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顔が長くなってしまった夜に
私とクリープハイプとの出会いを語るには、
絶対に欠かせない人がいる。
その人は、私が今まで出会ってきた人の中で、
片手の5本指に入るくらいには、
めちゃくちゃ面白い人だった。
いつもいつも、決して私を笑かせようとしていたわけではなかったと思うけど、
彼女が発する言葉とか行動が私にとっては
全部面白くて新鮮で、
一瞬たりとも見逃したくなくて、
私はまるで何かに取り憑かれように
彼女の傍から離れなかった。
クリープハイプと出会ったのは、
高校1年生のクリスマスだった。
特別な夜を共に過ごす特別な人なんて
私にはいなかったから、
同じ境遇の彼女とカラオケに行った。
どうでもいいけど、
この日撮ったプリクラ、
いつもより私の顔が長くて最悪だった。
私は何を歌ったのか全然覚えてないけど、
多分当時好きだったセカオワとかポルノとか
歌ってたと思う。知らんけど。
彼女は私の全く知らん歌ばっかり歌ってた。
内心、知らん曲ばっかりだし、
全然盛り上がらんなーって思ってた。
けど、『憂、燦々』ってタイトルの曲だけは、
なんかよく分からんけど、めちゃくちゃ良くて、当時の私にクリティカルヒットして、心臓ドキドキして、今!この瞬間を逃したらなんかダメな気がして、歌い終わって満足そうな顔してる彼女に急いで「これ誰の曲!?」って聞いた。
そしたら彼女は、
「クリープハイプってバンド、知らんの?」
ってめちゃくちゃドヤ顔で言ってきた。
内心うるせぇなと思ったけど、
でも、彼女は私の知らないこと
沢山知ってるんだよなと思ったら、
なんかちょっと寂しくなった。
顔が長くなったあの日から
私はずっとクリープハイプと一緒にいるし、
沢山の思い出も現在進行形でできているのに、
私は今、彼女がどこで何をやってるのか
全然知らない。
あんなに面白くて大好きな人だったのになー。
そして、
私は、いつもいつも何も知らないな!
だけど、一方でまぁ別にいいかとも思う。
クリープハイプとの出会いについて
ちょっと思い出すことがたまにあるけど、
その思い出の中には絶対彼女がいて、
その事実と記憶だけでも十分、
今の私は生かされている。
特別な夜、
寂しい記憶だけじゃなくて良かった。
クリープハイプのことを
好きでいる間はそう思う、と思う。