あんたはよう、踊り手かい?
大したことがなくっても、ギリギリの精神状態になれるくらいじゃないと、踊り手はね。
私たち踊り手の役割は、
些細なことも逃さずに自分に刺して(もしくは自然とささってくるような人も)それでも死なずに生きてみるってことなんだよ。
心臓に糸が通ったまま死んではいけないよって言われている
ということなんだ。
そうでもしない奴が、技巧だけで踊るというならそれは踊りじゃないさ。
技術屋さんだよ。
本当は逃げられるかもしれないところを、逃げずに生きてみな。
私たちはね、逃げずに生きていないと
だんだんぽけーっと上昇して浮遊霊みたいになっちゃうんだよ。
日々世の中の正しさの中でそこに飼い慣らされた囚人さ。
そうなりたくなきゃ、逃げる選択をとことん捨てていくことだよ。
目の前にそれしかなかったら、どんなに恐ろしくとも生きる道はそれだけなんだから。
そうやって生きてる人間のことを、踊り手って言うんだ。身体をくねらせてなくともね。
あんたはよう、踊り手かい?