産地・製法と味わい by塩ナビ
普段目にする食塩は白い粉末に見えますが、実は透明なんだそうです。
粒表面に当たる光が乱反射して白く見えているだけだとか。一方で、岩塩はピンク色など様々です。今回は、塩のそんな差とその理由についてお伝えしていこうと思います。
原料と産地に着目!
日本における塩づくりは主に海水を原料としていますが、世界では海水以外に、岩塩、塩湖水、地下かん水を原料として塩をつくることもあります。
世界全体で見ると、年間生産量の約6割は岩塩で、3割程度が海水塩となっています。
海水の採取場
海水は海流の影響を受けやすく、特に寒流と暖流ではプランクトンの量が異なります。栄養たっぷりの海水とそうでない海水とでは味が異なっていても不思議ではないでしょう。
また海水の採取する場所が沖合か河口付近かによっても、特徴が異なります。沖合の海水は、海流や採取する深度の影響を受けるでしょうし、河口付近の海水では、陸地から流れ出るミネラル成分の影響を受けることが考えられます。
製法
海水塩では、もともと3.4%前後の塩分濃度である海水を、20~30%程度まで濃縮し、結晶化します。
海水に含まれるミネラル成分が結晶化するまでの時間は、そのミネラルによって異なります。「にがり」も塩化マグネシウムというミネラルの一種で、海水から塩をつくった後に残る液体が「苦い汁」だったことから、にがりと言われています。製法によってこれらミネラルを調整している製品もあります。
結晶の形
結晶の形は、味わいを変化させます。
一般的な塩の結晶は、サイコロのような正六面体です。市販されている塩の多くは0.2mm~0.75mmと、1mm以下のサイズです。
立釜を用いた製法で精製・結晶化させた塩に多くみられます。
一方、平釜を用いた製法では、
ピラミッドが逆さになったようなトレミータイプの塩がつくられています。
海水を循環させずに作るため、水面の塩分が濃い層から形成されます。
また、平釜ではウロコのような薄い板状の結晶も形成されます。海水表面の層で結晶化させることでつくられます。
他にも大粒の結晶を粉砕したものにみられる不揃いで鋭い結晶角をもつものもあります。後述する岩塩の粉砕塩の形でもあります。
食塩の6割は岩塩
岩塩には①岩塩層からそのまま結晶を削り出す方法と、②削り出された結晶のうちナトリウム層のみを一度溶かし、再び結晶化させて高純度のナトリウムをつくる方法があります。
岩塩層からそのまま削り出す製法では、土壌の鉱物やミネラルの影響を受け、特徴的な仕上がりになります。赤や黒の岩塩があるのはそのためです。
一方、一度溶かして再結晶化する方法では、大きさ・色ともに岩塩らしさはほとんどなくなり、精製塩と同様に扱われるようになります。
湖水塩
湖水塩は、塩分濃度の高い湖において自然に結晶化したものです。
湖水塩の製法には、岩塩のように削り出す方法や天日で湖水を蒸発させる方法などがあります。天日塩も産地の影響を受け灰色の着色がみられることがあります。
塩は奥が深い
岩塩は輸入品やおしゃれなセレクトショップでみかけますが、そのような商品には産地が記載されています。
日本には岩塩や湖水塩がとれる場所がないので、産地を想像しながら食してみるのもいいですね。
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20回までお付き合いいただきありがとうございました!
またお会いしましょう^^
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