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②米ドル建て個人年金保険を8年で解約。全てを丸裸にしてみた!
さて、前回までで、この保険の幹の部分を米ドルベースで可能な限り丸裸にしました。さらに分析をすすめましょう。
次は、保険料控除を加えてみましょう。保険を買われる方の多くは、一定の控除を期待されていると思いますし、少額ながら実際に税金が安くなります。これはどのような影響があったのでしょうか。
年金保険料控除の所得税4万円と住民税2.8万円の枠に、所得税と住民税の限界税率が30%として計算します。すると、1万円の保険料に対して税金が1700円程安くなり計算になり、実質負担の保険料は8300円だったと計算できました。
そしてこの1700円を毎月の為替レートでドルに直し、99ヶ月累計すると1458.88ドルの税メリットを受けていることになりました。よって、前回見た恒等式はこのようにアップデートできます。
式:「支払い金額 + 運用益 - 手数料 + 税メリット = 残高+税メリ」
額:「 8581.67 + 910.55 - 1441.67 + 1458.88 = 9509.39 」
%:「 100.0% + 10.6% - 16.8% + 17.0% = 110.81% 」
なるほど。税金メリット大きいですね。そして、それは保険会社の手数料とちょうど同じぐらいだったことになります。納税の代わりに保険会社に手数料を払っていたとも言えますね。これが、この保険商品の8年超の節税効果を踏まえた実態ということになります。
さて、次は為替の変化も踏まえて円ベースでも結果を見てみましょう。
この商品を買ったときは1ドル120円、99ヶ月の平均値は116円ですが、2024年2月現在は150円と、直近で円安に触れています。買ったときと現在では円ベースでは25%金額は上がっていることになります(150÷120=1.25)。月次の為替レートを当てはめると、こうなります。
式:「支払い金額 + 運用益&為替益&手数料 + 税メリット = 残高+税メリ」
額:「 990,000 + 268,109 + 168,300 = 1,426,409 」
%:「 100.0% + 27.1% + 17.0% = 144.0% 」
運用益と為替益と手数料は、月次の積み上げでの分解が難しいので合算しました。為替が円安に動いたため、この商品での円ベースでの投資は大きくプラスになったのが実態です。払い込みに対して+44%プラスとなります。
そして最後に、今回は保険を途中解約していますので、受け取る金額は運用残高ではなく解約返戻金となります。運用残高8050.50ドルに対して7518.75ドルですので、6.6%が途中の解約手数料として引かれています。これを表すと以下になります。
式:「支払い金額 + 運用益&為替益&手数料 + 税メリット = 残高+税メリ」
額:「 990,000 + 140,445 + 168,300 = 1,298,745 」
%:「 100.0% + 14.2% + 17.0% = 131.2% 」
さて、正確には出せないものの、勇気をもってざっくりと数字を丸めて、この8年超の投資案件を総括してみましょう。
積立金額 100万円
+為替利益 25万円
+運用益 14万円
-保険会社の儲け 26万円
ーーーーーーーーーーーーーー
返金額 113万円
+税メリット 17万円
ーーーーーーーーーーーーーー
総リターン 130万円
こんなところです。色々な仮定を置いていますのであくまでシミュレーションです。そして外部からはこの分析が限界と言えるでしょう。
なお、毎月1万円をアメリカ10年国債(平均年金利2.33%)で同期間に積み立てでコツコツ運用した場合、99万円は142万円へと43%増えていました。
というわけで私が感じた結論は、、、
・アメリカ国債を毎月直接買って運用した方が良かった
・税メリットは確実にある。ただし、保険会社の儲けはそれ以上に大きい
・円ベースのパフォーマンスは、為替にかなり大きく影響される
となりました。シミュレーションではありますが、一定の意味はあるのかなと思います。
もし外貨建の個人年金保険をお持ちの方は、上記を参考にいろいろと分析してみてください!!ご意見もお待ちしております。