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オプションのデルタ、ガンマ、セータ、ベガ

オプション取引を学んでいると、デルタとかガンマとかの用語が出てくるけど、それを調べてみると、そっけない説明ばかりで、どうも腹落ちしない。

まあ、その程度の説明で分からないやつや、用語を調べている程度のやつがオプション取引なんて危ないからやるなよ!という親切心なのかもしれないが、もう少し丁寧でもいいんじゃないの?と思う。

ここでは僕が、ChatGPTと壁打ちしながら、これらの用語を理解した成果を書いておきたい。


デルタ

デルタとは、「日経平均株価が1円動いた時に、どのくらいオプションプレミアムが動くか?」という「オプションプレミアムの変化量」を表したもの。

これはつまり、市場参加者(オプションをやっている人達)が、
その価格に到達する確率(◯円まで行くだろう確率)がどの程度と見積もっているか?
という「到達確率」を表している。

コールの場合は、日経平均株価が1円上がれば、必ずオプションプレミアムも上がるので、常にデルタはプラス。0から1.
つまり、0なら「行かないだろう(0%)」、1なら「絶対行くよ(100%)」ということ。

プットの場合は、1円上がれば、オプションプレミアムは下がるので、常にデルタはマイナス。0〜−1。

アット・ザ・マネー(今、日経平均がいる位置)の場合は基本0.5 or −0.5。
要するに、ここから上がるか下がるかは、五分五分だぞ!という状態。

例えば、デルタが0.3の場合は、日経平均株価が1円変化すれば、0.3円プレミアムが変化する。

ガンマ

これが難しかった。
ガンマは、「日経平均株価が1円動いた時に、デルタがどのくらい動くか?」という指標。

要するに「デルタが、日経平均の動きにどれだけ敏感に反応するか?」という指標。

なんでこんな指標があるのだろう?
デルタで充分じゃないの?

と思って調べたら、ヘッジをするときなどに重要らしい。
これは下のデルタヘッジのところで詳しく書きたい。

セータ

これは簡単。
日にちが経過するごとに、どのくらいオプションプレミアムが下がるか?という指標。

前回書いた「明日の価格を当てるのと、1ヶ月後の価格を当てるのはどちらが簡単か?」という話で、

SQ日、つまり、満期まで近いか、日にちがあるか?によって、賭けの精度はまったく変わるのだから、SQに近ければ当たる確率が高くなるし、遠ければ低くなる。

なら、明日、日経が3000円上がると思う人は少ないから、そのオプションは安くなっていく。
基本的にセータの観点からは、日にちが経過する事にオプションプレミアムは安くなっていく。

それで「今、どのくらい日にちの経過にオプションプレミアムが敏感かな?」というのが、セータ。

ベガ

これも簡単。
今、ボラティリティの上下によって、どれだけオプションプレミアムが上下するか?」という指標。

これも前回の話で書いた通り、「最近、動いているよね」という時と、「最近、全く動かないよね」という時、
また、「これから動きそう」というとき、「もうなんにもイベントがないから、動きそうにないね」という時、

つまり、ボラティリティ(どのくらい日経平均が最近動くか?)が大きいか小さいかによって、オプションプレミアムの金額は変わる。

「デルタヘッジ」 デルタは何に役立つのか?

前回の記事「日経平均がオプションで動く理由」で述べた通り、オプションの売りを持っていて、「やばい!損失になりそうだ。ヘッジしなきゃ?」という場合、先物や先物ミニを使って、売り手はヘッジを行う。

もしくは、「価格の変動リスクは消して、ボラティリティだけから利益を得たい」などの高度な戦略を取る場合もあり、その都度、ポジションの調整を行いたい場合もある。

このとき、闇雲に「うぉー」と先物を買ったり売ったりしていても仕方がない。ある程度の目安が必要だ。
じゃないと、ヘッジ不足に陥ったり、ヘッジ過剰に陥ったりしてしまう。

その一番手が「デルタ」となる。
デルタは「今、みんなが考えている、その価格に到達する確率」とともに、ヘッジの指標となる。

つまり、デルタで、「手当しておくべき株式の枚数」も分かる。
1なら100%=100枚。0.5なら50%だから50枚くらいでいいかとなる。

例えば、デルタが0.5(or -0.5)の場合。
50%の確率でどうやらヤバそうだぞ・・・ということになる。
その場合、日経平均が1円動くと、0.5円オプションプレミアムは動く。
ならば、これをヘッジするためには、日経平均先物を0.5単位売買すればOKということになる。
※ Callを売っている場合は先物を買い、Putを売っている場合は先物を売る。
※ 本当は0.5単位先物を買うなんて出来ないから、半端な単位の場合は10分の1の先物ミニを使って調整する。

これを「デルタヘッジ」と呼ぶ。
原資産(日経平均株価)の価格変動に伴うオプションプレミアムの変動リスク=デルタを、ヘッジしているから、デルタヘッジ。

デルタヘッジの調整:ここでガンマが重要になる。

このデルタは当然だけど、刻々と動いていく。
だから、オプションのデルタを先物でヘッジしても、日経平均がまた動いたり、時間が経過したり(セータ)、ボラティリティが変化したり(ベガ)することで、デルタは変わってしまう。

つまり、デルタが変わるたびにヘッジを調整しなくてはいけない。

ところが、当然、ヘッジのためにはコストが掛かる。
手数料もかかるし、先物を売買すれば、その度に損益が発生してしまう。
だから、ヘッジの回数は最小限にしたい。

そこで、「今、デルタはどのくらい動くのかな?」ということを知りたい。
これがわかっていれば、デルタの動きをある程度見越して、ヘッジをすることができる。
要するに、これがガンマ。

ガンマを見ながら、
「◯円の間はヘッジをせず、◯円動いたらヘッジをしよう」
「このくらいなら、1日ごとにヘッジをするかしないか考えればいいや」
「逆のオプションを早めに買っておこう」
というように考え、実際のヘッジの際には、デルタを見ながら決める・・・という感じだろうか。

※ ガンマスクイーズ

オプション市場でのガンマのヘッジが連鎖的な買い(もしくは売り)を引き起こし、原資産(ここでは日経平均)の価格変動を加速させる現象。

  1. GameStop事件(2021年)

    1. 個人投資家が大量にGameStopのコールオプションを購入。

    2. マーケットメーカーは、ヘッジのために、GameStop株を大量に買い続ける必要があり、株価が急騰。

    3. 最初の数日で、$20→$400以上に暴騰

  2. Teslaの急騰(2020年)

    1. 同じく、個人投資家によるコールオプションの大量買い+マーケットメーカーのヘッジによるTesla株の買い上げにより、株価が急騰

※ アメリカでは個別株のオプション取引が活発

「デルタ」だけでいいんじゃないの?

こうやって用語を見ていくと、確かに複雑なことをしようと思えば、上の4つの用語すべてをちゃんと見ておかなくてはいけないのは分かる。

だけど、僕のように「オプションの買いしかしない」人の場合、以下のような疑問があった。

「基本的にガンマやセータ、ベガも現時点の一時点においては、すべてデルタに反映されているわけだよね。
なら、まあ、その時だけの判断としては、デルタだけ見ておけば、充分なんじゃないの?」

とChatGPTに聞いてみると、「まあ、原則的にはそうだ」とのことだった。

もちろん、時の経過とともに、オプションのプレミアムは価値を失っていくし、ボラティリティによっても価値は変動する。
だから、もちろん、デルタ以外の項目も考えていかなくてはいけないのだけど、それは前回の記事で書いたように、「普通はどう考えるか?」と考えておけば分かる話。

だけど、価値の判断だけ見れば、価格とデルタを見ておけば、まあ、その時の状況は把握できるよねという感じ。

まあ、でも、ギリシャ語にする必要ある?
デルタは、到達予想確率、
ガンマは、到達予想確率の変動率(ボラ)、
セータは、時間
ベガは、原資産の変動(ボラ)
というような日本語で良くない?せめて、英語にしてくれ。

とは思うけど、世界でそうなっているなら、仕方がない。

オプションは買いだけなら、空売りよりも安心だし、必要な資金量も小さくてすむ。
売りをやるなら、数年、買いをやってからだとも言われる。

それだけでなく、売りと買いを組み合わせることや、先物を組み合わせることで、様々な戦略が取れるという。
ここを次に勉強していきたい。

※ とはいえ、もっとオプションに詳しい人がいて、間違いがあった場合は教えていただければ幸いです。


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