飲み込んだ言葉や思想は、どこへ行くのだろう。
ポケットに しまったままの 「いつかって?」 笹舟の上に そっと乗せる
「大丈夫です。当日は安心してお任せください」 女医がそう答えると、男は目に涙を浮かべながら首を縦に振った。 夏の匂いを残した、秋の手前。 手術は失敗に終わり、女はこの世を去った。 赤、黄、緑、それぞれに色づく楓。 旅行先にて、恋人は小さな箱を開けながらプロポーズをした。 何万秒よりも長く感じる一秒。 女医は目に涙を浮かべながら首を縦に振った。