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どのくらいの重税なら国は滅ぶのか?

最近、日本は過去最高の税収にもかかわらず、国は「増税したい」と言う。
減税の話が出ても、「その分、減っちゃうじゃないか!」と言っていて、さらに、「法人税」「金融所得課税」「防衛税」などを上げようと虎視眈々と狙っているようだ。

だけど、国が滅びる原因として、結構多いのが、「重税」。
サラリーマンの人は天引きされるから、あまり税負担をしている感覚がないと思うけど、経営者から見ると、源泉徴収税は実際に計算して引いているし、住民税も引くし、消費税も払うし、法人税も払う・・・というように税にまみれているから、「払ってるなあ〜」感はかなりある。

給与が上がれば上がるほど、もうえげつないほど税は持って行く。
さらに時間差で住民税と社会保険料が襲いかかるという感じだ。

そろそろやばいんじゃないの?とすら思う。

そこで、「どのくらいの税負担なら、国は滅びるのか?」について、軽く調べてみた。


重税で滅びた国家

調べてみると、「数多くある」とのことで、代表的なものを挙げたい。

古代ローマ帝国

異民族の侵入、流行り病とかで滅びたということが有名だけど、紐解いてみれば、結構、財政が影響しているということが多い。
というより、悪いことが起き、その対処に失敗した結果の財政難・・・というように、出来事と財政の両輪の悪循環で滅びに向かうということだろう。

財政がきちんとしていれば、異民族が侵入しても跳ね返せるだろうし、ハンニバルの時代からカエサルの時代、そして、その後までそうしてきた。
ハンニバルのときなんて、あそこから良くくじけず、盛り返したなという感じだ。

ただ、ローマ帝国の後期は、軍事費や官僚機構の肥大化により、財政難に陥り、これを補うために、増税+厳しい税徴収が行われ、国民を圧迫したという。

耐えきれなくなった国民が土地を放棄して、都市に流入したり、コロナートゥス制(小作制)に依存したりした結果、経済基盤が弱体化し、社会的に不安定になって、それが一因となり、滅亡した。

清王朝

アヘン戦争や列強諸国との不平等条約で財政が悪化。
これを補うために、重税をかけた。

さらに汚職なども加わり、太平天国の乱や義和団の乱などの農民反乱が頻発。

フランス革命

七年戦争やアメリカ独立戦争の支援で財政が悪化。
これを補うために、重税をかけた。
が、貴族や聖職者は免税特権を維持。
怒りのフランス革命へ。

明王朝

戦争や天災により、財政難に。
これを補うために・・・、以下同じ。

スペイン帝国

戦争や植民地の維持のために・・・、以下同じ。

ソ連

工業化、軍拡のために・・・、以下同文。

失政→ 重税+不公平で滅びる

というように、どれもこれもほぼ同じで、なにか失政(戦争など)のつけを、税負担という形で国民に押し付ける。

そのとき、税の使い方や、特権階級などの不公平な要素が加わると、もう一気に滅びに向かう・・・という感じだ。

では、それらの国の税負担率はどのくらいだったのか?

古代ローマ帝国では、だいたい40%〜60%だったとのこと。
明王朝では、30%〜50%+汚職による不正徴収。
フランス革命前では40%〜50%+貴族や聖職者は免税。
スペイン帝国は30%〜40%。
清王朝は30%〜50%+汚職による不正徴収。
ソ連は、なんと農業集団化の際、70%が収奪されたらしい。

ということで、税負担率がだいたい30%〜50%以上の場合、危険水域になるようだ。

これに不公平感や税収の無駄遣いが加わると、崩壊待ったなしとなる。

なるほど、確かにこれらの国家は本などで読んでいると、もうかなり平民は苦しそうな感じがする。

挿絵などでは国民はドロドロな服を着ているイメージがある。

では、今の日本の負担率は?

まあ、でも、今の日本ではさほどではないだろう。
キツイなと思うけれども、上の歴史上の国ほどは悪くないような気がする。

ということで調べてみると、

税金の負担と社保の負担をあわせて、

45.1%(2024年度)

になるらしい。

あれっ?
上の帝国とか超えてない?

過去の推移を見ても、
2022年48.4%
2023年46.1%
らしい。

ちなみにアメリカは、
32.3%:2020年
27.1%:2021年
らしい。

まあ、これは調査する媒体によって異なっていたりするので、あくまで参考程度だけど、年の半分というか、働いている時間の約半分を国のために働いているなんて、やる気が失せるわ・・・。

だけど、とても革命前夜という感じではない。
なぜだろう?

なぜ、革命が起きないのか?

現在の日本の国民負担率は、歴史上「重税」によって滅びたとされる国家の負担率に匹敵、あるいは、上回ることがある。

なのに、なぜ、革命が起きないのか?

調べてみると、

  1. 集めたお金がちゃんと国民に使われているから

    1. 滅びた国は、税金の多くが、軍事費や支配層の贅沢に使われ、国民に直接還元されることが少なかった。

  2. 一次産業に依存していない

    1. 国が一次産業に依存している場合、要するに食料を取られてしまうから、税負担=飢えということだったらしい。だから、飢えるくらいなら、革命だ!となるけど、日本では食えないというところまではいっていない。

  3. 税負担率の計算の仕方の違い

    1. もしかしたら、昔と今は計算の仕方が違う可能性があるらしい。歴史的な税負担率は直接的な税と挑発物のみを入れているらしく、実はその他もあったかもしれない。今は全部入っている。

  4. 社会の不満の蓄積

    1. 汚職や支配層の浪費などが目立つわけではない。

ということらしい。

というわけで、まあ、日本ではまだそんなに革命前夜という感じではないらしいのだが、ちょっと考えてみると、あれれ?と思うこともある。

要するに、税負担率に、「不正」や「不公平感」などが加わると危ないのだけど、最近、考えてみると、

  1. 政治資金の不記載問題・・・これはちょっと「増税だ」とか言っているのに「自分たちは・・・」という不平につながるよね。ちょっと小さいか。でも、あれほど国民が怒ったのは、税負担率+物価高が根底にありそうな気がする。

  2. 減税はしない。増税はする・・・各国では導入されている「インフレに合わせて所得税の基準を増減させる」ブラケットクリープ、つまり、178万円の壁の話はものすごい抵抗をし、かたや、増税はあっさりと可決させ、「負担できるところに負担してもらう」などと総理がいう始末。これはさらに税負担率が上がるということだ。

  3. 失政のつけを国民に押し付ける・・・基本、政治家にしろ、経営者にしろ、「難しいことをやれる」から選ばれているわけで、「足りないからください」というのでは困る。日本でも「これ!大失政」というのはないけど、小さいものは色々あるし、今の増税の元を正せば、行き着くのはあの時の失政というのはある。

と、なかなか、ちゃんと崩壊に向かっていそうな気もする。

今後、ガソリン、電気、ガスなどの補助がなくなっていくと、さらに国民の不満は高まるだろう。

「賃上げ」というが、コストプッシュインフレで海外に流れる中、どこにその原資があるのか?と思う。
ならば、その分は値上げするしかない。
その値上げで、販売数量が減らなければ、このまま大丈夫で、減るようなら危険だろう。

とはいえ、他の国を見ると、もっとひどかったりするから、日本は無事にこのまま行きそうな気もする。


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