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長期投資のバイブル誕生

農林中央バリューインベストメンツCIOの奥野一成さんが新著「ビジネスエリートになるための投資家の思考法」を上梓しました。

この本、長期投資を実践する人にとって非常に良い出来でした。

奥野さんは投資を
・お金を増やす手段

・スキルアップの手段

の両方を実現するための方法と位置付けており、最初の本「教養としての投資」でも自分自身の教養・ビジネススキルを上げるための思考の枠組みを投資を通じて提示しています。

「投資家の思考法」に書かれていることの主題は
・複眼的に捉え
・複合的に考えて
投資先を決定すること。

そして、投資した先が複利効果で伸びていくのを長期間楽しむという構えが大事であること。

さらに「ジブン・ポートフォリオ」という独自の考え方を用いて「金融資産+自分資産への投資」の両輪を形成することのメリットを丁寧に解説しています。

特に若い段階は自分資産への投資を重視した方が、キャリアアップ・スキルアップによる収入増が見込めるため投資対効果・効率が良いということもあり、ジブン・ポートフォリオを形成することがより大事になってきます。

自分資産への投資というと、スキルアップとか資格取得とか意識高い系の話が浮かびますが、 
・手足を動かして分析し、観察する
・俯瞰的に見る、動態的に見る、斜めから見るの3つの視点
・水平思考
・数値化、可視化、比較、分ける、(余計なものを)捨てる、具体的に組み立てる

といった見方、動き方を身につけることを指しています。

自分資産への投資を通じて身につけた見方、動き方を元に企業を様々な角度から分析する。供給サイドだけでなく、需要サイドから分析するなど多面的思考で捉える癖をつけて長期潮流に乗っている強い企業を見つけて投資に繋げていく、あるいは自分の仕事に活かしていく。などなど自分資産へ投資の活かし方も多面的に示されています。

つまり
・自分のスキルアップを通じて、良い投資先を見極める力をつける
だけでなく
・投資を通じてスキルアップを図る

ことを目指そうということです。

奥野さんの投資スタイルは
1.付加価値があり長期潮流に乗っかっている強い企業に投資する
2.できる限り売らない
というものです。このスタイルに従って、投資ファンドを運営しています。

投資した企業の成長を長期間観察し、それを楽しみにしながら複利効果を働かせて資産拡大を図るという投資スタイルです。長期投資の中でもBuy&Holdスタイルを貫いています。

「投資家としての思考法」は長期投資における思考のポイント
・価格ではなく価値を見る
・価値が不変であれば下落はむしろ歓迎すべき
・強い企業が成長していく様子を観察し、恩恵を受ける

これらの点を丁寧に解説しています。さらにサラリーマンにとってコアとなる「自分の仕事」とリンクさせる手がかりを示すお得な本となっています。

個人的に長期投資のバイブルはハワード・マークスの「投資で一番大切な20の教え」だと思っています。

・投資先を見極めるための二次的思考
・リスクコントロール
・サイクルの見極め
など、具体的投資法は語らない代わりに、市場における様々な局面を想定した思考のフレームワークを解説している名著です。

この名著の日本人向け版が奥野さんの「投資家としての思考法」だと思います。


長期投資を行う上でのバイブルと言っても過言ではないと思います。

<その他の長期投資向けの本>
長期投資を行うと決めた場合、ぜひ読み込んでおくべき本を解説します。
なお先ほど紹介した3冊は必読です。

株式投資メインですが、一般に難しいとされる株式投資を長期間実践する方法・思考・考え方・構え方を解説しています。こういった本をしっかり読んで準備することが大事だと思います。

逆に言うと、個人投資家・一般投資家がここ数年数々本を出版していますが。これらは
・たまたま経済状況が良い時と重なっただけだった
・その人にだけ適した投資法なので、応用ができない
・情報が足りない、あるいは応用させる時にロジックが弱い

などいついかなる時も通用する普遍の教えではないものが大半なので読んでも構いませんが、読む際には注意しましょう。

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