k倍のε-N論法,ε-δ論法
次を示す。
命題 : k∈ℝは1と異なる正の定数とする。また、{xₙ}を無限実数列、xをある実数とする。このとき、次は同値。
(i)∀ε>0, ∃N(ε)∈ℕ s.t. n>N(ε)⇒|x-xₙ|<ε
(ii)∀ε’>0, ∃N’(ε’)∈ℕ s.t. n>N’(ε’)⇒|x-xₙ|<kε
(証明)
(i)⇒(ii)
ε’を任意に1つ固定すると、kε’は正の実数であるから、(i)より、ε=kε’とすれば、ある自然数N(kε’)が存在して、n>N(kε’)⇒|x-xₙ|<kε’が成り立つ。よって、(ii)の各ε’>0に対して自然数N’(ε’)を上のN(kε’)で定めれば、(ii)を得る。
(ii)⇒(i)
εを任意に1つ固定し、(ii)のε’を用いてε’=ε/kと定める。そうすると(ii)からある自然数N’(ε)が存在して、n>N’(ε)⇒|x-xₙ|<εが成り立つ。よって、(i)の各ε>0に対して自然数N(ε)を上のN’(ε)で定めれば、(i)を得る。▫︎
注.上の議論は自分の中ではかなり厳密に構成しましたが、それでも不十分な点があるかもしれないので、あくまで参考程度にして自分で議論を再構築してください。
この命題はε-N論法の場合であるが、同様の議論によりε-δ論法の場合も示される。が、証明をもう一度書き下すのは大変に面倒くさいので、あとは各自に委ねます。(終わり)
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