研究と実戦の違い~自戦記 松尾八段戦~
モバイル中継で配信のあった対局でした。
先手で角換わり腰掛け銀に。
序盤戦、相手の工夫に頭を悩ませました。
1つ目の図が実戦で表れたもの。
2つ目の図は定跡とされている進行です。
先日noteに書いた記事でも取り上げたものです。
違いは後手の玉が3一か4二か、というもの。
後手が途中で手損をした(6二の金は7二→6二と動いた)ことにより、定跡では3一にいる後手の玉が実戦の図では4二にいます。
玉の位置というわずかな差ですが、それが戦い全体に大きく影響を及ぼすことは、上記の記事でも数多く言及しています。
この場合は先手が反撃に移る際の手段が大きく変わります。
実戦でも玉の位置の違いを考慮して、3一に玉がいる時と違う手段をとりました。
ただその手段は必ずしも成功したとはいえず、この辺が難しいところです。
角換わりで求められるのは、研究から外れた時の対応力です。わずかな判断ミスが命取りにつながるだけに、対応力が勝敗を分けかねません。
本局は対応がうまくいったとは言えず、課題が残りました。
実戦は難解な戦いが続きましたが、粘り強く指したことが功を奏して勝ちました。