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先物のロールオーバーって、なに?

先物の建玉残高などの話を聞いていると、「ほとんどがロールオーバーですから」とかの発言が出てくる。

僕がそれらの話しぶりから、疑問に思っていたのは、

「ロールオーバーと、今の限月のものを一度手仕舞いして次限月のものを再度購入するのは、一緒じゃないの?」
「一緒なら、市場に与える影響は同じじゃないの?」
「それに、結局、そのたびに損益が発生するんじゃないの?」
「別にSQで精算してしまって、また同時に次の限月のポジションをとってもいいんじゃないの?」
「なんで特別扱いするの?」
「たかが、取引の思惑の違いを表すだけだとしたら、あんなにロールオーバーロールオーバー言うだろうか?」

ということだった。

おそらく分かっている人には逆に「何言ってるの、この人」という感じだろうけど、投資界隈での勤務経験がない僕は、そういう場合にありがちな「変なところでつまづく」ということがよくある。

ということで、その点について調べてみた。

先物のロールオーバーとは?

先物、ここでは代表的な日経平均の先物について主にするけど、先物のロールオーバーとは、調べると、

今、持っている先物のポジションを、次の限月に繰り越すこと

だという説明がされる。

つまり、

  1. 先物のポジションを取る=先物を売ったり、買ったりする。

    1. 未来の日経平均が上がると思えば、先物を買う。

    2. 下がると思えば、先物を売る。

  2. 先物には期限がある=限月

    1. 期限(SQ日)が来ると、勝手に精算されてしまう。

  3. だから、期限を超えて持ち越したい場合は、今の限月のポジションを閉じて、次の限月のポジションをもつ=ロールオーバー

いたって、シンプルで、やっていることは僕にも理解できる。

やっていることは理解できるのだけど、

「結構、損益だって出るのに、特に損の場合は、もったいないんじゃないんだろうか」
「限月をまたいでポジションを維持したいなんてことがあるのだろうか?」
から、

「もしかして、ロールオーバーとは、なにか特別な仕組みだったりするんだろうか?」

という感じになってきてしまった。

「ロールオーバー」と「一度、今の限月の先物を手仕舞いして、次の限月の先物を買う」のは、何が違うの?

これは「ほぼ同時に行うか、否か?」以外は一緒だという。
これでひとつの疑問が解かれた。

そして、証券会社によっては、「ロールオーバー用の低コストの取引プラン」を用意していることがあるらしい。

要するに、ロールオーバーとは、

今の限月のポジションを手仕舞いして、次の限月の先物のポジションを、ほぼ同時に行う

ということだけらしい。

要するに、「同時に」行わないと、その間に価格が動いてしまうわけだから、当たり前だよね。

というわけで、これをやる人や会社が多いので、証券会社が特別なプランを用意していたりする。

うーん、結構な損益が出るのに、3ヶ月以上も先物で同じポジションを持ち続けたいってあるのかな?

日経平均も結構動く。
先物のラージなら3ヶ月、ミニとかなら1ヶ月だけど、その間、かなりの損益が出そう。

なら、今回の限月ではこのあたり、次の限月ではこのあたり・・・と、それぞれの限月単位で勝負しているのではないのかな?と想像していた。

特に、僕が勝手に想像している証券会社、その中でも、海外投資家はものすごくズルいイメージで、「勝手に相場を動かせる」ような感じがする。

例えば、先物やオプションのポジションによって、日経平均は上がったり下がったりするし、例えば、オプションの4万円の建玉が溜まっていたら、そこを超えたら、オプションの売りのヘッジのために、一気に日経平均が200円〜300円くらいはどーんと上に跳ねてしまったりする。

そういう戦いの中で、「ポジションをただ持ち続けるために、損益が出ても、単純にロールオーバーする」というのは、なんか僕の想像と異なることだった。

一時的な損益を気にしない理由

ロールオーバー時の一時的な損益を気にしない理由は、

  1. 大局的な利益の方がずっとデカいし、重要・・・ロールオーバー自体の損益は、全体の投資収益に比べて微々たるもの

  2. 戦略の一貫性の維持・・・目的は投資戦略の一貫性。ヘッジの継続や裁定取引の維持など、一時的な損益は気にせず、そのポジションを維持することが大事。

ということらしい。

考えてみれば

こうやって書いてきてみれば、考え違いしていることはもう一つあって、それは

「みんな、このくらいだろうと思うところでロールオーバーしているだろう」

ということ。

基本的には、ロールオーバーは、現行の限月の満期が近づき、次の限月の取引が活発になったタイミングに行うのが一般的だということで、日々の解説でも、「もうSQなので、ロールオーバーがほとんど」なんて言われたりする。

だから、僕は、ロールオーバーする玉は、「いくらであろうが、満期に近いところで、一斉にロールオーバーする」という感じに捉えていて、つまり、「その結果、その限月の間はずっと同じポジション」と思っていたのだけど、よく考えてみれば、「次の限月はこのくらいだろう」というところで期中でロールオーバーしても良いわけだ。

当たり前だよね。
期中で活発に売り買いして、それでロールオーバーという場合も多々あるわけだ。
なんか、ロールオーバーを特別視してしまった結果、変な思い込みをしてしまっていたようだ。
ここでまたひとつの思い込みが解かれた。


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