勝手に百冊チャレンジ【13冊目】「資本主義の新しい形」
私の問題意識と似ている経済学者さんの、マクロ経済からのアプローチと言えるかな。それゆえに、問いに対する、解の形は随分と違います。自分の考えと対比することで、自分の考えの特徴がよく分かってきました(^^)
だいぶ粗々だし、読み終えていませんが、いったんリリースしようと思います。@2021/7/19
まずは問いについて
本書が取り組むのは、次の三つの課題である。
資本主義はどこへ向かうのか?
「資本主義の新しい形」における市場と国家の関係は?
日本企業、そして日本経済の将来像は?
私の観点に立つと、まず、ここで資本主義を問題とするのではなく、そもそも資本主義を要求している産業社会を問題とすべし、というところ。
たしかに、「資本主義」というツールが目前にあるので、そこを問題にしたいのは分かるけど、それは問い自体が違うのでは?というところ。
それゆえ(?)、似た関心を持っている、私の執筆している本の現時点でのリサーチクエスチョンは「知識社会にふさわしい(資本主義に代わる)新しい制度はどのようなものか?」そして「産業社会に適した古い制度(資本主義)から、どのようにすればスムーズに新しい制度に移行できるのか?」というところです。だいぶ、欲張りですが(^^;
後者については、ごく簡単な一案を示す、ということにしようと思っています。
「非物質化」という概念
このあたりの問題意識は似ているな、と思います。以下の本の借り物にはなりますが、私の言葉だと、アトムからビットへ、というところ。(諸富さんもこの単語を一度使ってたかな?)
ドラッカーさんの「ポスト資本主義社会」も諸富さんの本には引用されていて、教育の重要性が語られるなど、かなり問題意識は似ています。(くどい(^^;)
完全雇用へのこだわり
このあたりの見解はだいぶ違うな、というところです。諸富さんには、MMTとJGPの組合せと同じく、完全雇用はよいことだ、という前提を感じます。
私も完全雇用は素晴らしい理念だとは思いますが、これから社会の生産性がますます上がっていく中、いわゆる勤労というような雇用機会は減少せざるを得ず、諦めた方が良い、というのが私の考え方です。
「投資」について
諸富さんは、第二次産業革命の大きな投資機会は一回限りで、二度目はない、と述べています。
私は、環境を食い荒らした産業社会の後始末として、当面は持続可能な社会へ向けての投資が必要であると考えています。ただ、自分なりに規模感を想定すると、自動運転の実用化による失業を考慮に入れると、完全雇用には至らないだろうな、と見ています。(この評価は別途記事にまとめたいところです。)
諸富さんは、人的資本への投資が大切、と述べていて、「社会的投資国家」という概念を提示されています。ここに大きな異議はないかな、と思っています。諸富さんは、ベーシックインカムに否定的で、一方、私はベーシックインカムの支給も人的資本への投資だとは思っていますが、投資の用途を規定したいのが諸富さん、そうでないのが私、と捉えています。
雇用されるための教育投資と考えるか、自己表現を自由に行うための生活費の支給と考えるのか、という論点はあるのかな、という気がします。(この点の深掘りもあるんでしょうね。)
ベーシックインカムについて
完全雇用が達成できる目標かどうか、という論点に対する回答が違うので、当然ながら、ベーシックインカムへの評価も異なってくる、というところです。(この論点についても、余力があれば、さらに深掘りしたいところではあります。)
参考
とは言え、今は資本主義でもあるので、こういった言説で考える人は多く、その対応は考えておく必要がある、とは思います。