アイドル歌手にはなれなかった……私という人間

 私は今23歳、独身、社会人。
ごく普通に働いてごく普通な日常を送っている。 
但し、自分では至って普通な人と思っているが他人には変わった人に見えるらしい。。
  それはいくつか理由があって上手くまとめるにはちょっと時間がかかりそう。
例えば、人よりも苦手なこと、出来ないことが多くて何時もワンテンポ、ツーテンポくらい遅れてしまう。それをフォローできるほどコミュニケーション力も高くなく、人に迷惑をかけてしまうのだ。

元々人が苦手なのにその事で更に劣等感や疎外感、そして罪悪感…などなど数え切れないほどの苦痛を感じ自ら遠ざかってしまっている。
そんな人前で話すことも苦手な私だが夢があった。それはアイドル歌手になること。

 歌はふざけているのかと疑われるほど下手くそで(練習の成果で少しずつ上達した)踊りも全く踊れなくて社交性のない、顔も可愛くないそんな人間になれるわけが無いと思うだろう。
私もそれは思っていたが何を思ったのか諦められなくてそのまま大人になってしまった。
子どもの頃、誰でも憧れる職業……
他の人たちは次第に地に足がついてくる年頃になっても諦められず大人になった。
オーディションを何度も受けても箸にも棒にもかからなくて自分で考えたキャッチフレーズとキャラだけが残りどこにも行き場所の無くなったそれらが
日常生活で暴れはじめ、更に変わった人に見られて悩む。
きっと画面やステージの中だからこそ面白く可愛く映るんだ。普通ではきっと、普通では……
ん? 普通とは……? 一体。。

普通がなんなのか、私はどうしたらいいのかどうしたら馴染めるのか未だよく分からないが、
私にも生活があり家族にも迷惑をかけたままでは嫌なので(色々訓練をして)やっと社会人になれた。

これが正解なのか、そうじゃないのか、
これもまだ分からない。今はただただ毎日を乗り切っていかなくてはならない。。

 アイドル歌手になれなかった私は福祉業界で働いている。いわゆるヘルパーだ。毎日頑張って働いて色んな人と関わってコミュニケーションを取って嫌なこともそれなりにあるけれど楽しみを見つけ努力をしているつもり。努力の甲斐あってか児童指導員にもなれた。
それってとっても普通な人だと私は思っている。

アイドル歌手というなりたいものを諦めたことと引替えに私は普通の人になった。
いや、普通の人に見える人になったのか。 
だけどアイドルになれる素質っていうのは別に表舞台にいなくても存在していると私は思っている。
笑顔が可愛い、明るい、人から好かれる、
キラキラしている、そんな人はどんな仕事をするにも役立つと思う。

だから私は決めたんだ。歌やダンスは趣味として練習したり楽しむとして、日常生活の中でアイドルになることを諦めないと。

アイドル歌手にはなれないけれどアイドルヘルパーにはなってみせる。
利用者さんたちを惹き付けるいい支援を身につけてその人たちが少しでも生きやすくなれるような魔法をかけるんだ。
だから明日も明後日も私はトレードマークの緑のリボンをツインテールに身に付けて福祉界の魔法少女としてアイドル活動を行うんだ。

……そんなことを考えている時点で普通の人 とやらにまた少し遠のいてしまったような気がするが気付かないふりをしておこう。

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