墓地ソースは何故重要なのか
今回は遊戯王、ひいてはカードゲームにおいての墓地ソースという概念について少し考えてみたいと思います。TCGプレイヤーにとってはごく当たり前の概念ではありますが、具体的に言葉にしているのをあまり見かけないため、ちょっと掘り下げてみます。
さて、ここに愚かな埋葬というカードがあります。
おそらく、遊戯王プレイヤーでこのカードを知らない人間はいないでしょう。好きなモンスターをただデッキから一枚墓地に落とすというよくわからない効果です。単純に考えれば手札や盤面にカードは一枚も増えていません。
しかし、このカードは2010年に制限カードになって以降その地位を不動のものにしています。
また、デュエル・マスターズにはダンディ・ナスオというカードがあります。こちらはデッキから一枚好きなカードを1枚置いたあと、マナから一枚墓地に送ります。やはりこのカードも盤面の総数は変わらないにも関わらず、2011年に殿堂指定から長らくその地位を維持し、今年の3月にとうとうプレミアム殿堂になってデッキに入れることができなくなってしまいました。
何故墓地にカードを送ることがこれほどまで重要視されるのでしょうか?まず、カードゲームの共通概念として、カードは何処にあるのが最善でしょうか?
当然、使用状態と言える盤面です。遊戯王の手札誘発、デュエマのS・トリガーやニンジャストライク等の例外的な防御札を除いて、基本的に盤面上のカードの枚数、使った効果の枚数が勝利に直結するのがカードゲームです。では、その次は何処にあると嬉しいのか。これもまた分かりやすいですね。すぐに使える状態にある手札です。勝利にすぐさま直結するわけでは無いですが、いつでも使える状態にある手札は、基本的にカードゲームにおける選択肢と同義です。手札の枚数=選択肢の数というわけです。
さて、ここからが本題なのですがこれらに共通することは何かというと、カードが既に使用状態、もしくは使用可能状態にあるということにあります。つまりカードをゲーム中に使えることが確定しているということになります。カードゲームによって枚数は異なるものの、デッキ内のカードは基本的にゲーム中に全て使うことができるわけではありません。ゲーム中に何らかの形でデッキから持ってこれなかったカードは使用できません。しかし、先程述べた通りカードゲームは使用したカードの枚数が勝ちに直結しています。つまりカードゲームというのは、極論デッキから何枚のカードをゲーム中に使用することを確定させるかで決まるわけです。
そして、墓地というのは擬似的に使用するカードを確定させる場所になりえます。もちろん、本来は使用済みだったりコストになった使用済みのカードを置く場所なので直接墓地から使用出来るわけではありません。しかし、デッキとは異なり墓地に行ったカードは確認が可能です。またカードゲームでは墓地を再利用する効果は数多く、場合によってはそれをテーマに扱うデッキすらあります。有名なカードだと死者蘇生でしょうか。
これが、俗に言う「墓地は第2の手札」というものです。カードが既に公開情報となって確定しており、墓地からの再利用カードで間接的に手札から効果を使用することができるのが墓地なのです。また、使用済みのカードを置く場所である以上、ゲームが進むほど減っていくデッキとは対象的に墓地はどんどん増えていくことになります。そのため墓地からの再利用を積極的に狙うデッキは特性上長期戦に強い点もメリットです。総じて墓地を使用するカードを併用する必要がある反面、間接的なリソース源となる墓地は重要になりやすく、特に積極的に墓地利用を狙うデッキの場合はむしろ如何に効率よく、狙ったカードを墓地に増やしていくのが重要になってくるわけです。これが墓地ソースの価値を高めている要因であり、積極的に活かす理由なのです。
カードゲーム初心者にとっては墓地は扱いが難しいところがあります。メリットばかり挙げましたが、実際には再利用出来るカードは決まっていますし、そもそも再利用するカードばかりでも利用したいカードばかりでもデッキは動きません。そのため、単純に引いたカードのみで戦うデッキよりも構築やプレイングが必然的に難しくなってしまいます。墓地の使い方を正しく理解し、上手に扱えることは一つのカードゲーマーの関門といえるでしょう。
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