高岡市長選 跋扈する陰謀論
高岡市長選挙も告示が近づき、大詰めである。
前回の記事でも、訴訟にまで発展しかねないような誹謗中傷がネットを中心に行われていることを取り上げたが、それはまだまだ混迷の序の口に過ぎなかったらしい。県知事選でも、論理の飛躍どころか、論理の体すらなしていない陰謀論がツイッターを中心に出回っていたが、高岡市長選でも同様のトンデモ論が横行しようとしているようだ。
以下のツイートを見て欲しい。
この人物は、ツイートに掲載された画像をもとに、米谷氏が教育長時代に推し進めた次世代教育を目的としたタブレット端末配付と、それに付随する工事を受注した会社が米谷氏の擁立に動いたという事実を結びつけ、米谷氏とその企業が利権のために策動していたかのような憶測を広めようとしている。
これは典型的な印象操作で、高岡市のホームページに行けば、さまざまな企業が市の事業を入札して受注していることがよくわかる。たとえば、富山県内初の小中一貫校は、米谷氏が主導して創設したものであるが、この校舎の高額の改修工事などは米谷氏擁立の動きとは関係のない別の企業が受注している(案件番号2000000068)。
そもそも、これらの工事は入札という形を経て発注されているのである。百歩譲って当時の米谷教育長と某建設会社が結託して建設計画を作り出したとしても、落札ができなければ意味がない。それとも、市の公的な入札事業までも元教育長とその建設会社はコントロールしているとでもいうのであろうか。だとすれば、世紀の談合事件である。新聞社にでもタレコミをすれば全国的なニュースになること請け合いである。
このほかにも、よくわからない陰謀説をこの人物は広めようとしている。
これもとある市内の企業が陰謀に加担しているかのように書いているが、落札できなければ意味がない。この企業の顧問弁護士らに訴えられないか、心配ですらある。
投票開票日まで一月を切り、ネットでの論戦?も物騒になってきた。作りたてホヤホヤのネガキャンアカウント群も誕生し始めたようで、県知事選と同様の推移を辿っているようであり、ため息がでる。自発的なものなのか、あるいは背後に政治的な意図があるのか。
我々日本人が世界に誇るべきものは、安定した健全な民主主義であろう。日本が世界から信頼されてるのも、問題はありつつも日本がデモクラシーを信奉してきたからに他ならない。そうした我々の宝の価値を損ねるのが、フェイクニュースに代表されるねじ曲げられた情報である。ネット情報は出回るのもはやく、わかりやすくインパクトもあるため、注意しないと簡単に流されてしまう。どの陣営を支持していても構わない。しかし、ネガティブキャンペーンのために意図的な悪評を作り出すのは、単に名誉毀損として訴訟のタネとなるのみならず、民主主義の精神を損なうものであり、大問題だ。高岡の未来のためにも、理性に基づいた選挙を行おうではないか。
おまけ
出町氏と角田氏の二人を、富山のユーチューバーが取り上げて動画を公開したものの、法的に問題がある箇所が見つかったために非公開になったという。
それを受けて、角田支持者と思しきアカウント(5月に新設されたプロパガンダアカウントと思われる)が、怪しげな会話を繰り広げているではないか。
動画が見られなくなった途端に、「圧力」などという物々しいことばを軽々しく口にしてネット上に公開するその態度はまことに天晴れとしか言いようがない。技術的な問題などを疑うことすらせず、すぐにこうした陰謀に直結させるとは。
それに同調して、別の角田支持アカウントが「圧力」を既成事実かのようにしてツイートを投稿した。一体、この人物たちには物事を立ち止まってみてみるという習慣がないのだろうか。選挙という、我々の生活がかかる一大事であるのに、このように軽率に判断して良いと思っているのであろうか。
言い出しっぺもしまいには、「圧力でしょうか」などといった当初のやや遠慮がちな物言いも消え去り、圧力として確定させて上での御涙頂戴のお気持ち表明である。記憶喪失なのであろうか。
つまらない会話をわざわざ転載したのも、こうした無思慮な態度をとることや思想を同じくする集団内部で固まることによって、いつしかありもしないことが事実と認定されていって拡散されていくプロセスがここに端的にあらわれているように思われたからである。
民主主義は我々一人一人が正しい判断を行うことで機能する。繰り返しになるが、理性を用いて明朗な選挙を作り上げていこうではないか。