お客さんが減った苦しい時こそ、目の前のひとりのお客さんに集中する
これは若い時に読んだ本の一節にあった言葉で、
「お客が来なくてツライ時は、そのときでも来てくれているお客さんを満足させることだけに集中する。そうすると、そのお客さんが次の人を連れてきてくれる。その連鎖で、客足が戻って来る」
というような内容だった・・・と思う。
この言葉は、僕が苦境に陥ったとき、いつも自然と頭に浮かんでくる言葉だった。
客数が減っていたり、客単価が減っていたり、つまり、売上が減っているときは、単純に、お客さんを呼びたくなる。
つまり、広告を打ったり、PRをしたり・・・というカンフル剤を使いたくなる。
でも、考えてみれば、お客さんが減ったのは、こちらがわに問題があるはず。
なのに、広告を打って、お客さんを呼んでしまえば、その問題のある今の自分のお店なり、会社なりで迎えることになるのだから、満足してもらえず、その人達は再び顧客になることはないだろう。
つまり、穴の空いたバケツにずっと水を汲み続けることになる。
だからこそ、まずは、今、苦境においても来てくれているお客さんをしっかり見て、満足してもらえるように、手練手管を尽くす。
そうして、お客さんが増え始めたら、そのままでもいいだろうし、そこで広告を打ってもいい。
でも、世の中の会社は、意外と、そうでもない。
ある会社やお店の業績が悪いという報道がなされたりして、そこに行ってみると、「苦しいので値上げします」とか、逆に「クーポンの配布」などをしていたりする。
まあ、世の中というのは、どれが正しいのかは分からない。
それで復活してしまう企業もあるし、ダメな場合もある。
キズの深さにもよるだろう。
バケツの穴が小さければ、水が落ちるスピードは遅くなる。
それなら、バケツの穴に気づかないかもしれない。
小さな穴なら、「不景気だから」「物価高だから」「人口減だから」という理由で、説明してしまうかもしれない。
カンフル剤を打たず、目の前のお客さんに集中していたら、時間切れになってしまった・・・なんてこともある。
現実は様々な変数で動くから、「これが原因でした」といえない。
ただ、経験的には、この「困ったときは、目の前のお客さんに集中する」という言葉は、困ったときの対策の中心においても良いと思うし、今まで、僕の助けになったと思うし、これからもなるだろうと思う。