配偶者VISA②

さて翌日、デジャブのように朝六時に家を出て、七時には真面目に列に並び、八時半過ぎに再度受付係のチェック。

彼女が書類に目を通す間、第一関門突破、上手くいきますようにと祈るような気持ちでVと謙虚に待つ。

書類は揃ってるけど、あなたのパスポートはまだ滞在期限切れていないんだからまだ申請に余裕があるわよ、10月に来て。

ん?ん?なんで?っていうかすでに7月から二ヶ月半近く待ってるんだし、なんのためにオンラインで予約したの??意味がわからないよ、マレーシア。

口にこそ出さないもののVと二人、戸惑いは隠せず。

昨日の嬢は何も言わなかったのに、なんで今日の嬢はこんなことを言うのだろうか。つくづく、わけわかめだよ、マレーシア。

本来は7月に申請予定だったんだけど〜と、Vが受付嬢の機嫌を損ねることなくうまく話をつけてくれて、受付嬢は仕方がないわねといった表情で渋々申請手続への受付番号を手渡してくれた。

今回の職員は男性だった。初見強面の男性だったか、私が日本人だとわかった途端陽気なお兄さんと化した。

日本には行ったことがないけど、いつかARAIのヘルメットを買いに行きたいんだ、日本だと安いの?

全く知らないトピックだったが、機嫌を損ねては終わりなので、適当に話をあわせてひたすら場を盛り上げる。

世間話をしつつも、彼は鋭く我々の不備を見抜き、こう言った。

これ、婚姻書類の原本が足りていないみたいだから、明日来て。

来たか、イミグレ常套句、明日来て。

どうやら、婚姻証明書原本が原本であることを証明する書類が必要な模様。なんだそれ。。。

そう言われても、どこでどうやって取得するかさっぱり検討のつかないVがアドバイスを乞うと、すぐ近くの建物の婚姻課で発行可能だという。

時間にして今、10時。

一縷の望み、これから大急ぎでその書類を発行してもらって、お昼休みまでに戻ってくるから申請受け付けてもらえないか、ブラザー。

Vの、ブラザー、が功を奏したのだろう。
ブラザーは、えぇお前らまた戻ってくんの?明日戻ってくればよくない?という顔をしながらも、先の世間話が彼の気分を盛り上げたのだろう、まんざらではない感じで、じゃぁ待ってあげるから早く取得してきて、と許可をくれる。

心のなかで小躍りし、文字通りダッシュで隣の婚姻課へ。

そこから、婚姻課での書類発行まで2時間ほど待たされて焦りの隠せないV。
お昼休みまでには戻ることを条件に、ブラザーは許可をくれたのだ。
彼の機嫌を損ねたら、全てが白紙に戻りかねない。

私も内心は気がきではなかったものの、マレーシアで結婚する場合義務となっている役所での婚姻宣誓式に来ている、着飾ったハレの日のカップルを見て6月は私もこうだったぁとしみじみしていた。

職員のお昼休みは1時からで、我々がブラザーのもとに戻ったのが12時40分。
超滑り込みセーフで、ブラザーは申請受付書にサインをくれた。感涙、ブラザーテリマカシ。

ついに、オフィシャルに、LTSVP申請が完了したのだ。
安堵安堵、ここ一週間は曇りっぱなしだった私たちの顔にやっと太陽のきらめき。

11月にインタビューがあるから、それまでは大人しく待っててねと言ってブラザーはランチ休憩にはいっていた。

え、インタビューがあるなんて、初耳なんですけど。。。しかも保証人つれてこいって。。。

てっきり、この後は果報を寝て待つばかりだと思っていたのに。

道のりは流し、後半へ続く。。。

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