母親との再会

小学4年生のころ、
突然母親に引き取られることになりました。
父親は、
私と弟には、母親が会いたがっている、と
母親には、私たちが会いたがっている、と
説明したようです。
けれども実際は、
新しいお母さんが妊娠したため、
私と弟とは一緒に暮らしたくない、
父親と我が子と3人で暮らしたい、
という、新しい母親からの
要望を叶えたようです。

母親は、一番下の弟を育てながら
働いていました。
感情の起伏が激しく、ヒステリックな
様子も見られました。
なぜ自分が3人もの子供を
引き取らなければならないのか、と
何度も言われました。

母親の実家にいく機会もありましたが、
一番下の弟と、私たちでは
明らかな差別があり、
悲しい思いを何度も味わいました。

母親の元に送られてから1、2か月過ぎた
くらいから、父親からの連絡が
頻繁に来るようになりました。
父親は酔って、夜中に
母親に電話をかけてきました。
内容は詳しくはわかりませんが、
私たちを返せ、ということのようでした。

何度も何度も、毎晩電話をよこすので、
母親の疲労とイライラはピークに達し、
私と弟はたった4か月で、
また父親の元に帰されることになりました。

子供とは、物なのだと
思わされた出来事でした。

別れ際、母親はほっとした顔をしていました。
父親は、元々母親に
押し付けたのにもかかわらず、
母親の悪口を私たちに聞かせました。

私の心は
ますます冷えていきました。
これからまた、新しいお母さんとの
生活が始まる。
自分を好きではない人と暮らすことの
重苦しい気持ちを、
父親は気づくはずもありません。
私の知っている大人たちは皆、
自分のことしか考えられない、
そんな人ばかりでした。

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