2024年8月初、為替や株価が大きく動いた今、思い出すべきこと①
ここ数週間は世界の金融市場に動きがありました。特に先週は大きく動き、金曜日は日経平均の下落幅としては過去2番目だったそうです。短期売買をしている人にとっては、気をヤキモキすることになったでしょうが、こういう機会だからこそ、メディア、SNS、市場からしっかり距離を取ることの大切さや、投資における大切な教訓を改めて振り返ってみましょう。
過去も足下も将来も相場の動きは「深読みをしないこと」、そして「一喜一憂しないこと」が大事です。
<今年に入ってから足元までを振り返り>
相場の動きを振り返ってみましょう。
・為替(ドル円)
2024年初から200日で20円(-14%)下がり、20日で15円(+10%)上がった。上がって下がってのジェットコースターでしたね。2024年始まりは1ドル140円程度であった為替は、7月頭まで6ヶ月間に160円までジリジリと下落。その後、3週間ほどで145円まで一気に上昇。直近は10倍のスピードで急速に為替が動きました。年初から足下まででは4%ほど円安ですね。
・米国株価(SP500)
2024年初から200日で20%上がり、20日で6%下がった。こちらは直近の動きは為替ほど急激ではありませんが、足元は下落。年初からトータルで見ると足元まで+13%です。なお、円ベースでは+18%程度のプラスになります。
・日本株価(日経平均)
2024年初から200日で27%上がり、20日で15%下がった。最もダイナミックに動いていますね。ニュースで大きく取り上げられるのもよくわかります。年初からでは+8%とまだプラス圏です。ドルベースでは+4%程度のプラスとなります。
<大切なこと>
色々ありますが、私が思うところは以下の3点です。まず為替について書きます。
①為替について
昨年末時点では「2024年は「円高・ドル安」の年である」とほとんどの有識者が述べていたのを、皆さん、覚えてらっしゃいますか。普段はそれなりに意見が割れるのですが、「今年についてはめずらしく意見がそろっているなぁ」と、つまり強いコンセンサスがあったことを思い出します。アメリカは利下げ方向、日本が利上げ方向なので、金利差それにより為替が素直に動くというのが大方の予想でした。
これらの有識者は(かつても私がそうでしたし、友人も多くいます)1日の殆どを経済・投資の分析に当てて、年間何百万円もかかるデータツールを持っていて、何十年もマーケットを見ているプロ中のプロです。円高予想9割、円安予想1割といった分布であったと思います。少なくとも7月までに見られた160円を超える円安を予想するような声は一切なかったです。結果は、、、、足下までは真逆の円安でしたね。
ここから得られる教訓は、有識者ならば相場を高確率で当てられるんだという勘違いをしないこと。特に、為替を当てるのはプロの世界でも「最も難しい」と言われれています。私自身は、3ヶ月、半年、1年などの短期の為替を当てられる人はいないと心得えています。もちろん一時的に当たる人はいますが、繰り返し当て続けられる人は皆無と思っています。
そしてメディアで予想を出している人は何の責任も取りませんし、自分自身がその予想に賭けたポジションをとっていることも稀です。SNSだともう少し一致するかもしれませんが。そして時間が経過すると、何らか予想しない現実の事件が必ず起こります。有識者が「XXXというサプライズが起きた。状況が変わったので見通しを変える」と、予告なく新しい予想に塗り替えます。なおこれは有識者が悪い訳でもなければ、私はそれを責めている訳でもありません。彼らは基本はとてつもなく頭のいい人たちで、非常によく勉強しているし、知識を総動員して真剣に考えています。ただ、経済や政治や地政学まで含めて、それらが互いに影響し合う実際の世の中は非常に複雑であり、為替を当てることは無理なんです。ただ、一般の人から見ると有識者は「難しい言葉を使っていたり」「高度そうな分析をしていたり」「多くの経験をしていたり」「有名な会社や学校に所属したり」していると、まあまあの高確率で相場当てられるのでは?、と誤って信じてしまうのだと思います。
そして、過去も、今この時も、将来も未来永劫、「この先の為替はこうなる、ああなる」という誰かしらかの予想が、メディアやSNSから消えることはないと思います。企業活動では、為替を使って仕入れや販売をしている人、為替を前提に売上・利益計画を立てている人が常におり、彼らの多くはお金のプロでもないのに会社員として社内や社外に何らかの見解を述べなくてはなりません。街の投資のアドバイザーの人らも、お客様に何らかの見解を述べないといけないので、頭を整理するためや、お客と話すための共通の言語として、大手メディアの記事を重宝します。
これらのニュースや予想との付き合い方としては、頭の整理としてふーんと眺めておくに留めるが正しくなります。個人にとっての心構えとしては、市場の動き自体に振り回されないこと、そして誰かの予想の理由についても「もっともだ」と思いこまないこと、でしょう。つまり、市場やメディアからは積極的に距離を取ろう、が大事になります。
足下の動きに「もっともらしい」意見を述べるのは極めて簡単ということも忘れてはならないです。後講釈ともいいます。年始からは新NISAで円安が止まらない、日本はキャピタルフライトの危機にある、さらに円が底抜けするという論調が盛り上がりました。その後、バイデン氏が撤退し、日銀が利上げ決定をして、米国の雇用統計が悪くなれば、そのようなロジックは吹き飛んでしまいます。
私個人の資産運用としては、、為替レートを意識するのではなく、外国の資産と日本の資産の「バランス」を意識することを貫いています。価格自体の予想はしない、自分なりのポートフォリオのバランスを貫く、ということです。そのバランスは、国籍によって、仕事などの属性によって、パートナーの属性によって、年齢によって、リスク許容度によって違ってきますし、私は外国資産が多いと思いますが、誰しも100-0や0-100でないことは確かです。