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インタビュー03_大学内ラボ・研究員 佐野さん

お久しぶりです、澁谷です。
さて、今日はインタビュー企画の第3弾をお届けします。
第一弾から、たくさんの人に見ていただけたようで、大変嬉しく思います。

今回は、大学内ラボで研究員として勤務しておられる佐野さんにインタビューさせていただきました。インタビュアーはCHROの沖さんです。
佐野さんは3児の母でありながら、今年度からフルタイムで勤務しておられます。佐野さんの経歴や農業に対する志、家庭と仕事の両立についてなど、幅広くお聞きしました。

【プロフィール】
名前:佐野友美さん
所属:大学内ラボ・研究員
出身:三重県いなべ市
趣味:ピアノ、読書(土壌学の本など)、虫の観察、
   息子さんと図鑑を見ること
好きな野菜:野菜全般  ★野菜ソムリエの資格あり
      育てるとしたらオクラ

虫の観察中に撮影した、佐野さん渾身の一枚!



――では早速、佐野さんのこれまでの経歴を教えてください。

はい。私は名古屋大学農学部の出身で、植物病理学研究室で修士課程まで行きました。実は、農学部では実際の農業のことを学ぶ機会はあまりなくて、私は農業の生産や流通についてもっと知りたかったので、大学院卒業後、種苗会社に就職しました。この会社では、研究職ではなく、篤農家さんを巡回して、種や苗を販売する仕事です。上手い農家さんは五感が優れていて、天気を読むのが上手く、その年の傾向を正確につかんでいたのが印象的でした。また、思い立って愛知から関東まで視察に行くなど、フットワークの軽さも驚きでした。そこから様々な農家さんを見るうちに、有機農業というものを知りたくなって、有機農作物を仕入れるバイヤーとして働き始めました。そこでも、栽培方法の違いはあれど、たくさんの農家さんと出会いました。3年間働いたのち、結婚・3児の出産を経て仕事からは少し遠ざかっていました。そして一番下の子が小学生になるタイミングで仕事を再開しようと思ったところ、名古屋大学の応用微生物学研究室で人員の募集があったため応募し、2年間研究員として働きました。その間にTOWINGと巡り合ったという形になります。

※篤農家…熱心な栽培研究に裏付けられた実績を持つ、
その地域や作物分野を代表する農家

――3人のお子さんを抱えながらのお仕事への復帰、きっと大変ですよね…。仕事がある日のスケジュールと、家庭との両立についてお伺いしてもいいですか?

6時頃起きて、ご飯を作ります。7時半には子どもたちを出発させないといけないのに、なかなか起きなくて、朝はバッタバタです(笑)。私は子どもたちを送り出した後に準備をして、8時半には家を出て9時にはラボに到着します。出社後すぐ、植物が昨日の夜からどう変化しているか生育を観察し、水がきちんと管理されているか確認します。複数の仕事を任せられているので、上手く時間配分をして取り組んでいきます。お昼はお弁当を食べて、農業新聞や経済新聞を読み、気になる話題があればラボ内にいる亮也さんに共有します。大学内にお気に入りの場所を見つけたので、お昼の時間がいいリフレッシュになります。18時〜18時半に研究室を出て、19時ごろ帰宅し、子どもたちのご飯を作ります。私が遅くなる時は、同居している夫の両親が子どもたちのご飯を作ってくれることもあります。やはり家族の支援がないと、この時間帯で勤務することは難しいです。私がずっと農業に携わってきて、「有機農業を広げたい」という志を持っていることを家族が理解してくれており、やれるところまでやってみなさいと応援してくれています。21時頃に子どもたちを寝かせつつ、自分も一緒に寝ます(笑)沖さん、連絡が途絶えてしまって申し訳ないです…

――いえいえ、健康的でいいですし、ちょっと羨ましいです!では、話は少し変わるのですが、そもそも大学で農学部に進んだ理由をお伺いしたいです。

そうですね、祖父母が農業をやっていたというのが深層心理にあると思います。そこは西田兄弟と共通する部分で、身近に畑がある環境で育って、新鮮で美味しいものが好きなんです。その繋がりで有機農業にも興味を持ったんだと思います。

――なるほど、昔からなんとなく農業に携わりたいという気持ちがあったんですね。その中でも、なぜ有機農業に特に興味を持ったのでしょうか。

やはり、美味しいものが好きというのが大きいです。あと虫が好きです。有機農業でオクラを5〜6年間作っていて、すごく好きだったんですよね、草堆肥を使った土づくりも、そのオクラの味も。また、朝ぼーっと起きても、朝日が昇るにつれて、オクラの花がさいていく綺麗さに元気をもらったりも。

私には有機栽培がしっくりくるんです。それから、現在私は、食育の講師としての活動もしており、食糧自給率についてお話することがあります。日本で作っている野菜でも、肥料を輸入された化学肥料に頼っているという事実があって、そう考えると...。私たちの体を作る大事な成分であるN(窒素)のおおもとが、エネルギーを使って人工的に作られているというのが不思議な感じがして。もちろんハーバー・ボッシュ法は20世紀最大の発明で、この発明のおかげでここまで人口が増えたことは認識しています。しかし、今からはTOWINGの技術などを用いて、収量を維持しながら技術革新していくという時代になってほしいなと思っています。

――そうだったんですね。では、研究員としてTOWINGへ入社した際に、決め手となったことがあれば教えてください。

やっぱり、自分が好きな「土」ですよね!土壌中の微生物だって、数%くらいしか分かってないし、微生物が有機物を変化させる過程を解き明かせば、まさにこれからの農業を切り開いていけるのではないかと考えます。TOWINGの一員として、なんとしてもこの研究をものにしたいなと思っています。

――熱い思いを持った研究者の方と出会えて、我々も嬉しいです。実際に入ってみて、やりがいを感じることは何ですか?

微生物による有機物の硝化の様子が目に見えるところですかね。過程を目視することはできませんが、数字で見えるのが面白いです。どういう条件でいい反応が起こり、どういう条件では起こらないのか。データで見られるのは研究者としてやりがいに繋がっています。

――いいですね!これまで様々なキャリアを積んできた佐野さんですが、「女性」という部分で大変だったことはありますか?

やはり出産は人生の一つの節目というか、何より大事にしたいものができて身の回りのことの優先順位も変わりました。私は、一番下の子が小学一年生になるまでは子育てに集中しようと決めていました。子どもたちに、「あなたが一番大事な子だよ」というのをそれぞれ感じてもらいたくて。その期間は仕事のことはほとんど頭になく、キャリアより子ども優先でした。そういう大変さを社会で共有できるというのはすごく大事だと思っていて、私はたまたま両親が同居だったので頼ることができていますが、今は核家族も多いし、社会で助け合わないとなかなか女性がキャリアを積むのは難しいと思います。

――そうですね、難しい問題ですね。さて、いよいよ最後になりますが、TOWINGへの転職を考えている女性や、TOWINGでの研究に興味がある研究者へのメッセージをお願いします。

農業や環境に興味があって、未来の農業を切り開きたいという志がある方がいれば、ぜひ一緒にやりたいです。私は、仕事をする上で時間の使い方を工夫していて、一つの考えに執着して雁字搦めになってしまうのではなく、色んな事をやって楽しんで取り組めるよう心がけています。目標を持って楽しく働ける仲間をお待ちしてます!

――佐野さん、大変貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

【編集後記・澁谷】
母親として家庭を守りつつ、研究者として高い志を持って仕事にも熱心に取り組む佐野さんは輝いており、同じ女性として憧れを抱きます。そして、終始素敵な笑顔を見せてくださり、とても楽しいインタビューでした。ありがとうございました。

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