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不登校最多34万人について 不登校を数えると不登校は悪者になる

毎年この時期になると文部科学省の「問題行動・不登校調査」結果が公表されますね。昨年(2023年発表、2022年度の調査)の「30万人」のインパクトが大きくて、15.9%増の34万人とか言われても、なんだか驚かないしピンときません(2024年発表、2023年度の調査)。

それよりも、今年はその結果の取り扱いというか、新聞の書き方に注目してみました。
なぜなら今年は、「不登校対策」にとって特別な年だと思うからです。

年の始めに「NHKスペシャル」で〝いや、問題なのは学校の方でしょ“と言い切った番組が放送され、年度が始まる前に「COCOLOプラン」が発表された年ですから。

うーん、でも、書き方・論調、今までとあまり変わってないのか…?と感じてしまいました。

 そもそも「問題行動・不登校」という調査名ってどうなのでしょう?
正式名称は
→「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

不登校は「不登校になる子どもの問題行動ではない」というのは2016年に文科省が明文化しています。でもこの調査だと、その印象を強めてしまいませんか?
不登校は学校にとっての「問題現象」ではあるし、「社会問題」であるかもしれないけれど、「子どもの問題行動」という捉え方はもうしないはずでは???
「・」で分けているということなのかもしれませんが、並べてあるといっしょくたになってしまいますよね?

スクールカウンセラーを長年やっていてずっと気になっていることに「スクールカウンセラー連絡協議会」があります。おそらく全国各地でおこなわれていると思うのですが、各学校に派遣されているスクールカウンセラーとその担当教員が地区ごとに集って、それぞれの学校の取り組みを紹介したり情報交換したりする研修の機会です。研修はいいと思うのですが、その会で毎回、「地域の不登校数」の発表があるんですね。この数が発表されるということは、その前に各学校に不登校についての調査をさせて、数を綿密に出させているということです。その数を毎年出して、「こんなに増えています」「憂慮すべき事態です」とやっているわけです。

なんだかまるで感染症!? 

「不登校」を悪者にして「根絶やし」にしなければ!!
という発想に感じてしまいます。言い方ややこいしんですけど、不登校はなくなった方がいい、と私も思います。でもそれは、今の「学校」をそのまま維持して「不登校」だけなくなるよう工夫する、ということではなくて(無理です)。
一斉授業が前提のシステムそのものが変革して、さまざまな多様性を持った子が通いやすい学校になるとともに、たとえ登校しなくてもホームスクールやICTでの学びも認められて本当の意味での個別最適化が実現し、「不登校」という概念自体がなくなることを目指すべきです。

最近読んだこの本でも書かれていました。


もちろん、こういった論調は多くの有識者が語っていますし、「34万人」が発表された今年の新聞(わが家は毎日新聞。11月1日)でも発達科学研究所の和久田学さんの記事にもありました。


でも、こういう論調とか「不登校」についての大きな視点というか、メタ的な見方が、現場の先生たちにはほとんど届いていなくて、それには「数を数えて、毎回その増加を確認し、憂慮しあう」ということが現場に強いられているからではないのかなぁ〜と考えたりしています。








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