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ポケットの中では......

ラジオは、パーソナリティさんの声とBGMと音楽のそれぞれのボリュームを
調整しながら放送しています。

この調整する機械をミキサーと呼んでます。

「ミキサー」や「ミキシング・コンソール」や「音響卓」、「音声卓」、
「Mixing Table」などと呼ばれています。
比較的大きなセットを(ミキシング)コンソールと呼ぶ場合も
多い感じがします。

現場では「ミキサー」や「卓」と呼ぶことが多いです。

この「卓」に、パーソナリティのマイク、ゲストのマイク、BGM、CDなどの楽曲音源、ジングル、エフェクター、などの何本も取り込んで
横にどんどんチャンネルが増えていきます。

それぞれのチャンネルが、縦に動いて、一番自分側にある時に
ボリュームゼロ。上(自分から前の方)にいくにしたがって
ボリュームが大きくなっていきます。

これをあげたり下げたりしてボリュームを調整しながら
しゃべりはじめたらBGMを小さくしたり、音楽をかけたらBGMをそっと下げて音を止めたりやるわけです。

ラジオの生放送ではミキサーさんと呼ばれるプロフェッショナルが担当してくださることも多いのですが、編集や録音などではディレクターが実際に機材を操作します。

この操作にはひとつ、ポイントがあるのです。

それは、縦に動くつまみ(フェーダーと言います)をブッってあげると
CDなどを再生することができるんです!リモートです!!
一番下まで下げると止まるように設定できるんです。

昔はオープンリールというバカでっかいテープを使って放送していたので
スタジオに機材がずらっと並んでいます。それぞれの再生ボタンと、
ボリュームを調整する「卓」が連動していなかったら手が足りません。
そこで、卓を操作するだけである程度なんでもリモートで操作できるようになっているんです。

これをフェーダースタート、と言います。

上手な方の操作を見ていると、流れるような手捌きで美しい!
ベテランの大先輩の卓さばきはまるでバレエ「白鳥の湖」のような優雅さです。

では、私も、といざ触ってみたら、「うぉわ〜ん」と音の頭が
ぬめっとスタートしてしまうんです

「くぅおうん ぶぅあん わ (←こんばんわ) 

今日もはじまりました〜 」

……みたいに。

おかしい、おかしい、違う違う、そうじゃない

何度やってもぬむぉわ〜 っとはじまるパーソナリティの声…….

これ、なにかというと、縦に20センチくらい上下に動くフェーダーを、一番下のボリュームゼロから、一気に基準値まで「えいや!」って
瞬間的にあげなきゃいけないわけです。


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えいや!(くぅおうん ぶぅあん)

えいや!(こ!!!(←やたらでかい) んばんわ)

やりなおし、やりなおし……

右手はできるようになっても左だダメだったり、
えい!ってやったら反動で反対の手を、ビュン!って下げちゃって
急にBGMがなくなったり……

はじめての5分番組完成に
見事完徹した思い出があります。

くる日も、シュッ くる日もシュッ!
エア・フェーダースタートの日々。

オッケーのゼスチャーをしながら手首を曲げておいでおいでの要領で、曲げた手首からスナップ効かせて、弾くように上にあげる!

いい感じでできるようになるまで、
ポケットの中で、こっそりそんなことやっていたんです。

ポケットの中で
モゾモゾ、シュッ

どうみても怪しいですよね……


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