藤井 冬仁

産業カウンセラー兼社会保険労務士として活動しています。https://www.touzing.net(⇒カウンセラーHP)、https://www.fujii-sr.net(⇒社労士HP)

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マガジン

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第12回 健康情報と働きやすい職場づくり

 2019年4月の労働安全衛生法改正で、労働者の心身の情報(以下「健康情報」といいます)の取扱について適正な措置を行うことが事業主に義務付けられました。  近年、個人情報保護への関心はますます高まりつつあります。  この観点からも健康情報の取扱いについて慎重になることに異論はないと思われます。  しかし、それだけにとどまらず、健康情報を適切に取り扱うことは、社員にとっても、会社にとっても、非常に重要なことだといえます。  例えば、こんな状況があったらどうでしょう。(※

    • 第11回 健康管理と生産性

       昔、ラジオ体操などで、出席すると台紙にハンコ押したりシール張ったりしてもらいましたが、何の賞品もあるわけでもないのに、単なる認印でしかないハンコが欲しくて毎日通ったことを覚えています。  何故かハンコが埋まっていくだけで達成感があって楽しかったものです。  そういった達成感を感じられるなど、そこに行くこと自体が楽しいなら、それはそれでもいいのかもしれません。  しかし、仕事となると、行きたくなくとも、体調が悪くとも、出勤せざるを得ないと考えている方も多いのではないので

      • 第10回 障害者雇用と合理的配慮

         今、少子化が社会的な問題となり、今後、企業における人材の確保が、ますます困難になることが予想されています。  ダイバーシティ社会、インクルーシブデザインという言葉も様々なところで聞くようになりました。 ※「障害」という表記には様々な議論(「障がい」、「障碍」など)もあるかとは思いますが、文中の表記は「障害」で統一します。  しばらく前に、身体に重度の障害がある方が国会議員となり、議事堂をバリアフリーにするというニュースが話題になりました。  そもそも、障害者差別禁止

        • 労働者の心身の健康を確保するためにはエビデンスを出していくことが重要 https://www.rodo.co.jp/news/83799/?fbclid=IwAR35QR8ucxLxDyusUka92Z3F9gGdE2eAFvyJgoPoMuT_AmKQdxWYHeaVNl0

        マガジン

        • きになる
          1本

        記事

          第9回 時間外労働の上限規制と過重労働

          今年4月から、大企業において時間外労働の上限規制(以下「上限規制」)が始まりました(中小企業は令和2年4月から始まります)。  36協定の締結にあたっては、時間外労働の延長時間は1か月45時間、1年360時間※を超えてはならないものとされました。  なお、36協定の内容にかかわらず、1年を通して常に、時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満、2~6月平均80時間以内にしなければなりません。  例えば、1か月の時間外労働が45時間以内に収まっていても、休日労働をして

          第9回 時間外労働の上限規制と過重労働

          第8回 パソコン作業者の健康管理

          近年、あらゆる仕事において、パソコンやタブレット端末など情報機器での作業が必要とされてきています。  そういったなかで、長時間の作業で目が疲れている、肩が凝っているという方も多いのではないかと思います。  厚生労働省では、こういったパソコンでの作業など職場における情報機器の操作を原因とした心身の不調を防止するため、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます)を設けています。 -------------------------

          第8回 パソコン作業者の健康管理

          第7回 熱中症と暑さ指数について

          【注意点】 ※このコラムでは、労働安全衛生管理の観点から、熱中症予防に向けたの職場づくりをテーマにしています。熱中症発生時の症状や対応については、職場の産業医やかかりつけ医などの医師にご相談ください。 また、行政のHPでも情報が掲載されていますので、併せてご覧ください。 環境省HP「熱中症予防サイト」 http://www.wbgt.env.go.jp/ 厚生労働省HP「職場における熱中症予防」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisaku

          第7回 熱中症と暑さ指数について

          第6回 パワハラを防止するためのコミュニケーションの技術

           交流分析(※)の創始者エリック・バーンは、「過去と他人は変えられない。しかし、今ここから始まる未来と自分は変えられる」と言ったそうです。(※アドラー心理学の流れを汲む心理学的手法のひとつ)  コミュニケーションは、相手と自分と、双方向で行うものですが、そうであったとしても、変えることができるのは、「自分だけ」ということなのです。  それでは、具体的にどうすることが、よりよいコミュニケーションづくりに繋がるのか、見ていきましょう。 -------------------

          第6回 パワハラを防止するためのコミュニケーションの技術

          第5回 パワハラのグレーゾーンと予防対策

           パワハラに当たるかどうかの判断は、図1のように白黒はっきり分かれているものではなく、図2のようにグラデーションになっていて、パワハラに当たるかどうかの「可能性」が、「言動の程度・頻度」や「人間関係の良好さ」によって変化するものと考えられます。  「人間関係の良好さ」は、特に、パワハラの「グレーゾーン」と呼ばれるケースでは、とても重要になります。 ---------------------------------------------------------------

          第5回 パワハラのグレーゾーンと予防対策

          第4回 「パワハラ」の定義

           仕事などで人と話していて「パワハラ」という単語が、本来の定義よりも広い意味で(パワハラに当たらないものまで)使われていると感じることがあります 。  上司に厳しく注意を受けたり、やりたくない仕事を押しつけられたりしたときに、とりあえず「パワハラ」という単語を使ってしまう、なんてこともあるのではないでしょうか。  そんなこともあってか、 「パワハラって、わかりにくい」 「パワハラと言われるかもしれないから、指導するのが怖い」  という話もよく聴かれます。  今回

          第4回 「パワハラ」の定義

          第3回 ストレスチェックを活用した職場改善

          メンタルヘルス不調を未然に防ぐため、ストレスチェックを活用して従業員自身の自己管理を促進すること、加えて、管理者等が日頃から従業員への声かけを行うことの重要性について、第1回のコラムでは述べました。 ストレスチェックについては、実施しただけで終わることなく、これに基づく集団分析結果を活用することが望ましいとされ、厚生労働省から発表された、2018年4月~2023年3月の5年間を計画期間とする第13次労働災害防止計画でも「ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事

          第3回 ストレスチェックを活用した職場改善

          第2回 メンタルヘルス不調者対応について

          前回、職場のメンタルヘルスケアには日頃から従業員とコミュニケーションを取るなど、体調に気を配ることが大事だということを書きました。 しかしながら、職場の上司や同僚は医者ではないので、見ただけや話だけでメンタルヘルスに不調を来たしているかどうかを判定することは極めて難しいと思います。 また、従業員を病気と決めつけることには不信を買ったり、揉め事の原因になることもあります。 メンタルヘルス不調を判断する視点として重要なのが「事例性」と「疾病性」であるといわれています。 こ

          第2回 メンタルヘルス不調者対応について

          第1回 ストレスチェックと一次予防

          ストレスチェックとは、2015年に従業員50人以上の事業所に義務づけされた、心理的な負担の程度を測定するテストのことです。 一般的には厚労省HPなどに掲載されている「職業性ストレス簡易調査票」を用いて行われます。 一定の要件を満たせば、他の質問紙を用いることもできますが、厚労省の指針では、「職業性ストレス簡易調査票」を用いることが望ましいとされています。 さて、この「職業性ストレス簡易調査票」ですが、57項目の質問に対して、自己申告により、質問の内容に当てはまっているか

          第1回 ストレスチェックと一次予防