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物件の内見から契約までの怒涛の一週間(前篇):住宅購入記19

昨日、妻に「2度目の物件内見をしてから契約までどのくらいだったと思う?」と聞いたら、「2週間」と答えた。
僕もそのくらいだと思っていたけど、実際にカレンダーを見てみると、わずか3日。
内見日と契約日を含めても、5日だ。

今回はこの一週間に何があったのか?を書いていきたい。


「いい家に住みたいわけじゃない」

前回の内見で、この家は「悪いところが最も少ない家」ということで候補に残った訳だけど、「価格が高い」+「仲介業者が怖い」ということから保留になっていた。

子供の頃は、なぜか、当然、「プール付きの家」に住むのだと思っていた。
でも、大人になるにつれ、「大きい家って、さほど良くない」ということに気づくようになっていく。
掃除も大変だし、メンテナンスも大変だし、光熱費だって余計に掛かる。
家にプールがあるより、プールのあるジムに通う方がよっぽどラクだし、安いということに気づいてしまう。

僕ら夫婦は元から家に興味がある方ではなかった。
家はグダグダできればいいし、その証拠として、家賃の安い家に住み続けてきたし、引っ越した後、親族からは「あの家はないわとずっと思っていた」などと指摘されたりもしていたが、僕らには何がいけなかったか、さっぱり分からなかった。

間取りも、できれば、一部屋+寝室の2部屋があればいいけど、最悪、一部屋だけでいい。必要なものの、すべてが手の届く範囲にあるコタツの延長みたいな家が理想になっていった。

ただ、仕事を家でやるので、僕も妻も仕事場が必要。
その分の部屋は欲しい。

そういえば、一時期、「本当にいい家がほしいのか?」と、リゾートの一戸建てなどを借りて色々過ごしてみたことがある。
その結果、「やっぱり、どんな豪邸でも慣れちゃうし、飽きちゃう」上に、「掃除大変さなどはずっと慣れない」ということが分かり、興味を失ってしまっていた。

今回の家探しも、「もっといい生活がしたい」と探していたわけではなく、色々世の趨勢を眺めていると「ああ、もうそろそろヤバいかもな」と思って探し始めただけだ。

先日、内見した物件は、「等級がいい分だけ高い」という家だった。
だけど、僕らは家が気に入ったのではなく、その外側、つまり、接道や前面道路の広さ、交通の便などが気に入ったのであって、「そういう余計なのはいらないから、もっと安かったらいいのに・・・」という思っていた。

だから、「値下げ待ち」で候補物件として待ち続けることにした。

売り主の公式サイトに登録

たとえ、値下げがあったとしても、あの「手数料無料でやらせてもらっております!」と2度叫ぶ仲介業者に頼むのはイヤ過ぎる。

どうしようかな?と思っていたら、新築の場合、売り主さんが分かるので、その公式サイトを見に行くと、なんとメールで値引き情報を教えてくれるという。

この公式サイトは前から知っていたのだけど、問い合わせても、結局、外部の仲介業者を紹介されるという話だったので、意味ないじゃんと思い、登録をしていなかった。

が、物件を見張るのにはちょうどいい。
サイトに登録し、物件をいくつかお気に入り登録する。
いやあ、しっかり住所も書いてあって最高じゃないか。
前回のゴミ屋敷横の新築も同様に監視をすることにした。

さらにもう一軒、建築主がパワービルダーではない建売物件も候補にあり、この3つを取り揃えて、じっくり待つことにした。

担当者からのメール

僕のイメージ違いがあるのかもしれないけど、実際の不動産仲介会社の営業さんのイメージは、「意外とあまり押してこないな」という印象だった。

まあ、物件を紹介します!といわれても、「自分で見ますので・・・」と断っていたこともあるのかもしれないけど、たとえそうであったとしても、僕から100万以上取れるのだから、電話が嫌がられるなら、SMSやメールとかで、静かに物件情報を流してくれてもいいんじゃないかなと思うくらい、あまり押してこない。
(この後、物件が決まった後に、みんな続々と電話が来るのだけど・・・)

しかし、今回は、単純に公式サイトに登録しただけなのに、担当者から挨拶のメールが来た。

「珍しいな」と思ったし、他の仲介業者さんにお願いしたいと思っていたこともあり、僕には渡りに船だった。

だけど、普通に仲介手数料を支払ったら、とても予算オーバーだし、付き合う意味はない。
だから、「今、気になっている物件があるのだけど、そこの仲介さんは手数料無料。いくらなんても、それより安いわけないよね?」という感じでダメ元で返信してみる。

案の定、返事は来なかった。
まあ、なんか不動産仲介会社って、こういうのが多い。
不動産ポータルサイトに物件広告を出しているのに、そのページから問い合わせても、ナシのつぶてだったりしたこともあった。
まあ、登録の挨拶を義務付けられていて、型通りの挨拶メールを送っただけで、まさか返信が来るとは思っていなかったという感じなんだろうなと諦める。

が、次の日の夕方、なんと返信が来た。

要約すると、「元付けだから、きっと、もっとお得にできまっせ」という内容だった。

妻たちとテニスをしていた最中だったが、「返事きたきた。しかもお得に出来るって!」と「えっ、マジか!うぉぉー」とか言っていた気がする。

もちろん、まだ値段も分からないし、買えたわけじゃないし、そこまでそこを買いたかったわけじゃない。
だけど、なぜか新たな道が開けた気がした。あの仲介さんが本当に嫌だっただけかもしれない。
とりあえず、内見したい旨の返信メール(この時点では向こうはまだ僕らが内見済みだとはしらないので)をする。

すると今度はすぐに返信が来て、2日後の火曜日に内見することが決まった。

最初の内見が前週の火曜日。
今回の内見がその1週間後の火曜日。
一週間でこんな展開を迎えるとは思いもよらなかった。

内見前日

この土日、物件が売れてしまうのではないか?と不安だった。
なにしろ、物件前には営業マンが張り付いている。内見が来るから張り付けているのだろうから、内見は何件かあっただろう。ほとんどの人は土日に動く。だから、土日を無事に越えてくれるか?ちょっと不安だった。

「売れてしまったらどうしよう」
買わない、値下げを待つ、値下げ前に売れたら別にいい、そう決めたのに、少し不安になった。
「これ買う!」という積極的な感じではなく、「売れたら惜しい」。
欲しい物件はこういうところの感情に無意識に出るのかもしれない。

ゴミ屋敷横の新築は「こりゃ、この価格じゃ売れないだろ」という自信があった。
今回の物件は、「このままでも売れてしまうかもしれない」という思いもあったのだろう。

せめて、明日の内見時に大きな問題が見つからなかったら、ある程度の意思決定ができる準備をしておかなくてはならない、と考える。

そこで、前日に物件の周りを歩いてみたりすることにした。

物件〜駅まで歩く

もう夕方に近づいてきた頃、僕らは歩き始めた。

まずはもう一度物件を見る。
その後、2駅に歩けるので、片方の駅へ向かう。

思っていた道と違う裏道を発見し、これだと表示時間よりもやや早く、そして、ラクに駅にたどりつけることが分かった。しかも道が平坦。
また、思ったよりも良かったポイントが加わった。

なんだかこの家は常にそんな感じだ。
検討する項目にもないし、条件にも含まれていないけど、「地味に嫌なこと」を想定していると、「ぜんぜん大丈夫じゃん、良かった」となる。

こういうことは、購入の絶対ポイントじゃないし、加点ポイントでもないけど、実際の暮らしには大きなポイントだったりするから、良かった〜と思う。

逆側の駅へ。
妻はこのあたりで疲労困憊になってきたので、コンビニでアイスを買い与える。
無事に復活を遂げたが、周りは暗くなってしまった。

逆側の駅の道も平坦。
ただ、駅自体が小さいので、その一駅向こうの大きな駅まで行くことにする。

とても歩けないだろうと思ったが、お店がたくさんあるので、退屈しない。
思い出の中古物件1とは真逆で、あまり距離を感じないで歩ける。

なにより、この駅は僕らの思い出の駅でもあり、若い頃にもよく来ていた。
その駅の思い出のドトールで休憩+会議をする。

思い出のドトールでの会議

妻が僕の意見に影響されないように、「どうだった?」と先に妻に聞く。
妻は恐る恐る「えー、私は、いいと思うんだけど・・・」と答えた。

「この金額でもいいってこと?」と突っ込むと、
「うーん、私はいいかな」と思い切った答え。

でも、この答えは僕と同じだった。
だから、明日の内見で変なことがなければ、買う気持ちを表明することを決める。
ただ、あくまでも、最初の仲介さんから買うよりも少しでも安ければ、という話で。

まさか、このドトールに歩ける距離の家を買うかもしれないなんて・・・。
このドトールは僕らの思い出の場所。

思えば、このドトールで色々なことがあった。
商売を始める前に実験として、この辺のイベントに参加した時。
商業施設への出店を決めるかどうか?を迷った時。
賃貸マンションが雨漏りして、ホテル住まいを余儀なくされ、朝食をここで取った時。
経営している会社の問題で専門家に相談に行く直前の時間つぶしの時。

その隣のサンマルクカフェにも行くことはあったけど、なぜか、重大なときはこのドトールだったっけ。
(ちなみにサンマルクカフェは潰れちゃった)

そして、今回、家を買うかどうかを決めた場所として、新たな思い出が追加された。
それほど行った回数は多くないのに、行った回数=思い出の数というくらいしか行っていないのに、不思議な場所だ。

居酒屋

僕らは居酒屋が好きだ。
最近、人気がなく、なんだか無くなってしまいそうだけど、僕らは夫婦になる前から居酒屋によく行っていた。

僕らがその時住んでいた賃貸マンションの最寄り駅は居酒屋が7軒くらいあったのに、今や2軒。
しかもその2軒も営業時間は短縮だ。

いつの間にか、家飲みが増え、外食をしなくなっていた。

だが、この物件の駅にはまだまだ居酒屋がたくさんある。
さらにもう少し歩けば、もう雲霞のごとく居酒屋が存在する。
これは僕らには願ってもないこと。

これも「絶対ポイント」や「購入条件」ではないけど、暮らしの上ではかなり嬉しいポイントだった。

ちなみに喫茶店も好き。
前の最寄駅は3軒が1軒に。
今はもうちょっとある。

2度目の内見

大きな入れ物に豊満な内容物を詰め込んだ、少し敬語がくどい男。
それが今回の担当者だった。

今まで色々な仲介さんと接してきたけど、一番、「お客さん」として対応してくれるし、質問に対する答えもはっきり答えてくれるし、意見を聞いてもリスクを恐れず答えてくれる。

いい人に当たったなと素直に思った。

内見時もついて回ることはせず、自由にさせてくれたり、僕と妻の会話の時間やスペースもスッと離れて取ってくれたりし、「やるなあ」と思った。

前回は完全な冷やかしモードだったけど、今回はガッツリ見ようと、様々なところを見て回るが、さほど印象は変わることはなく、内見自体はあっさり終了。

ここでいよいよ交渉というか、やり取りに入ることになる。

交渉

基本的に、仲介さんは「売り主側」という意識を持っている人が多そうな印象を受けるし、実際に僕は「心の中を思わずつぶやいてしまう」仲介さんが「まあ、我々は売り主側なので」とつぶやいたのを聞いている。

買い主からも仲介手数料をもらうのだから、それじゃ困るよと思うのだけど、文句を言っても仕方ない。

それに仲介手数料は%で決まるから、物件の金額が高くなれば、仲介手数料も高くなる。
このこともあって、より売主側に立とうということになるのだろう。

だからこそ、「いくらぐらい値下がりしそうですかね?」なんて質問にはあまり答えてくれない。

もちろん、売り主によるけど、長年の経験から、「このくらいはいけそう」という金額を仲介さんは持っているだろう。
だけど、教えてくれないから、こちらも暗中模索で話すことになる。

けど、この仲介さんは「この金額くらいはいけそうだと思います!」とズドーンと教えてくれた。

まず、仲介手数料。
「完全に無料ということはできないが、その分、物件価格で還元します」
という感じだった。
その提示された手数料自体もかなりの値引きになっていて、「これならあの業者に頼まなくてすむ」と僕らは一気に興奮した。

まあ、一時期、あるパワービルダーの一社が「仲介手数料無料!」と謳いながら、書類作成費用などで実際に取っていたということで、問題になったこともあり、そうさせてくれ、とのことだったが、僕らにはそんなのはどっちでもよかった。

結局、実際に詳しく聞いてみたら、「話と違う」ということになるんじゃないかな?と思っていたので、先日、電話で言われたことと違わなかったことに正直ホッとしたし、この仲介さんの信頼度がさらにアップした。

物件価格については、「どのくらいをお考えですか?」と聞かれたけど、僕はすべてをさらけ出すことにして、「今、この金額であの物件は迷っているけど、この金額なら買いたい。この物件はあの物件よりも序列は高いけど、この金額で買うほどではない。という状況です」と他の物件の資料も見せながら言うと、

「でしたら、この物件をこの金額でいけると思うんで、当ててみましょう!」ということになった。

「実際のところ、◯円引きくらいは充分硬いと思います。が、その上を狙って、もう少し値引きしたところから交渉しましょう!」とも言ってくれた。

こんな素晴らしい仲介さんがいるのか・・・、と感動した。

◯円引きくらいは硬いの金額ですら、僕が勉強した新築の値下げの限界よりは遥かに大きかった。
これはイケるかもしれない。買ってしまうのかもしれない。
そう思った。妻と二人で興奮した。
まあ、実際はその金額は全然硬くなかったのだけど・・・。

内見後、買い付けを出す

ケンタッキーへランチに行く。
すっかり物件探しのハブとなった、このケンタッキー。

駐車場の仕組みが分からなくて、店員さんに聞いたら、「えっ、分からない人いるんですか?」的な感じで、スタッフが混乱し、結果、僕が勘違いをしていたという恥ずかしい思い出も生まれてしまった。

内見後、ケンタッキーを食べて、思い出の中古物件3:築20年を見に行く。まだまだ売れておらず、候補ではあったから。

物件を見ながら、「うーむ」とか言っていたその時、携帯に電話が掛かってきた。
すると、さっきの担当者からで売り主から「とりあえず、買い付けを出してもらわないと話にならないよ」と言われたということだった。

そこですぐに買い付けを出すことにし、その後、またケンタッキーに戻り、そこで買い付けを記入することにしたのだった。

「値引きが通ったら、絶対買えよ」的な約束をさせられ、買い付けを書く。
値引きが通ったらいいなと思いながら、担当者の背中を見送った。

長くなってしまったので、次は次回に書きたい。


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