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自分の声は好きじゃないけれど、歌うことは出来る

僕は一般的に聞いていい声とはあまり言えないと自負している。声は高いし、日常会話でもすぐに裏声が出るし、子供っぽい。そもそも第二次性徴期に声変わりというものがほとんどなかったし、喉仏も全然でなかった。普通にしゃべっている声を録音すると、まるでイキり散らかした中学生のような声だと自分でも笑ってしまった。

そんな調子だけれども、音楽は無学ながらも好きなのでカラオケにはしょっちゅう行く。小さい頃、歌手になりたいと思ったこともある。移り気な子供故の憧れは自己肯定感の喪失と共に消え失せてしまったが。それでも歌は好きなままで、いつもイヤホンを付けて何かしら聞いていないと安心できない。雑音に心をかき乱されないようにするというのもあるが。

高校生の頃、最初にカラオケに行き始めたころは本当に難しかった。何せ聞いている曲は当時からボーカロイドと東方アレンジばかり。声が高すぎて出ない。かといって男性ボーカルの曲は今度は低すぎる。当時は唯一知っている高めの男性ボーカルだったTMRevolutionを歌いまくっていたのをよく覚えている。ボカロも、曲を選んでミクさんの低音曲を探したりしていたものだ。それでも、特別仲の良い友達と言ったときはハイキーを練習しまくっていたおかげか、はたまた恥を捨てた恩恵か、最近は一曲丸ごと裏声に近い声を出して高音を出せるようになってきた。

歌っていると、自分の声を少しだけ好きになれる。いつもこの声で喋れたらいいのになと、マイクを握りながら考えるのである。

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