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今、住宅は買い時なのか?:人口減・金利などを考える:家の購入記3
「今、家を買うべきなのか?」というのは、不動産関連業者に言わせれば「常に今が買い時」となるし、その他の意見も「そんなの分からないから、買いたいと思ったときが買い時と思えばいい」という感じ。
不動産の価格は今まで書いた「相場+個別要素」という、その物件自体の価値に、その時々の市況(「今が買い時か?どうか?」)を加えたもの。
つまり、
不動産価格=その個別の物件の価値+今の市況の状態(プラスの場合もマイナスの場合もある)
という感じ。
市況ももちろん誰も分からないことだけど、どちらかというと、「今は買わない」という結論になることを願いつつ、買うなら、自分なりに納得して買うべきだと思ったので、2024年現在の状況を考えてみた。
「もっと下がるんじゃない?」という要因
1,人口減少
もう確実に起きることが分かっている人口減少だけど、ありがたいことに、各自治体が「だいたい、このくらい減りますよ」という推計を出してくれていたりする。
しかも、「このエリアが減って、このエリアはあまり減らない。全体として◯万人減る」というようなことまで教えてくれる。
もちろん、この通りにはならないと思うけど、10万人減る予定だということになれば、単身だと10万軒、2人家族だと5万軒、4人家族だと2.5万軒、家がいらなくなることになるし、ある程度の目安にはなる。
単純に、それだけ市場に家が放出される、ということになるので、家の価格はだんだん下がっていくんじゃないか?と推測できる。
なかには「お金を払ってでも住んでもらうケースがも出てくるはず」というような意見や、
「孫の世代では、借金して家を買うというのが信じられない!というようになるだろう」というような意見もある。
この問題が非常に大きくて、「家を買う」ということに踏み出せないでいたけれど、家探しを行う中で、「これ、違うかもな」と思い始めた。
まず、人口減少で家がいらなくなった場合、どう市場に放出されるか?と考えると、
そのまま売りに出す・・・これはほぼ築何十年という物件だろう。ボロボロか、少なくともピカピカの物件ではない。どんなに安くても、これが欲しいか?という問題。
リフォームもしくは建て替える・・・リフォームしたら、結局、それなりの価格になるんじゃないの?
そう考えると、結局、欲しい家は高いんじゃないの?という話になる。
次に「それは、いつになるの?」という話。
あと5年後、10年後、15年後?
徐々に起きるのか、一気に起きるのか?も分からない。
ということは、空き家であふれるのを待ち続けて、賃貸生活をしているうちに、自分に時間切れが来てしまうかもしれない。
10年待った末に1000万安くなっても、家賃10万で待ち続けたのなら、1200万くらい掛かってしまうわけだし、意味がない。
エリアの問題もそう。
空き家だらけで高齢者だらけのエリアと、若い人が集まるエリアに分かれ、人気エリアと不人気エリアで分かれるだけで、人気エリアは逆に値が上がるのではないだろうか?
ということから、言われているほど、欲しい家の価格は下がらないかもと思った。
2,金利が上がりそう
「金利が上がれば、住宅ローンの返済金利も上がり、価格が下がるんじゃない?」
という要素。
金利が上がれば、今まで1億借りられていた人が、8000万しか借りられなくなる。
だから、そういうケースが増えれば、不動産価格が下がるんじゃない?という話。
確かにそういうケースはありそうだけど、どちらかというと、
「これから金利が上がりそうだから、上がる前に買ってしまおう!」
という駆け込み需要的な要素の方が大きい気がする。
今のアメリカのように、「これから金利が下がるかも」という時の方が買い控えが起きそうだとも思う。
また、諸外国に比べて、日本は極端に低金利だし、買い手が外人さんなら、日本の金利アップなんて、意に介さないレベルだろう。
だから、これによる値下がりはあまり期待できなそうな感じだった。
今後の金利アップは、「今から買う人」よりも、「すでに住宅ローンの返済をしている人」の方に影響があるのではないかと思った。
それによって、つまり、返済が苦しくなり、市場にたくさんの売却が出てくるようなら、値が下がる要素になるけど・・・。
3,インフレによる生活苦
「すべて値上がりして、家どころじゃない」というニュースを見た。
目先の生活が苦しければ、家を買うなんてことは思わないだろう。
だから、家の価格は待っていれば下がるのではないか?という意見。
でも、インフレが起きれば、不動産を含めた資産価格は上がる。
矛盾じゃないかな?と思ったけど、一般の人たちの生活がどうか?というのは、あまり不動産価格には関係しないように思う。
諸外国と比べ、東京の不動産価格はかなり割安だという。
だから、そこが埋まるまで、海外の人は当然買いに来るし、日本人の富裕層も負けじと買っていくので、東京の不動産価格は上がっていくらしい。
すでにNYとかシンガポールとか、トルコとか、一般庶民が家を買うというのは、かなり難しくなっているようで、日本もこうなる可能性があるというのは想定しておかないとなと思う。
4,コロナの時に作った戸建てが売れない
コロナの時に「テレワーク」「在宅勤務」ということから、「ずっと家にいるなら、家を充実させたい」と、郊外の戸建てが飛ぶように売れたらしい。
だから、各社、一斉に戸建てを作ったのだけど、コロナが五類になり、普段の生活に戻ったことで、それらの戸建てが全く売れなくなった・・・というニュース。
確かにそのとおりで、「こんなところの戸建てが6000万!」というような値付けもあって、それがみるみる「大幅値下げ!」とかで4500万とかになり、それでも売れていない物件も散見されたし、各社の決算も悪かった。
そうすると、「今の時代に、そんなに戸建てが売れるわけないだろ」というような意見があふれてきて、「本当に家を買っていいのかな?」という気持ちになる。
だけど、普通に考えて、企業は利益を出さないといけないのだから、
作りすぎてしまって失敗したなら、次は作りすぎないようにする。
作る数が減って同じ価格なら、儲けが少なくなるので、1軒ごとの儲けを増やしたい。
だから、今度から、少し高級な物件を作ることにしよう。
お客から見ると、新築の物件が減るわけだから、取り合いになり、価格がさらに上がるようになる。
となるのではないか?と思った。
つまり、今の値下げは一時的なもので、今後は持ち直していくだろうと。
実際に、都心などでは「高級な戸建てを作る」というのが増えているというニュースが出ていた。
以上、4つ、「これから下がるかも」という要因を見てきたけれど、どれもちょっと怪しかった。
次は、「今後、価格が上がるかも?」という要素を見ていく。
「もっと上がるんじゃない?」という要因
1,品質基準が厳しくなっている。
国が新築の物件の品質基準を引き上げようとしている。
住宅性能表示とか、省エネ性能とか、そういった指標を出したり、義務付けをしたりし、「性能のいい住宅を増やす」ということを目標にしているようだ。
これはつまり、「新築の物件が値上がりする」ということ。
もしかしたら、耐震基準のときのように、「2024年以前と以後」で住宅の性能が異なることになるから、その分、それ以前の中古の住宅が値下がりするのかもしれない。
つまり、品質が違うんだから、今後、新築と中古の値段の差が開くということになるのかも。
2,人手不足:2024年問題と職人高齢引退問題
2024年に労働時間の規制が行われたことで、ひとつの物件にかかる建築日数(工期)が増えることになったらしい。
話を聞くと、かなり大きな影響があるようだ。
それと、インボイス制度が始まったことと合わせて、高齢の職人たちが、「じゃあ、もうこの辺で辞めるわ」と引退してしまうことが増えたらしい。
これらが原因で、建築業界はかなり人手不足が激しいらしい。
人手不足ということは、人を集めるために、給料を上げなくてはいけないから、当然、その分は建築費のアップにつながる。
3,インフレ+円安
上でもインフレは出てきたけど、こっちの方が本命で、日本だけでなく、世界はほとんどインフレなので、輸入品はどんどん上がっていく。
建材などはほとんどが輸入品だそうなので、建築費が下がる理由はなさそう。
さらに円安になれば、その分が上乗せされる。
おそらく、日米金利差は今がピークだと思うので、今後は円高傾向になるとは思うけど、どうなるかは分からない。
マンションの特殊要因「マンションはどうなのか?」
上の話はマンションも共通すると思うけど、マンションが戸建てよりも上がっている要因には、マンション特有の要因が関わっているらしい。
相続税対策でタワマンを買う・・・現金で1億円を持っていると1億円課税されちゃうけど、1億円でマンションを買うと相続税の評価額が少なくなるから(買った値段ではなく、路線価がベースになる)、例えば4000万になるとすれば、相続税はその4000万に対して払えば済むだけになる。これがタワマン節税で、タワマンは高層階の方が値段が高く、相続税の評価額との差が大きくなるから、富裕層が買っているという話。
中国の不動産不況(+その他)により、日本に流れてきている・・・中国の不動産市況が悪く、「じゃあ、日本の不動産を買おう」と日本に流れてきているという話や、台湾有事を想定して、もしくは、「もう日本に住もう」という人が実需で買っているという話も聞いた。
マンションの新築が少ない・・・都内はマンションを作るような大きな土地が少なくなっているらしく、マンションの新築が少ないらしい。だから、それに殺到するし、「あまり作れないから、一戸あたり高くしよう」と高級化していることもあって、値段が上がっているらしい。
当然、都内が上がれば、「じゃあ、郊外で買うか」と郊外にも流れてくるから、郊外の値段も上がりだすことになる。
本当に僕の生まれ育ったマンション、地方都市の築35年くらいが、3000万くらいの価格がついていたりして、「どうかしているのでは?」と思うほどだ。
あと「値段が上がっている」と聞けば、「どうせ売ればいいから」とローンの金額も無理して買う人もいて、それも価格の下支えになっているらしい。
だけど、上の1番「相続税対策」がついに国税によって、ふさがれてしまい、1番の要因がなくなる。
一旦、何かが反転すれば、一気に逆回転していくかもしれないから、そう考えると、この上昇スパイラルは一旦終わるかもなとも思う。
「上がる」「下がる」の両方を考えると・・・
両方を考えると、下がるかもしれない要素は根拠がやや薄く、上がるかもしれない要素はほぼ確実に起きる気がする。
(人口減と円安については読めないけれど)
ということで出した結論は、
1,土地は下がるかもしれないけど、建物は上がるんじゃない?
人口減で、もしかしたら、土地は下がるかもしれない。
だけど、エリアによって。
でも、間違いなく、建築費は上がりそうだし、品質基準も高くなりそうなので、建物の価格は上がりそう。
3Dプリンターとかコンテナハウスとか別の手法が増えてくれば、ここは変わるかも。
ただ、今後、新築はマンション、戸建てを問わず、限られた人しか買えない贅沢品になるのではないか?
そして、各社リフォームに注力するようになるのではないか?と思う。
2,それぞれの兼ね合いを考えると、今、「戸建て」を買うのは、少なくとも悪い選択肢ではない。
今、売っている戸建ては、2024年問題の前に作られているものもあり、コロナの件もあり、値下がり気味。
時期を待つことによる家賃の支払いや、上で上げた要素を考えると、今、買って正解かは分からないけど、少なくとも、悪い選択ではないと思える。
特に新築については、より、そう思う。
ただ、マンションの場合は、ピークアウトの兆しが見えるのと、コロナの作り過ぎの恩恵が受けられないこと、郊外については都心につられて上がっているだけので、少し推移を様子見した方がいいかも。
という結論になった。