いしている人が多い。ビジネス交流会に出て名刺を配れば、人脈=顧客予備軍が獲得できるわけではない。 ◎起業に余計なお金をかける人もいるが、間違いのもと。 https://style.nikkei.com/ar

          定年起業に大切なのは「価値軸」

          就職活動中の日大生の皆さんへ

          「今回の出来事を、どう思いますか?」 そんな質問を、面接の席上で受けている、あるいは、受ける可能性に思い悩む日大生のみなさん。 まさかそんなことを聞かれるとは、と絶句してしまうことでしょう。 こんなときに、なぜそんなことをしでかしてくれたのか、と、怒りがこみ上げることでしょう。 大学名を伏せたい、自分は無関係だと主張したいことでしょう。 みなさんの置かれた状況に、陰ながら強く心を痛めつつ、なんと返答すればいいのか頭を抱える状況に、深くおもいをはせつつも、それでも、み

          就職活動中の日大生の皆さんへ

          日本企業は「オワコン」なのか?

          入社初日に「辞めたい」。そう思ってしまう新入社員の気持ちを、いま、どのぐらいの人が理解できているのでしょうか。共感しているのでしょうか。 https://www.businessinsider.jp/post-167237 就職活動を通して、何度かの接点を持ち、それなりにその会社のことを調べ、話を聞き、激しく迷いながら意思決定したのに、そのプロセスが台無しになってしまうような事態は、なぜ起こるのか。 リアリティショックの度合いが増したのでしょうか。企業の採用コミュニケー

          日本企業は「オワコン」なのか?